sweet!!

仔犬

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escape!

3

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まあ、そんなこんなで走ってる訳ですが。



限界きてる。
部活なんて入ってないし、早いとは言われるが超人的な足を持ってる訳でもない。運動は得意な方でもこんな全力で何かから逃げたことはないから、苦しいし喉も痛い。こんなのに優と秋に付き合わせたと思うと本当申し訳ない。
明日のお昼はおれが奢ってやるぞ。
1番高いスペシャルAランチ、もしくは手作りお重弁当!


「はっ!そろそろ、限界だなお前」

「……」

おれを追ってきたのはあの金髪さん。
ここまで追いつかれていないのは金髪不良さんの足がそんなに速くないからだ。

しかし、体力の差ハンパないな。息も上がってないしまだまだ笑える余裕があるみたいだ。不良さんって不健康なイメージだけど、違うのかな。おれの思い込み?

おれの呼吸は胸を大きく早く膨らまして今にもはちきれそうだ。場所もどこかよくわかっていない、町並みなんかもう何ひとつ目に入らないくらい必死なんだけど。


回らない頭が撒かなきゃと警告してるからとりあえず路地裏に駆け込んだ。細い上に結構複雑な道。これなら。



ガクッ
「あ」

光が見えた。
そう思った瞬間、もつれた足。
勢いづいた身体はそのまま壁に激突した。

「いっ!!……ゲホっ!……ハァッハァッ……」


見事に肩を強打。ううん痛い、普通に痛い、これこそ折れたんですけど使う時じゃ?

呼吸は荒くても思考は意外とはっきりしてる。秋も優も怪我をしてないかな。ああ、本当悪いことしたな。助けに行きたいのに自分の状況すら解決出来ない。

悔しい気持ちが溢れて表情に出てしまったらしい。立ちはだかる金髪不良がにやりと笑った。


「手こずらせやがって……てめぇにはフルコースの仕置きくれてやらあ」


吐き捨てるように話す男がこんなに恐ろしく感じたのは今がはじめてだ。
薄暗い路地裏には少ない夕日の光だけがわずかに届いている。それがいやに怖くて堪らない。心細さが増すばかりだ。

「はっ、怖がってやがんの」

嘲笑するような声が響く。
逃げれるなら逃げたいが足が動かないし、未だに整わない呼吸も原因だ。拳の喧嘩ってした事ないし、痛いのが好きなわけない。

「こちとら、良い子なので怖いお兄さんは苦手で」
 
口だけはなんとか生意気に動くことに安心した。壁に激突したおれにはせめてもの意地で反抗。ちょっと恥ずかしかったの!

それでもおれのちっちゃな意地はどうやら金髪不良には効いたらしい。びきりと音でもしそうな勢いでその顔に青筋が走る。ところで青筋ってどうすれば出来るんだろ。


「……てめえ、ずいぶんと余裕だなぁ、ええ!?」 


余裕なんて滅相もない!
でも叫びたくても我慢して、口の両端を上げてみた。ここまでくると最早自分が恐ろしい。

「っ……うぜぇよお前……!」

あ、 殴られる。
来るであろう衝撃に、反射的に目を強く閉じた。

1秒2秒、心の中で秒針の音が響く。針が5まで動いても痛みはこなかった。

……あれ、なかなか来ないな。



「ごふっ!?」



ごふってなんだろう。ごふ、ご夫婦、護符?ああ、幽霊とか信じちゃうタイプ?おれ見えないけどやっぱり世界に居るんですか。


そんな訳ない事なんてわかってる。
多分殴られた音だよね、でも今のおれじゃないよ?痛くないし、体1ミリも動いてないし。


取り敢えずさらに3秒待ってみたけれど予想していた痛みも衝撃もいっこうに来る気配はなかった。

え、どうしよう。

気になる。ものすごく気になる。
でも怖い、しかし見たい。    



…………よしっ!


「おい」

「はい!!…………え」

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