179 / 378
christmas!
14
しおりを挟む思案するように氷怜先輩がぼそりと呟いた。よく聞こえなくて首をかしげるとあげた指輪を逆の手でくるりと回す。
「唯斗、これ俺にずっと付けてて欲しいか?」
「もちろん!」
喜んでもらいたい、そう思ってそれを選んだのだからたしかにつけて欲しい。これでも男だから、首でもどこでも良いけど身につけてもらえたらそりゃ嬉しいよね。
氷怜先輩も同じはずなのに何故それを聞かれたんだろう、まさかデザインが気に入らなかったのだろうか。もちろん喜んでくれていたのは見ていたけど思わず聴きたくなってしまった。
「あの、気に入らなかった……とか?!」
「まさか。なんなら他の指輪捨てたっていいぜ」
「え、いや?!捨てなくていいです!」
否定の言葉に安心してそしてその他を捨てる意味を理解したら急激に照れてぶんぶん頭を振る。愛が男前すぎてうまく返せないけど、そんな事は思っていない。
ただ喜んで欲しい、好きなものを身につけて、その上でそばに置いて欲しい。それだけだ。そう思ったおれを氷怜先輩がじっと見つめていた。
「お前……気付いてるか?」
「え?」
突然質問されたが、何に大しての質問なのか。
きょとんなおれの反応に何かを考え始め、何も言わずにそのまま完成した料理を盛り付ける。
おれはその間に煮込まれているスープに最後の具を入れた。後は待つだけ、もう少しで完成だ。
「唯斗」
するとカウンターに寄りかかった氷怜先輩がおれの指をとった。もらった指輪は細めで外側はまっさらで丸めに作られている。でも内側の見えない部分に小さな宝石が入っていた。そのセンスが彼らしい。
なぞるように触られるとくすぐったい。
「どの指でもいい、俺がお前にあげた事を忘れるな」
真っ直ぐな視線がおれを貫いている。
そんなの当たり前だ。この先おれはこの指輪をを見るたびに氷怜先輩を想うだろう。見るたびに恋するほど、愛しさがこみ上げる。おれの中で絶対的な人間がこんな事を言ってくれる。
それに、同じ気持ちだ。
「おれもそう思ってもらえたら嬉しいです」
くすくす笑ったら、そう答えるとは思っていなかったのか氷怜先輩が意外そうな表情した。
「へえ……」
薬指だけの感覚が手のひら全体を遊ばれるように指が絡み、ついに重なってその手に閉じ込められた。
その動きに気づいたおれのだんだん早くなる鼓動に合わせたように、いつも揺るがない瞳が一瞬光を強くしてた。口元をゆっくりと上げ、ぞっとするほど美しい捕食者の笑み。
「お前から首輪が貰えたと思うと、堪らない」
繋がれた手を口元に運び、数回緩やかにキスが落とされる。
その間ですらその目がおれを捉えているから、口を動かしても息がうまく出来なくて言葉が不発に終わった。
おれはやっぱりだめなんだ。
こう言う時のこの人を目の前にすると今まで培った言葉や行動が全部真っ白になってしまう。聞こえないはずの鼓動がうるさくて耳元で鳴らされているようで、それ以外はこの人の情報しか入ってこない。目が離せなくなって甘くなった匂いで胸が苦しい。
「首輪じゃ、ない……」
やっと言葉が出たのに言葉と同時に恥ずかしさがこみ上げてきた。意識していなかっただけで、そうと言われて仕舞えばそれは嘘じゃない。
「こんな捻くれた考え方してねぇのはわかってるけど……勝手に喜ぶのは良いだろう?」
ニヒルな笑みに瞳が鋭くなった。
絶対的な王者が何故おれに屈するような言葉を選ぶのか、いままで信じられなかったけどそれがこの人の表現の仕方なんだ。その想いをおれに解りやすく伝えてくれている。
もう恥ずかしくて思わず一歩下がると肘が火元に近くなってしまった。グイッと引っ張られて氷怜先輩の腕の中。
「気を付けろ」
表情が見えない中で耳元で囁かれた言葉が色をつけて体に響く。
それは何に、それとも誰に?
25
あなたにおすすめの小説
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる