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fight!
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しおりを挟む「式!桃花ー!がんばれー!」
唯が手をぶんぶん振って応援すると桃花さんだけは律儀にも反応して手を振り返した。式はいつ入り込もうか間合いを取りつつ考えているようだ。
「桃花くんだっけ、自信はないけど実力はあるのにねぇ」
「多分式が本気で行けば……」
思った通り式はかなり桃花さんの動きを研究してきたようだ。簡単には踏み込まずじりじりと攻めていく。ネロのチームの人なのか拳を握って観戦している人がいた。彼らは少し心配性だが先輩たちのチームの人はガンガン攻めていく。戦い方もわかりやすく対照的だ。
「桃花、攻めたらめっちゃ強いと思うけどなぁ」
「うーん、そもそも護身術としてやっていたって話だから攻め方がわからないんじゃないかしら」
唯とサクラ姉さんの言葉に桃花さんの動きが確かに避ける、往なすの戦法が多いなとは思った。逆に式は攻めの姿勢を崩さない。ただこれでは決定打にかけてしまう。
その時式が間合いを取って一気に駆け込んだ。
「あれじゃあまた……」
思わず出た自分の言葉は見事に裏切られた。
勢いで飛び込んで、さっき説明を受けていたようにそのまま投げ飛ばされてしまうのだと思ったのだが、式はその腕を掴み桃花さんごと自分も一緒に倒れたのだ。
すぐに桃花さんを組み敷くと、拳を振り上げる。だがその拳は見事に顔の目の前で掴まれた。
「すごい、よく巻き込めたね」
そこで初めて桃花さんが強気に微笑んだ。
式をお腹に乗せたままあろうことかブリッジの要領で式を投げ飛ばしたのである。
「え、何今の」
「凄い身体能力……」
流石の式も想定していなかったのか、着地には成功したものの驚いて固まっている。なるほどあそこまで鍛えた筋肉はこのためにあったのか。防御は最大の攻撃というかどこまでも避け切る。そんな動きだった。
「わー桃花ーーー!イケメーーン!!!」
唯の力の抜ける声援もとうとう聞こえなくなったのか、お互い口の端をあげて臨戦態勢だ。桃花さん、あんな顔出来るんじゃん。あれは確かについて行きたくなるよね。未だに固唾を飲んで観戦している見守り隊。愛があるなぁ。
「あんた今の顔の方がいいよ」
「……俺も久しぶりに楽しいって思ったよ」
結局この人達は戦いの場を選びそれを楽しんでいるのだろう、どんなに普段穏やかでも血がたぎる、そういう人たちだ。
視界の端で暮刃先輩を捉えた。あんなに気品ある穏やかな人が獣のように笑っていた。それでも余裕も優雅さもある賢い獣だ。
いつもは見せないその表情にやはり色気があるなと感じるのは可笑しいことなのだろうか。
少し心が動くのはやっぱり可笑しいことなのだろうか。
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