sweet!!

仔犬

文字の大きさ
178 / 378
christmas!

13

しおりを挟む
「なーに、作ってんの」

「わ!冷たっビショビショ!」

おれがまな板に向かう手元を覗いてきたその瞬間、ぼたぼたと首筋に水が垂れ叫んだ。けらけら笑って首にかけていたタオルでゴシゴシ拭かれながら瑠衣先輩をよく見たら上半身裸だ。氷怜先輩がツッコまないからこれがいつもなのだろう。お風呂上がり超良い匂いなんですが。


「ひさと~ドライヤー無いんだけど」

「最後に使ったのお前だろ」


氷怜先輩が首をかしげるとソファの方で暮刃先輩がやれやれ立ち上がり、お風呂場に向かってすぐに戻ってきた。片手にはドライヤー。


「瑠衣が探してないだけでしょ」

「暮ちんどうも~」


リビングでドライヤーをするらしく地べたに座った瑠衣先輩。秋が立ち上がりその背中の真後ろからひょいとドライヤーを取り上げた。

「洗面台でやればいいのに」

首から後ろを向いて秋を覗くとにっと笑う。

「なあに乾かしてくれんのー?」

「良いっすよ」

「おー?機嫌がいいねぇオニイチャン」

わざと煽って兄と呼ばれても秋もいじけたふりをしなかった。ごおっと音を立てて髪を乾かしていく。頭を触られ気持ち良さそうにする瑠衣先輩の少し伸びた髪の毛は濡れてワンコみたいだ。その横のソファで2人で並んだ優と暮刃先輩がそんな2人を見て微笑ましいと笑っている。


「唯斗手元見ろよ」

「はーい」


ふっと笑った氷怜。
機嫌がいいのはここにいる全員だろう。


「何作んだ?」

「簡単美味しいお手軽野菜スープです~……てか瑠衣先輩食べれますかね?ケーキ食べたんですよね」

「へえ良いな。瑠衣ならケーキは水らしいから、食うだろ」

「み、水?」



別腹とも次元が違うらしい。なんで本当にそれで太んないのかは本当に不思議だ。それにここの冷蔵庫にもそれは美味しそうなケーキが完備されてた。もちろんホール。

カロリーの消費計算が絶対に合わないんだよな。


「味見」


いつのまにか口の前にあるフォーク。その先にトマトでしっかり煮込まれたお肉を口に入れればとろけるくらいの柔らかさと酸味のきいた味が染み渡る。美味しすぎて思わず悶えた。


「んーー!んまーーーー!」

「ははっよかったな」


いい笑顔でヘーゼルグリーンの目が細められ、顔が赤くなってしまった気がして思わず目を逸らしてしまった。

包丁を握り直しながら横目で見る先輩は気にした様子も無く、味見をすると満足げな顔をした。横顔だって線でなぞりたくなるほど綺麗。
こんな人達が料理まで作れるなんて。

「簡単なのしか作れないとか言ってましたけど、超うまいじゃ無いですか!」

「決まったもんなら作れるってだけ。暮刃みたいにキッチンに長居して開拓しようとは思わねえな」

「たしかに……おれ開拓ばっかりしてます」

「だろ、それがすごい事だよ」


そう褒めてくれるがそれでもずるい。存在がずるい。
そもそも今日はびっくりさせたかったんだけど、びっくりさせられたのはこっちだ。しかも飛び切り級に嬉しくて、一生かけても勝てそうにないプレゼント。
何でこう考えてしまうのかと思えば、今まで女の子や友達に散々してきたサプライズやプレゼントが外れた事が無かったからだろうな。だからおれも自信があった。

でも今回も自信があったけどそれ以上のサプライズをもらってしまったから嬉しい反面おれも彼氏としては思うところがあった。

グラスに入ったお酒を飲みながらまた目線が合った。

「なんでむくれてんだ唯斗」

曲げた指輪で頭を突かれる。

「むくれるというか、サプライズはすこし負けた気分です。しかも超が付くくらい嬉しいし、今日も超かっこいいし……」

「勝ち負けじゃねえし、あと顔面は生まれた時からだわ」


多少むくれたところでいつも見せない爽やかな笑顔をおれに見せてくれるからすぐに忘れてしまいそうだ。なんとか気を取り直しもっと先輩のために出来ることを増やしていこうと決めた。

「次!もっと喜ばせるんで!覚悟しといてください!」

「喜ばせるも何も」


拳を握ったら頬を撫でられる。


「……俺はこの指輪かなりキたけどな」


しおりを挟む
感想 182

あなたにおすすめの小説

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。

或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。 自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい! そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。 瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。 圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって…… ̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶ 【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ 番外編、牛歩更新です🙇‍♀️ ※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。 少しですが百合要素があります。 ☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました! 第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...