sweet!!

仔犬

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work!

2

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「唯、わかったから、次運んで。3番ね」

「はーい」

カウンターから差し出されたケーキを受け取ると、渡した優はすぐさま会計に回ってしまう。秋はキッチンとフロアのどちらか担当で、いまは厨房に回っている。カウンターとレジを任されているのは優。おれは基本フロア担当。たまにカウンターとキッチンやったりするけど、お客様と話すの好きだからフロア。

このカフェは個人経営、春さんは自分の好きなことして良いよと言う素晴らしいお方なので、甘えさせてもらっている。春さんはオールマイティに動くので、おれ達を影から見ててくれている。紅茶の入れ方も料理も接客も完璧な春さんのカフェはバイトが楽しみになってしまうほどだ。だからおれ達はついつい入れてしまい、今月はほとんど空いている日が無く、14連勤という事態になっている。もちろん後悔はない。楽しいお金が貯まる癒されるの三重奏だから。


「唯斗も久しぶりに、キッチンはいって作ったらいいのに。前作ってくれたサンドイッチ美味しくて好評だったよ」

春さんがふんわりと笑った。ああ癒される。
前作ったサンドウィッチは甘い焼きリンゴにカスタードクリームを挟んだおやつみたいなものだ。お皿の周りにシナモンを振りかけてチョコレートアート付き。

「美味しくても唯の料理は回転率悪くしますよ」

「いやぁあの時はリクエストで、作っただけなので……」

「良いことだけど、この状況じゃなあ」

キッチンからひょっこりと頭を出した秋が会話に混ざる。昼間はマダムやおじ様がくるけど雑誌以来すっかり女の子がときめくカフェとなっている。

「女の子のバイトとかめちゃ応募くるんじゃないすか?」

「ああ、そうだね何十人か」

「何十人?」

すごい、そんなに来るんだ。今はSNSも普及して、人だって食べ物だって、いかに盛れるかの時代。まさにこのカフェがヒットしたんだろうな。

女の子かぁと、つぶやいた春さんが気まずそうに話し出した。


「昔ね、バイト何人か女の子取ったことがあるんだよ」

「おお、今は男子だけですもんね」

「みんなに告白されちゃって」

「は?」

「当然お断りしたんだけど、それを機にみんな俺に告白したってことが女の子同士で知れ渡ったらしくて」

「うわぁ」

大人の魅力を総動員させたような春さんは若い子によくモテるらしい。おれ達が初めてお客として過去に来た時はもう春さんの色気にやられて、絶対将来ああなる!みたいな感じになった。

「まあ、それで気不味いから辞めるっていうなら平和だったんだけど。みんな元気だから誰が俺を落とすかみたいな結託が始まって……」

あれは地獄だったなぁ。と遠い目をする春さん。だがおれ達はその原因がなんとなく分かりため息をついた。

「春さん……どうせみんなの告白優しーくやんわーりお断りしたんでしょう」

はは、その通り。と申し訳なく笑う春さん。この人モテるのにあり得ないくらいそういうところが苦手なんだよな。
結局営業にも関わるし、コミュケーションが取りづらくなったとの事で、女の子たちには全員辞めてもらったそうだ。


「それで困ってたところに、ちょうど俺達が現れたわけっすね」

「んー、それもあるけど。楽しく働いてくれそうな気がして思わずスカウトを」


春さん女の子の扱いは下手だが男子の見極めはうまいみたい。まんまと楽しくやってます。おれ達、他のバイト男子とも仲良くて、いつでも楽しいんだこれが。

「人手もちょうど良いし、女の子はもういいかな」

両手を広げて諦めましたのポーズ。それだけでも様になるので女の子が寄り付くのもわかってしまう。

細身で長身、物腰柔らかな黒髪美中年。
いやぁ、さいこうだな。



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