sweet!!

仔犬

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escape!

2

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「うまいー」
「あったまるー」
「もうなくなるー」


ほくほくの肉まん。コンビニ侮り難し。最近はチーズがたっぷりと入っていて心なしか大きいような気がするし美味しい食べ物があんなに安くて良いのだろうか。
家で作れるかと考えるも今のところ買った方が安そうだ。


「秋は店の段階から食ってんじゃん」

「当たり前」

「我慢出来るか!」


走ってたもんね。

もうコンビニは見えない。次行った時にあのイケメン店員がいたら名前を聞こう。学校の帰り道だし、仲良くなれればコンビニ通うのもさらに楽しそうだ。ポジティブが加速するのは肉まんのおかげか、心までほかほかだ。


肉まんにかじりつき次の角を曲がる。何口目だってうまいもんはうまい。美味しいと浮かれているその時。

ドンッ

柔らかい壁。ではなく曲がった先にちょうど人が居たらしい。すぐに一歩下がって頭を下げた。


「わっ、ごめんなさい」

「…………てめぇ、腕折れたんだけど」

「え、折れ……ん?」


おれがぶつかったとされる腕を押さえてそう言った男は三人組のとてもとてもガラの悪い男子だった。高校の制服には見覚えがあり、隣町の有名な不良高校だ。

いやいや、そんなにやにやしながら腕折れたなんて言われても。なんだろこの状況。


「うーわー、君やっちゃったねぇ」
「こいつの慰謝料頼むわー」


仲間が馬鹿にするように囃し立てる。こんな住宅街なのに声が大きくて、ゲラゲラと良い印象のない笑い方。この場に女の子が居なくて良かった。怪我させちゃうかもしれないし男子のこんな場面見ていい気分なんかしない。

優も秋も固まってる。
だってさすがに、はい払いますとは言えない理不尽な状況だ。
ぶつかってしまったのはおれも悪いが、お互いが見えない角度だった。向こうも同じ条件。
 

そしてもう一度、不良を見てみる。
相手は三人。着崩した制服、ズボンの裾は腰パンでボロボロだ。
それぞれ赤、金髪、オレンジの髪。なんというかザ、不良高校生って感じの。ちなみにぶつかったのは金髪の人。


睨む六つの目はすべてこちらを向いている。緊張感、しかしこちらは怖いよりも何言っているんだろうこの人達は、なのだ。だって可笑しいもんこんなの。だからいつも通りのトークで切り返した。



「選択肢は睨む、泣く、頰を膨らますなんだけど」

「え、おれは頰を膨らますよ。優は?」

「関わりたくもない」


「「「…………」」」



うむ、今日も優の鋭いツッコミが飛びますね。てゆかこの状況は脱出しないと。無抵抗なんて男が廃るよね。


何故か固まっている不良に取り敢えず話しかける。

「折れたって、そんなわけないじゃないですか。ぶつかっちゃったのは謝りますけど、そんなに強くはなかったです。あと……」

「……あ、ああ?俺らにいちゃもんつける訳?」


いちゃもんはそっちだって。
そしてやっぱり何故かハッとするように言い返す不良さん。
おれはこの状況の打開策を求め優と秋を見る。秋は考えてはいるけど苦笑い。

優の目なんてひどいもんだよ。

バカじゃないのこいつらって目。

眉間にしわまで寄せちゃって。
……なんかもう好きです、優様。

こんな緊張感のなさから、おれは思わず本音を漏らした。



「いや、だって……あのです、ね?」

「……なんだよ」

「えーとです、ね」

おれらは互いにちらりと視線を合わせ、肩が当たった金髪不良を遠慮がちに見遣る。


「おれが当たった腕と違う方の腕押さえてますよ、あなた…………ぷっ」

あ、ヤバい笑っちゃったよおれ。






 沈 黙 。




「…………ぶはっ!」
「お、おま、お前ださ!!ギャハハ!」
「……う、うるせぇよ!!このっ、お前らつら貸せや!!」


仲間さんにからかわれて顔真っ赤にした金髪不良さんの怒りの矛先はもちろんおれらに来るわけで。


あ、これはちょっとヤバい。
先程のただの睨みとは比べ物にならない、最早殺意を感じる。
尚更、貸せるつらは無い。



「やばい、怒らした……ごめんふたりとも。おれ原因だ」

「いや、それはいいよ……」

「そう、こんなので責めるわけない。それよりも」



どっちに逃げる?

目が語ってる。

「俺、右」

「左かな」

「んじゃ後ろ」



綺麗に各道へ走り出したおれたちに相手は虚をつかれたようだ。後ろから聞こえる声は焦ってチームワークがごちゃごちゃだった。



「な、あいつら!」

「追うぞ!」

「馬鹿お前あっちいけ!」


いいぞ、その動揺の間に少しでも距離を稼がねば!















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