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secret!!
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横目に秋が階段を登っていくのが見えた。秋は女子会の雰囲気で順調そうだったし安心安心。それにしても上にはなにがあるんだろうか。
目の前では打って変わって嬉しそうに笑う麗央さん。ああ、笑うと天使だ。
「アゲハ綺麗だね!てゆかさっき飲まされてたみたいだけど大丈夫?」
「あれくらいどうって事無いわよ!それより来てくれて本当にありがとう~!ごめんね遅くなって」
本当に仲良しみたいで、美人と美少年がきゃっきゃと喜んでいる。
機嫌治って良かったぁ、おれの顔とアゲハさんがいないことが原因だったらしい。顔はどうにもならないし、仲良くなれないの残念だけど2人が楽しそうだし良かった良かった。
ニコニコしてたらアゲハさんがおれの肩を掴み麗央さんの前に一歩出す。あ、これはやばい。
「ね、麗央ちゃんランちゃんと話した?貴方と同じで本当に可愛い子でしょ!」
アゲハさんの紹介にやはり、不機嫌が復活した。
眉間がキュッと締まり声がワントーン下がる。ああ、天使の笑顔が消えてしまった。
「可愛いけど、無理。余計むかつく」
がーん。
でもむかつくってこんなにはっきり言われるのも潔くて、ポジティブで出来ているおれはむしろ新鮮に感じてきた。アゲハさんは麗央さんを抱きしめたままむくれたように言う。
「麗央ちゃんすぐに人見知りする!」
「人見知りとかじゃなくてこいつが嫌なの!」
「もーそんなこと言って私以外話さないじゃない!……ってごめんね2人とも、あとは大丈夫!本当にありがとう」
「いえいえ、すごく可愛らしい人でびっくりしました」
おれの言葉に反応したアゲハさんはお友達が褒められて嬉しいのか、また麗央さんを抱きしめてにこにこ話し出した。
「でしょでしょう?私は麗央ちゃんとランちゃん絶対合わせたかったのよ~ドレス着せたい欲がこうウズウズと……」
「こいつにもドレス着せるの?じゃあ絶対写真撮らせてあげない」
ふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向いた麗央さん。横顔も綺麗でドレスも似合うだろうなぁ。しかもなんだか可愛く見えてきた、絶対おれより年上なんだけどね。
「ええーー……やだあ!麗央ちゃん~~!」
「俺もやだ!」
うんうん、クラスの女の子もこんな感じ。おれが嫌われてて切ないけど邪魔しない為にも席を立とう。蝶子さんと同じタイミングで立ち上がるとボーイさんが近づいてくるのでそろそろ交代だ。
「麗央さん、ありがとうございました」
「……ねえ、あんた本当の名前は?」
いやそうな顔で麗央さんがおれを覗いていた。
当然源氏名だと誰もが知っているが、本当の名前を教えた方がいいのだろうか。
迷っているとアゲハさんが麗央さんに手を重ねながら笑いかけ、目を見てしっかりと言う。
「お店で名前を聞くのは私の本当の名前をここで晒すのと同じよ、麗央ちゃん」
「……わかったよ」
ふいっと視線が外される。
これは、もしかして氷怜先輩と関わりがあるかどうか見極められてるのか。アゲハさんがアシストしてくれたから良かったけど、おれが本人だと知ったら彼はどうなるのだろう。
そして天使さんはびしっと指をたてて言い放つ。
「じゃあもう早く行って!」
「は、はい!」
あ、これ絶対ブチ切れられるパターンな気がする。反射的に頭を下げて席を外すと麗央さんに見えない角度からアゲハさんが手を合わせて口の形だけをごめんねと動かしていた。
おれは小さく大丈夫ですよと微笑んで歩き出す、ボーイさんと話した蝶子さんが階段を指差しのんびり笑った。今日特にときめいたことと言えば蝶子さん、接客の時と普段でオンオフがあってかっこいい。
「ランちゃん~次、上に行ってくれる?それでお開きだって、本当にありがとう~」
たくさんフォローしてくれた蝶子さんにお礼を言ってその場を離れる。
そう言えば秋も上に向かって降りてこないな。
ボーイさんに案内されながらフロアを見ると丁度胡蝶さんが本日もう何本目もわからないお酒をオーダーしていた。不意に目があってウィンクに投げキッスと素晴らしい攻撃。
「のりのりだなぁ、胡蝶さん」
その美貌、我ながらいい仕事をしたもんだ。
じつは今日アゲハさんの次に売り上げを伸ばしていたのが胡蝶さんだった事をこの時おれはまだ知らずにいた。
「ではこちらへ」
到着したのかドアの前で止まるとボーイさんが微笑んだ。二階は個室なんだなぁとか思いながら、ふと自分が自然な流れで1人になっていることに気付いた。個室にいるような人をおれ1人で対応するの?え、良いんですか?
ドアは開けられてしまったし、こうなれば潔ぎよくおれはにっこり微笑んだ。
「ランで……す?」
名乗ろうと思ったら部屋を見て1秒で誰がいるかを判断。
手前から秋、瑠衣先輩、そして。
「へえ、お前はランになった訳か。唯斗」
目の前では打って変わって嬉しそうに笑う麗央さん。ああ、笑うと天使だ。
「アゲハ綺麗だね!てゆかさっき飲まされてたみたいだけど大丈夫?」
「あれくらいどうって事無いわよ!それより来てくれて本当にありがとう~!ごめんね遅くなって」
本当に仲良しみたいで、美人と美少年がきゃっきゃと喜んでいる。
機嫌治って良かったぁ、おれの顔とアゲハさんがいないことが原因だったらしい。顔はどうにもならないし、仲良くなれないの残念だけど2人が楽しそうだし良かった良かった。
ニコニコしてたらアゲハさんがおれの肩を掴み麗央さんの前に一歩出す。あ、これはやばい。
「ね、麗央ちゃんランちゃんと話した?貴方と同じで本当に可愛い子でしょ!」
アゲハさんの紹介にやはり、不機嫌が復活した。
眉間がキュッと締まり声がワントーン下がる。ああ、天使の笑顔が消えてしまった。
「可愛いけど、無理。余計むかつく」
がーん。
でもむかつくってこんなにはっきり言われるのも潔くて、ポジティブで出来ているおれはむしろ新鮮に感じてきた。アゲハさんは麗央さんを抱きしめたままむくれたように言う。
「麗央ちゃんすぐに人見知りする!」
「人見知りとかじゃなくてこいつが嫌なの!」
「もーそんなこと言って私以外話さないじゃない!……ってごめんね2人とも、あとは大丈夫!本当にありがとう」
「いえいえ、すごく可愛らしい人でびっくりしました」
おれの言葉に反応したアゲハさんはお友達が褒められて嬉しいのか、また麗央さんを抱きしめてにこにこ話し出した。
「でしょでしょう?私は麗央ちゃんとランちゃん絶対合わせたかったのよ~ドレス着せたい欲がこうウズウズと……」
「こいつにもドレス着せるの?じゃあ絶対写真撮らせてあげない」
ふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向いた麗央さん。横顔も綺麗でドレスも似合うだろうなぁ。しかもなんだか可愛く見えてきた、絶対おれより年上なんだけどね。
「ええーー……やだあ!麗央ちゃん~~!」
「俺もやだ!」
うんうん、クラスの女の子もこんな感じ。おれが嫌われてて切ないけど邪魔しない為にも席を立とう。蝶子さんと同じタイミングで立ち上がるとボーイさんが近づいてくるのでそろそろ交代だ。
「麗央さん、ありがとうございました」
「……ねえ、あんた本当の名前は?」
いやそうな顔で麗央さんがおれを覗いていた。
当然源氏名だと誰もが知っているが、本当の名前を教えた方がいいのだろうか。
迷っているとアゲハさんが麗央さんに手を重ねながら笑いかけ、目を見てしっかりと言う。
「お店で名前を聞くのは私の本当の名前をここで晒すのと同じよ、麗央ちゃん」
「……わかったよ」
ふいっと視線が外される。
これは、もしかして氷怜先輩と関わりがあるかどうか見極められてるのか。アゲハさんがアシストしてくれたから良かったけど、おれが本人だと知ったら彼はどうなるのだろう。
そして天使さんはびしっと指をたてて言い放つ。
「じゃあもう早く行って!」
「は、はい!」
あ、これ絶対ブチ切れられるパターンな気がする。反射的に頭を下げて席を外すと麗央さんに見えない角度からアゲハさんが手を合わせて口の形だけをごめんねと動かしていた。
おれは小さく大丈夫ですよと微笑んで歩き出す、ボーイさんと話した蝶子さんが階段を指差しのんびり笑った。今日特にときめいたことと言えば蝶子さん、接客の時と普段でオンオフがあってかっこいい。
「ランちゃん~次、上に行ってくれる?それでお開きだって、本当にありがとう~」
たくさんフォローしてくれた蝶子さんにお礼を言ってその場を離れる。
そう言えば秋も上に向かって降りてこないな。
ボーイさんに案内されながらフロアを見ると丁度胡蝶さんが本日もう何本目もわからないお酒をオーダーしていた。不意に目があってウィンクに投げキッスと素晴らしい攻撃。
「のりのりだなぁ、胡蝶さん」
その美貌、我ながらいい仕事をしたもんだ。
じつは今日アゲハさんの次に売り上げを伸ばしていたのが胡蝶さんだった事をこの時おれはまだ知らずにいた。
「ではこちらへ」
到着したのかドアの前で止まるとボーイさんが微笑んだ。二階は個室なんだなぁとか思いながら、ふと自分が自然な流れで1人になっていることに気付いた。個室にいるような人をおれ1人で対応するの?え、良いんですか?
ドアは開けられてしまったし、こうなれば潔ぎよくおれはにっこり微笑んだ。
「ランで……す?」
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