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しおりを挟む「3-aの横の教室?」
式を見送って別れたあと桃花も連れて先輩達がいるであろう場所に向かう。でもそれがクラスの教室ではなくその横だった。
そこがなんの教室だったかは全く覚えてないい。
「そもそもその階、先輩しか居ないから勇気いるんだよね…」
「いや、唯が居るから大丈夫だろ」
「おれ?」
階段を上がり二階へ、さらにあがって3階。この学校は3階が職員室や、校長室がある。そして一番上の階が3年生の階。階段を登りきると、ポケットに手を入れて廊下を歩く茶髪の先輩を発見。口角がいつも綺麗に上がっているこの人をおれは知っている。
「あーー!ちーちゃん先輩!!」
「唯じゃん!つーか、お前学校居なくね?」
「いやいや、ちーちゃん先輩が学校いないんですって」
「あー通りで会わない訳だわー」
このちーちゃん先輩、中学からの知り合いだ。
同じ中学ではないから秋と優は知らない。出会ったのは河原で寝ていたこの人を踏んづけてしまったという出会いだ。怒るどころか、驚いて起き上がり敵襲か?!と謎の言葉を言ったことによりおれは爆笑し意気投合したわけである。
秋と優が後ろでおれを指差した。
「ほら」
「さすが」
「え、なにが?」
桃花が困った顔で笑いながらも指差しちゃだめだよとやんわり伝えるところ優しさの塊。
ちーちゃん先輩は楽観的主義、単純明快、楽チンを好むわかりやすい人なので3人にも紹介しよう。
「こちらちーちゃん先輩!」
「よろ~」
「んで、秋と優と桃花です」
「うい!フルネームは忘れちゃうから名乗んなくていいよん」
「この通りのゆるキャラ~」
すぐに同じものを感じた優と秋が笑うが桃花だけは引きつった顔だ。漫才入門にはまだまだね、桃花さん。
「いま、氷怜先輩探しにきてて」
「おー!てかいつ氷怜さんたちと仲良くなったわけ?俺が学校行かねえ間に世間は変わるんだよなぁ」
顎に手を当てて考えるふりをするが大して考えてないのはよく知っている。やっぱりすぐに腹減ったなーと脱線した事を言い始めた。そう言う人なのだ。
「居た!亜久里千尋お前やっと出席したな!!!」
「あ、ぴよちゃん」
「うげ、ぴよちゃんきたわ。俺めんどくさくて他の先生に頼み込んで今日まとめてテスト受けたんだよね……ぴよちゃんそういうのは見逃してくんないし、怒られんのやだから逃げる!じゃあなあ~~」
鬼の形相のぴよちゃんからひらりと廊下の窓から逃げていくちーちゃん先輩。軽々と下の階に飛び移りピースサイン。本名、亜久里千尋。おれもその詳細は知らないけど、面白い人です。
「亜久里!!窓から出るなーーーー!」
ちーちゃん先輩が消えた窓から上半身を出して怒号を飛ばすぴよちゃん。ぴよちゃんは生活指導もしているのでそう言うところ厳しいんだなこれが。
大声に思わず耳を塞いだおれたちの肩を誰かがつついた。
「ぴよちゃんウルサーイ」
「豹原……」
瑠衣先輩に何故か構えたぴよちゃん。先輩のその登場に秋が驚いて声をあげた。
「あれ、瑠衣先輩来てくれたんすか」
「誰かさんたち遅いから~?」
明らかにおれたちなので謝ると大きな手でくしゃりと頭を撫でられた。ふっと笑っておれたちの背中を行くよーと言いながら押す方角は例の教室に向かっているようだ
「まて、どこに行く……」
「どこってあそこ」
3-aの隣のドアを指差した瑠衣先輩にぴよちゃんの眉がつり上がった。
「……おれの部屋だが?」
「そう、セイトシドウシツ」
「そうだな、お前らが一夜にしておれよあれよと色々持ち込んだお陰で優雅な生徒指導室になったよ……おがげで入り浸る奴らが増えて……」
「やーオレらいい事したなぁ~」
わなわなと震えるぴよちゃんに対してにかっと笑った瑠衣先輩はもう悪戯っ子の表情に切り替わっている。
「瑠衣さん……」
桃花が苦笑いする横で、優が指を唇にあてて部屋を想像したようだ。
「いいソファがありますね?」
「正解」
楽しそうに笑う彼を誰も止められないだろう。
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