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rival!!!
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しおりを挟む「あれ!椎名さん!」
「こんばんわ」
すぐに椎名を見つけた秋と優が入り口まで来て椎名に話しかける。
「椎名さん仕事帰りですか?」
「そうなの!ここもういつもなら閉店の時間、よね?珍しいなーって思って寄ってみたらみんないるんだもん驚いちゃった、それに……」
3人が話している間、こういう時におれのすることって、まず今朝自分で椎名に施したメイクチェックだったりする。口うるさいのは許して欲しい、春さんの前で椎名のチェックが厳しくなるのはご愛嬌だ。
「はい、椎名まずはリップかして!」
「あ、そう!今日忘れちゃって唯斗かしてえ」
「え!?命だから、忘れるとかだめ絶対!」
「ごめんって」
なんならおれのポケットに入っていたのですぐに塗ってあげてなんとか荒れる前の唇を死守。それ以外のメイクよれは無し、巻いた髪の毛も前髪を少し流しつつ直してあげてひとまずオッケー。
このやりとりも見慣れている2人はそれぞれ椎名を褒めていく。
「椎名さん今日の服可愛いですね」
「メイクももしかして唯斗がやってます?」
「すごい、よく分かったね!今日大事な会議があったから唯斗に全部任せたのよ」
「なるほど。似合います!」
「やだもう2人とも会うたびに褒めるのが上手くなっていくわねぇ」
いつも通り話してしまっているけど、この場のほとんどの人が椎名のことを知らないのだ。
だからみんなに紹介、と思ったら既にものすごい見られている。全員。
そしてまず立ち上がった1人。
「椎名さん、お久しぶりです」
一番最初にいつも通り、ではなくいつもの100倍爽やかさをMAXにした氷怜先輩が微笑んだ。すぐに嬉しそうに椎名が駆け寄った。
「氷怜くん!やだもう、久しぶりだね」
「はい、なかなか挨拶に行けず申し訳ないです」
「いいのよ、私も予定いつも合わなくて。どう?唯斗、また迷惑かけてない?」
「いえ微塵も」
きょ、今日すでに心配を掛けているとは言い出せない雰囲気だなこれ。よし、この隙にみんなに椎名を紹介しよう。
「あ、みなさん。こちら高瀬椎名、おれの母です」
「こんばんは、椎名でーす」
おれが人見知りしないのは絶対に椎名譲りだ。何の迷いもなくにこにこでみんなに手を振る椎名、この美形集団を前にしても変わらない態度さすがです。
ぽかん。
全員そんな顔してる。
「姉じゃなくて……?」
「母……」
那加さん、美嘉紀さんがそれぞれ思わず漏れ出たように言う。あ、なるほど、そう言う驚きか。似てるしね、しかもおれくらいの息子がいるにしてはたしかに若い。10代の時の子供だしなぁ。
「……ブフ、ひーが猫かぶってるブフッ……」
「瑠衣あれが当然だから、人として……そう、氷怜も人だったって事だよ」
「うるせえよお前ら……」
あ、暮刃先輩と瑠衣先輩は写真で見せたことがあったからすぐに気がついたらしい。瑠衣先輩が吹き出しそうなのを暮刃先輩が肘で突きながらなんとか抑えている。
「きゃあ嬉しいー、おねぇちゃんだって唯斗」
「おれと出かけた時とかよく言われるじゃん」
「違うのよ、知らないひとから言われるのと唯斗の友達に言われるのとではわけが違うのよ。もう、まだまだ女の子の気持ちが分かって無いんだから!」
そこは母親心じゃないのか?
ほんとに椎名と話してる時はクラスの女の子と話してる気分になる。あ、友達ノリだから余計に親子に見えないのかも。
椎名は目をキラキラさせて、それよりも唯斗とおれの腕を掴んだ。
「ね、ね、何の集まりなの?モデル?アイドル?唯斗のお化け並みのフレンドリーさってすごいお友達ばっかり作るのねぇ」
「え、モンスター級はたぶん椎名譲り……まあいっか、氷怜先輩のチームの人達だよ」
「えええ、すごーい。みんなかっこいいのね……」
「でしょ?!」
それに関してはもう胸を張って紹介したい。
椎名に答えてにっこり微笑んだのは暮刃先輩だ。
いつも通りの紳士ぶりで美しく微笑んだ彼は自分を始めチームの人たちを紹介していく。椎名は放っといても1人で大丈夫という確信があるのでその場を離れて急いでキッチンに戻る。
「春さん春さん、ごめんなさい。椎名も良いですか?」
「もちろん、会議って聞いて来るような気がしてたんだよね」
「え?」
「たまに今日みたいな日に来てくれるんだ。唯斗がメイクしてくれたのって嬉しそうに」
流石に息子として嬉しすぎる報告。マザコンと言われても仕方がない、無条件で承諾だ。あと春さん会議って知ってたって事は連絡のやりとりがあるって事ですね?!と言いたくなるのを抑えてカウンターのみんなに振り向く。
「麗央さんと李恩にもあとで紹介して良いですか?神さん才さんも……」
「いやいや、してくれよ!つーか、激似だな」
「母親ってより姉感あるけど、激似!」
神さん才さんが興奮気味に言うけど、全く同じ顔の2人に激似と言われるのもなんだか面白い。
ふと麗央さんを見れば心底楽しそうな顔をしていた。春さんを見て、その先の椎名を見て、そしていたずらっ子みたいな顔で李恩を見る。
「ふーん……?」
「意味ありげにこっち見てんじゃねぇよ……」
「別に?」
楽しそうな彼はくすくす笑いながら今度はおれに言う。
「唯斗そっくりだねお母様。可愛い人」
不機嫌な、と言うか焦っているように見える李恩は置いといて、麗央さんに椎名を褒められたら舞い上がる。勢いに任せて麗央さんに抱きつこうとしたら指一本で止められた。
当然不機嫌な顔をしているだろうと思ったけど、麗央さんがおれ呼ぶ。
「唯斗……さっきのお願い、今日使っても良い?」
麗央さんの瞳がしっかりとおれを見ていた。
おれの答えはいつだって決まっている。
「もちろん」
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