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rival!
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しおりを挟む新人どころかモデル駆け出しでもないような気がする。
不思議そうにここじゃ見たことないと言うカノンちゃん。座っていたおれは立ち上がって微笑む。
「はじめまして。高瀬唯斗と言います。新人でもなく……助っ人、的な感じで」
カノンちゃんはゆっくりとおれを見た。視線は学校から連れてこられたままの制服を見ているような気がする。
折れそうなくらい細い腕がワンピースから覗いていて、春物で薄い生地だから余計にわかりやすい。
近くで見るとますますその可愛さが際立つけどカノンちゃんこんなに細かっただろうか。モデルさんやテレビに写っているような人は想像よりもはるかに実物は細いと言うけど、見慣れているクラブに来ているお姉さん達だって相当細いのにそれ以上だ。
カノンちゃんは耳に髪をかけて微笑む。
「制服着てるから少し珍しくて……私はカノンって言って」
「実物もこんなに可愛いなんて、天使ってやっぱりいるんですね」
あー始まった……と式の呟きが聞こえたけど、それよりも目の前の天使を褒めなくては駄目だ。手を取って微笑む。本当に細い。
「……君、女の子みたいなのにちゃんと男の子なのね」
一瞬驚きを見せたカノンちゃんはすぐに笑い出した。眉を下げて笑う姿は柔らかい印象で雑誌のイメージ通り。でもそれとは真逆で握った手が冷たいのが心配だ。
「寒い、ですか?」
「え?」
「手が冷えてるから。今日寒いですよね確かに」
「……冷え性なの、大丈夫よ。ありがとう」
パッと離された手を摩りながら言うカノンちゃん。少し困ったような顔をしたけどすぐに明るく微笑んで言う。
「まだ他の子見つからなそうだから、あったかい飲み物でもマネージャーに貰ってこようかな。またあとでね」
「はい!」
めちゃくちゃ手を振ればニコニコ笑って手を振りかえしてくれる。
「なんていい子なんだ……」
「毎日幸せそうだな唯」
後ろで式はため息。全くと言って良いほど興味がないらしくスマホで何やら連絡をしている。おれはまた座ってメイクを再開。下地を塗るとパウダーに変化してベタつかないしヨレにくそう。そうやって一つずつ確認しながら式に話しかける。
「連絡してるのチームの人たち?」
頷いた彼は画面を見せてくれると、どこで何をしているかを報告するらしい。幹部ってまとめる人たちがいるから自分の予定を知らせるのも大事なのだとか。
「まあ元々報連相しっかりしてるからな、お前と違って」
「む、でもおれ連絡はマメだよ?」
「……昨日俺に何てメッセージ寄越したか覚えてるか。れんこん買い忘れた……って。そんなもんいらねぇんだよ。連絡ってのはそうじゃねえよ!」
「だってえ、れんこんサラダ作りたかったのにその悲しみ共有を~……」
秋も優もくだらないことでも何でも連絡してくるから式にも送ってしまっている。つまりそれほど仲良しでいい事なのだけど、式からしたらおれたちの報連相は甘いらしい。
「まさか氷怜さんにもあんなの送ってんのか?」
「うん、送るよ~」
「ひ、氷怜さんはなんて……?」
聞きたいような聞きたくないような顔の式。なら聞かなきゃいいのにと思うけど、式は先輩達のこと神様レベルで好きだろうから気になるのも仕方がない。
「って言っても最近ほとんどグループチャットだから返すの瑠衣先輩なんだよね。多分その場で瑠衣先輩が暮刃先輩と氷怜先輩の言う事を打ってる気がする……」
「ああ氷怜さんそんなスマホ弄るイメージ無いわ……じゃあ瑠衣さんは?」
「えーと、れんこんの話の時は……じゃあだいこんにシヨって来た気がする」
「根菜類で代用……」
なんだか話はずれてきたけど、話しながらもメイクは着々と出来上がってきた。とにかく柔らかいピンクの発色がいい。春にぴったりだ。
完成してさて着替えもしないといけないよなと立ち上がろうとした時編集長さんの悲鳴のような声が聞こえてきた。
「もう駄目だ!麗央しかいない!!」
「えーでもイメージがなぁ」
「そんなこと言ってる場合か!!なら2人でも良いだろう!」
「3人の方が絶対いい色が出るって言ってるだろーわかってないなぁ」
「だからいないんだって!!」
柚さんは編集長さんを気にもせずさらに花を盛り上げて飾っている。振り向きもせずいつもより真面目な声で柚さんが言う。
「色が涼しすぎる……いくら素質があっても混ざり合わないと意味がない」
柚さんの美的感覚は柚さんにしか見えない色で構成されている。可愛いけどどこか違うのだろう、でもおれが見た雑誌の麗央さんは本当に多彩でいろんな表情をするのだ。確かに綺麗な顔だけど、それでも可愛い事には変わらない。
もう言うなら今しかないかも。駄目なら駄目でしょうがないと思い元気よく手をあげた。
「おれも麗央さんが良いです!!」
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