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第一章
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この一万円はこの部屋まで付いて来たご褒美だ。
流石にそれ以上を渡すつもりはないけど、逃げても良いと思った。
逃げてくれと思った。
俺のジャージと新しい下着とタオルを置いておく。少し大きいかもしれないけど、郁己に合うサイズの服なんか持ってない。
自分の着ていた服を着るかもしれないしな。どっちでもいい。
「これ、借りて良いのか?」
俺のジャージを着て、タオルで髪を拭きながらリビングに入ってきた。
やっぱり大きかったみたいだ。裾を二重に折ってるからか余計に小さく見える。可愛いじゃないか…。
表情はよく見えない。
緊張しているのかいつまでも頭からタオルを外さない。
「ああ。俺も風呂入るから。適当にしてて」
少しゆっくりと風呂に浸かる。
考える時間が必要だろう。風呂に入ってる間も悩んだだろうけど、一万円札を前にまた考えを変えるかもしれないし…。
もうそろそろ帰ってるかな…。腹も減ったから風呂を出た。
リビングは暗かった。
良かった。
帰ったんだ。
明かりを点けてテーブルを見るとそこには一万円札がそのまま置かれていた。
馬鹿にするなとでも思ったか?
近くの酒屋で買った焼酎をお湯割にする。さっきコンビニで買ったおでんが冷めてしまった。気持ちが沈み、温め直すのが面倒くさい。
テレビを点けて音を出す。クラッシックを聞く趣味はない。最近流行りの音楽もよくわからない。だからテレビ。
静か過ぎる部屋は嫌いだ。
もう寝るかと立ち上がった。
郁己が出て行って開いたままの鍵を掛けようと玄関に行くと靴がある。
「おいおい、帰ってないのかよ」
どこにいるんだ?
「郁己?」
狭いマンションの中だ、探すとこなんて少ない。風呂場とリビング、キッチンを除けばあとは寝室ともう一つ小さい部屋があるだけ。
このマンションは何通りかの間取りがあって、俺の部屋は真ん中のタイプだったと思う。一人で住むには広いけど、二人ならきっと狭いだろう。
寝室を開けると布団がふっくらと膨らんでる。スースーと寝息が聞こえ、熟睡しているのがわかる。
このまま寝かせてやりたいけど、家族が心配するだろう?さっきはあんなこと言ってたけど、17歳を泊めるわけにはいかない。
もう遅いけど外泊よりはマシだろう。
せっかく風呂で温まって、良い気持ちで酔ったのに。
送っていくか…。
「おい、郁己!起きろ」
「嫌、そんなことない。お母さんはそんな人じゃない」
「おい!」
夢でも見てるのか?
「お母さんが悪いんじゃない」
「郁己!」
「えっ?あっ…ここは」
「大丈夫か?」
「俺…」
「夢でも見たのか?」
うっすら涙が滲んだ目で俺を見上げ、頷いた。
何があった?
守ってやりたい。
俺、どうしたんだ?
関係なかったんじゃないのか?
拓真にしてやれなかったから弟として構いたいのか?
流石にそれ以上を渡すつもりはないけど、逃げても良いと思った。
逃げてくれと思った。
俺のジャージと新しい下着とタオルを置いておく。少し大きいかもしれないけど、郁己に合うサイズの服なんか持ってない。
自分の着ていた服を着るかもしれないしな。どっちでもいい。
「これ、借りて良いのか?」
俺のジャージを着て、タオルで髪を拭きながらリビングに入ってきた。
やっぱり大きかったみたいだ。裾を二重に折ってるからか余計に小さく見える。可愛いじゃないか…。
表情はよく見えない。
緊張しているのかいつまでも頭からタオルを外さない。
「ああ。俺も風呂入るから。適当にしてて」
少しゆっくりと風呂に浸かる。
考える時間が必要だろう。風呂に入ってる間も悩んだだろうけど、一万円札を前にまた考えを変えるかもしれないし…。
もうそろそろ帰ってるかな…。腹も減ったから風呂を出た。
リビングは暗かった。
良かった。
帰ったんだ。
明かりを点けてテーブルを見るとそこには一万円札がそのまま置かれていた。
馬鹿にするなとでも思ったか?
近くの酒屋で買った焼酎をお湯割にする。さっきコンビニで買ったおでんが冷めてしまった。気持ちが沈み、温め直すのが面倒くさい。
テレビを点けて音を出す。クラッシックを聞く趣味はない。最近流行りの音楽もよくわからない。だからテレビ。
静か過ぎる部屋は嫌いだ。
もう寝るかと立ち上がった。
郁己が出て行って開いたままの鍵を掛けようと玄関に行くと靴がある。
「おいおい、帰ってないのかよ」
どこにいるんだ?
「郁己?」
狭いマンションの中だ、探すとこなんて少ない。風呂場とリビング、キッチンを除けばあとは寝室ともう一つ小さい部屋があるだけ。
このマンションは何通りかの間取りがあって、俺の部屋は真ん中のタイプだったと思う。一人で住むには広いけど、二人ならきっと狭いだろう。
寝室を開けると布団がふっくらと膨らんでる。スースーと寝息が聞こえ、熟睡しているのがわかる。
このまま寝かせてやりたいけど、家族が心配するだろう?さっきはあんなこと言ってたけど、17歳を泊めるわけにはいかない。
もう遅いけど外泊よりはマシだろう。
せっかく風呂で温まって、良い気持ちで酔ったのに。
送っていくか…。
「おい、郁己!起きろ」
「嫌、そんなことない。お母さんはそんな人じゃない」
「おい!」
夢でも見てるのか?
「お母さんが悪いんじゃない」
「郁己!」
「えっ?あっ…ここは」
「大丈夫か?」
「俺…」
「夢でも見たのか?」
うっすら涙が滲んだ目で俺を見上げ、頷いた。
何があった?
守ってやりたい。
俺、どうしたんだ?
関係なかったんじゃないのか?
拓真にしてやれなかったから弟として構いたいのか?
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