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christmas!!
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しおりを挟むあと数時間で日付けが変わる。
まさしく夢のような長い一日はあっけなく終わりに近づいていた。
氷怜先輩の美味しいご飯もおれが作ったスープもあっという間に進んで食後のデザートに差し掛かる。この時間のデザートは大敵だけど、今宵はなんでも許されるだろう。
ローテーブルの横で頬張ったベリーと赤いソースがたっぷり乗っかったケーキはスポンジも柔らかくて酸味と甘みが絶妙のバランスだ。
「唯斗、ついてる」
喉を転がしながら笑う氷怜先輩につられて笑うと、おれの頰を滑る指が止まった気がした。首をかしげる前に秋の声に耳が傾く。
「先輩達が今住んでる家のカードキーもくれたってことはここに住む訳じゃないんですよね?」
「もちろん。君たちだって家があるし使いたい時に使えば良いと思ってるから」
「いやあ、こんな良いところ別荘扱いできねぇ……」
「じゃあたくさん居てくれないと」
ソファに座る瑠衣先輩の足元で頭を抱えた秋をくすりと暮刃先輩が笑った。こうなることなど想定済みの顔。
「俺たちとしても色んなこと楽しんでる邪魔はしたくないけど君たちが居たいって言ってくれるなら万々歳、ぜひ住んで欲しいかな。ねえ瑠衣」
「暮ちーん、そういうのはここ買うって言い出した本人に聞きなって」
けらけら笑いながらケーキを頬張った瑠衣先輩の目が悪戯に笑ったが、それでも彼は自信たっぷりにこう返す。
「あげたいもんやっただけだろ」
「あーあー、ひーは正直すぎてツマンナイ」
狼狽えて欲しいと思っていたのか不満げな瑠衣先輩は秋の口にケーキを突っ込んだ。特に気にする様子もなくもぐもぐと食べる秋に不満顔からすぐにけらけらとご機嫌だ。
「まあ、ここに居てくれたら俺らは尻尾ふって喜んでやるよ」
「……こういう時の氷怜先輩のずるさって無敵だなぁ」
優がソファの背もたれに体を預けて呟くと暮刃先輩はその横で完敗だと呆れ返るが、さんざんその素晴らしさを浴びたおれは頷く事しか出来ない。
満腹に脳が反応したのか随分と大きなあくびをした秋につられ、ぐっと手から背を伸ばしたところで大きな手が頭に乗った。
「今日は泊まるとして、明日は?」
明日。そう、明日はお休みだ。
今日の予定は変わっても明日の予定は変更なし。
「明日はデートがしたいです!」
「ん、いいよ」
元気に手を挙げると氷怜先輩が瑠衣先輩と暮刃先輩に目配せした。そう、そうなるからちゃんと言わないと。
秋が困ったような恥ずかしいような顔で上の瑠衣先輩を見上げた。
「えーと、たまにはと思って」
「んー?」
煮え切らない秋に首をかしげる瑠衣先輩。優も同じような顔で暮刃先輩の腕を突く。
「グループじゃなくて、マンツーマンのご提案なんですけど」
「へえ……?」
暮刃先輩はすぐに察しがついたのか意味ありげに微笑んだ。
いっつもおれたち三人一緒を受け止めてくれていたから、たまには恋人らしい時間を。氷怜先輩の指を絡め、床に座る長い足の間に入って覗き込む。
「2人でデートがしたいです」
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