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secret!!
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しおりを挟む「氷怜先輩!!」
迷う事なく座っている相手に飛びついた。結構勢いがあったのに抱きとめてくれ、膝に乗せられる。嗅ぎ慣れた良い匂いに包まれ、嬉しくて首に両手をかけて話しだした。
「早かったですね!アゲハさんが選んでくれたドレスこんな感じですっごい可愛いんですよ、あと……あ!!あの、と言うか優がお酒飲んでておれちょっと確認してきます!」
のんびりする前に、先に優のところに行かないと。酔ってないのかな気持ち悪いとかになってなければいいけど、大丈夫だろうか。慌てて立ち上がろうとしたらヒールでバランスを崩してまた氷怜先輩の腕の中に収まってしまう。
「わ、ごめんなさ……い?」
謝りつつ体勢を戻すが身体が持ち上げられた。立たせてくれるのかと思ったら、そのままなぜかソファに下ろされる。おれはもう一度立とうとしたけど、腕を引っ張られてまたソファに着地。
「せんぱい?」
「唯……座っとけよ」
「え?」
随分と瑠衣先輩と秋が静かだなと思っていたら、ようやく秋が口を開いた。何故か小声だし、秋ってあんなに座高があっただろうか。テーブルの下を覗くとヒールだけが床に置かれていた。
「ん……?なんで秋、正座してるの」
「思わず……?」
美人さんがドレスでしかもソファの上で正座しててちょっと面白い。おれが聞いてるのに秋まで疑問形で返すからおれまで同じ方向に首を傾げてしまった。
「えーと……」
そして可笑しいことに気づく、あの瑠衣先輩が一言も発していないのだ。秋の横でいつも通り綺麗な顔、でも悪戯っ子の可愛い笑顔が今は見えない。首筋に寒気を感じて氷怜先輩を振り返るとタバコを吸っている彼がいた。
珍しい。全然気にしなくていいと言ったのに優しい先輩はおれたちの前でほとんど吸わなくなったのに。
つまり、それほどのことが……?
そしてその匂いが刺激になったのか脳が反応して思い出したことがあった。
あの時はもうアゲハさんの助けだけを考えていて、ことの重大さに気付いてなかった。胡蝶さんがそう言う意味でおれを見ていたと知った今おれが伝えることと言えば……。
「あの……胡蝶さんの、写真……ご覧になりましたでしょうか……?」
馬鹿丁寧な日本語になっても仕方がない。ヘーゼルグリーンの瞳が恐ろしく綺麗に弧を描いた。
「お前はマテから教えてやるべきか……?」
ニヒルだけでは済まされない、壮絶なナニカを含んだ笑みがおれを捉えて離さない。
「ま、待て?」
返事はなかったけど秋が何故正座していたのかも分かってしまって、同じ姿勢をすぐにとり背筋を伸ばす。
だけどやっぱり待てども待てども何も言われずついに音がなくなった。
正確には瑠衣先輩と氷怜先輩がグラスを持ちあげる時の氷が当たる音しかない。秋を見るが俺にはどうすることもできない腹は括ったと、そんな澄み切った切腹3秒前みたいな顔。
「あの……」
やっと絞り出した声でも誰もなにも話してくれなくて、無言に耐えかねたおれは思わず氷怜先輩の手にテシっと掌を乗せるが、それでも反応はない。
もう頭がぐるぐるで、マテってどうしたらいいか分からないし、おすわりもお手もしたし、これ以上は何も出来ず、必死の思いでどうにか解決策を導いた。とにかく反応を貰わないと何も始まらない。
そうだ、本物のわんこを思い出せ。
例えば、お腹が空いたとかドアを開けてとか散歩に行きたいとか。
とにかく何かをして欲しい時は相手の目を見て喉をか細く鳴らしてこう言うのだ。
「……くうん」
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