sweet!!

仔犬

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fight!

3

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そこからはもう映画を早送りで見ているようだった。



階段を降りてフロアに先輩達が広がり挑発的に手招き。
そこからパラパラと駆け寄ったチームの人に全員で来いと叫ぶのだ。
俺たちには向けられない獣の目が楽しそうに光る。同時に走り出した彼らを氷怜先輩はいとも簡単に投げ飛ばした。鳴り止まない軽快なリズムに合わせるのように身軽だ。

暮刃先輩も瑠衣先輩も数人を相手に余裕の構え。さらりと避けて脚で一気に蹴散らした。それでもまだまだ始まったばかりのこの祭りは留まるところを知らない。

「ちゃんと頭使って、相手を見ないと」

暮刃先輩の言葉に数人が立ち上がった。ある程度動きを見て作戦を練っていたのか真っ向から攻めてくることはなく、間合いを取り軽いジャブ、手癖を覚え始めて暮刃先輩の攻撃が避けられた。

「うん、よくできました。でも……」

それも一瞬で、避け切ったと思った逆からの足蹴りが来たのだ。思わず苦痛にしゃがみこむその人に穏やかな声をかける。

「後ろも見ようね」

「暮刃ちんちょっとどいて~」


暮刃先輩とその相手の間に割り込むように瑠衣先輩が構えたその相手は幹部の人たちで挨拶したことがある。

律儀にも行きます!と声をかけて突っ込んでいった彼は瑠衣先輩の拳を避けると下からパンチを仕掛ける。ワンステップでそれも避けられるが、パンチと同時に避けられることは想定済みのようで既に踏み込んでいる。距離は開かずに今度は膝を打ち込んだ。

「おお!やるーう!」


しかし瑠衣先輩の素早い反応でその膝も抑えられてしまい見事に場外、痛いよりも悔しそうに叫ぶ。

「反応が違いすぎます!」

「泣き言いわないの、ツギツギ~!」


本当に楽しいのか瑠衣先輩はずっと笑っていた。どこを見ても誰を見てもすごい動きに一呼吸。いつのまにか隣に座っていた唯が目をキラキラさせている。


「すご~アクション映画だね」

「先輩達が異様なだけで分かんなくなるけど、みんな凄いよね」

「カッケェ……」

階段でこじんまりとしている俺たちにサクラ姉さんが駆け寄ってきた。よく見ればグラスを4つも抱えている。光の如く反応した唯がすぐに立ち上がった。

「持ちます持ちます!」

「ありがとう唯斗くん~!ふう~始まったらみんななんにも気にしないから、ここはのんびりしてましょう?」


確かに少し薄暗いままのフロアにミラーボールが輝いている。体に響くリズムもきっと闘志を燃やすには良い相乗効果だろう。誰もが中心にいる先輩達から視線を離さない。

「男の子って馬鹿だけどやっぱり面白いわよねぇ」

「こんな本気の殴り合い女の子同士では中々……」

「うーん、女の子は女の子で色々あるけど」


なんだか複雑なことを聞いてしまったのかもしれない。サクラ姉さんは切り替えたようにドリンクを飲んだ。


「あ、式だ」


秋の声でフロアを見渡せば、式が桃花さんと対峙しているのが見えた。





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