sweet!!

仔犬

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care!!!

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夢を見た。
先輩達がいつものように談笑している横で犬になったおれと優と秋。走ってははじゃれて遊んで眠りについたのに、自分の体が持ち上げられた。
見たこともないその人間のせいで運ばれてしまい先輩達と引き剥がされてしまう。ワンワンとたくさん鳴いてそれを知らせるけど気付いてもらえない。バタバタとあばれるけど所詮は犬の力。ビクともしない。

こんなに必死になっているのに、いやお前小型犬だからキャンキャンだぞって同じく連れ去られている秋が冷静に言う。優までそれに付き合っておれにキャンキャンの指導を始めた。


わんこなのにほら、言ってみて?と優様スマイル。



「キャンキャン……」

「あ、起きた」


とても重い瞼を無理やり開けると薄暗い部屋にコンクリートの壁が見えた。視界の殆どが秋と優の顔になる。ぱちくりと覗く2人はいつも通りの顔だから、特に何かをされたわけでもなさそうだ。

どことなく頭が重いような痛いような不快感に、起き上がるのは後にした。


「……ここはどこ、わたしはだれ?」

「ここはしらん。お前は唯」


秋がおれのおふざけに付き合うも、動きづらいのか顔をしかめた。秋の腕に縄が見える。おれの身体も見なくても手も足も動かせないので縛られている。ヒビの入った腕が絶妙に痛くてそれだけがちょっとつらいのと、あとめっちゃ寒い。
コートはいつでも羽織るべき、と教訓に加えよう。


部屋には誰もいないし、使われていない建物なのか壁が崩れていたりと劣化がひどい。人を隠すにはうってつけの建物ってあるんだな。


「おれどれくらい寝てた?」

「俺らも数分前に起きたところ」


時計も見当たらない。腕時計も後ろ手で結ばれた縄のせいで確認出来ない。
天井を見ながら声を出すと、物が少ないせいかよく響く、周りの音もないし近くに誰もいない。そうかこれを世間ではこういうのか、拉致監禁。

「初めて赤羽さんの驚いた顔をさせたかもしれない」

「たしかに……問題は先輩達が物凄いことになってなきゃ良いけど」

「はわ、やっぱ怒られる?おれのせい?」


ぎゃっと体を起こしたおれに2人がため息。なぜ?

「怒るわけないでしょ、今まであの人達が本気で怒ってたら俺ら生きてないって」

「心配させてるって事!」

「え、あ、そうか、たしかに何かこうお仕置き的なのはあるけど本気で怒ったりしたことないもんね」


たしかに。
なんでこう、頭が回らないのか自分でも不思議だ。


「でもどうしよ」

「まず俺たち立てても走れないしな」

「当たり前だけど、手足縛られるって不便なんだと初めて実感」

「声のトーンが関心しててウケる」


シーン。
部屋には蛍光灯の音だけ。ジーとか普段なら気にならない音が今は聞こえてくる。だってその音しかしない。誰もいる気配が本当にないし、おれたちは何の目的でどうしてここにいるのか。うーん、さっぱりだ。

誰も何も喋らず数秒間。優がポツリと呟いた。


「…………だめだ」


優が足を器用に動かしてお尻を引きずっておれと秋の方に向き直す。おれも秋も正三角形の位置に来るように向き直した。全員ちょっとにやけ気味。



「緊張感が出てこない」


秋が吹き出してそうだよなぁ、と頷いた。


「だって、3人で連れ去られるんだもんな」

「そりゃもう、ボケしか生まない」


吹き出したおれにみんな釣られるように笑い出す。
意外にも穏やかな監禁生活が始まった。




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