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misunderstanding!
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しおりを挟む「あれ?珍しいな、優は?」
紫苑さんがおれと秋の2人の姿を見ると不思議そうな顔をする。ここには基本的に3人でいるので、チームの人は誰か欠けるとすぐに気づくのだ。
「今日は用事があって2人だけです~」
「ふーん?ま、今日もやりますかね!」
最近の変化と言えば幹部人による稽古のおかげで咄嗟の攻撃や合わせにもだいぶ動けるようになってきた事。それから幹部の人だけじゃなくて李恩も教える側に加わった事。
今日も幹部揃いの稽古の時間。めずらしく美嘉綺さんが最初に立候補した。
「俺、今日早めに抜けちゃうので、先にやっても良いですか?」
「ミカちゃんさん!」
「え?」
おれが思わず呼んだ名前に美嘉綺さんが固まった。美嘉綺さん表情はほとんど変わらないけど違和感があったのだろう、秋があちゃーと眉を下げる。
「あ、ごめんなさい。最近おれたちで勝手に美嘉綺さんの事ミカちゃんさんって可愛いから呼んでて……流石に嫌、ですよね」
彼は一瞬目線をおれから外し、首を傾げた。
「いえ……どうしてちゃんの後にさんが来るんですか」
「え、ちゃん付けチームの人たちにするのはなんだか気が引けて……あはは」
「名前は、どう呼ばれても良いのでさんもいりません」
「やった!」
喜んだおれに「……ミカちゃん?」と横で見ていた那加さんが爆笑している。そこもどうでも良いのかミカちゃんはホールに立つとどちらからお相手しますか?と静かに聞いてきた。先に手を挙げた秋とすぐに手合わせを始める。
おれたち3人の中で秋が1番様になっている。と思うのはダンスで身体を動かし慣れている彼がいち早く自分のスタイルを確立したからだ。
「秋、やり方瑠衣さんに似てきたな……」
「可愛いっしょー?」
「はいはい」
紫苑さんがなんだか自慢げな瑠衣先輩に苦笑気味に返事をする。先輩達は階段で話しながらドリンク片手に優雅に観戦。
「毎日飽きずに良くやるね……」
「麗央!」
今日も美人で可愛い天使フェイス。麗央がホールに顔を出したのですぐに駆け出した。最近は抱きついてももうハイハイと流されるだけで避けたりひっぺがしたりしなくなったのがうれしくて余計に毎回抱きつきにいく。出入りも李恩がいるときだけで無く、おれに会いにきたりしてくれるんだからにやける。
「麗央おはよう~」
「はい、おはよう……とゆか、こんな稽古やんなくてもあの人たちが守ってくれるでしょ」
「でも少しは動けた方が良いことも絶対あるからねぇ」
「まあ、そうだけど……この顔だけには傷付けないでよね」
麗央にぱふっと両手で顔を挟まれる。
顔だけには……と言うのには少し理由がある。氷怜先輩の事は好きだけどもうどうなりたいとは思っていない。ただし、いつでもおれが全力で可愛く氷怜先輩の隣にいて欲しいと言うなんだかモデルを頑張る麗央らしい話をされたのだ。
全力で可愛く、と言うのがどう言う基準なのかはいまいち分かりづらいけど、怪我なんてもってのほからしい。
「はい!」
はっきりと大きな声の返事に満足したのか麗央が笑う。キラキラブロンドの彼は長いまつ毛まで色素が薄い。綺麗だけど笑うと最高に可愛い笑顔が堪らないね。
桃花の照れも可愛いけどこれまた良い勝負だ。
「というか……もちもち、相変わらず肌綺麗」
「あ、麗央最近乾燥するって言ってたから今日おすすめしたいやつ持ってきてて……今それ塗ってるんだよ~」
「え、なんてやつ?あと、この前の美容液も良かった」
「良かった!!そんでこれねー!おれも麗央が教えてくれた洗顔初めて使ったけどめちゃめちゃ良い~」
「うわまた始まった」
そうなのだ、麗央とは美容仲間としても完璧に意気投合。最近変わった事にこれもまたプラスだ。嬉しい変化、麗央はおれですら知らないものをたくさん知っててもう会うたびに大盛り上がり。
式が苦笑していると隣に李恩が立った。
「毎日毎日飽きねぇなぁ」
「榊」
「あれのお友達ってのも大変だな」
式にそう言う李恩に麗央がキッと目線を向けた。
「李恩も覚えてよね、買い物にプラスするから」
「へいへい、もう覚えてるよ」
「……お前も大変だな」
李恩と麗央のやりとりがおかしかったのか後ろに続く桃花も笑っている。
「またすぐ仲良くなるね……俺には分からない分野で入れないのが残念……」
なんだか可愛い事を言う桃花に李恩が眉間に皺を寄せた。
「お前唯斗の付き人なんだって?そりゃまた寂しい思いばっかしてそうだな……」
「まさか貴方にそれを言われるとは……はは」
「え、なになに寂しいって……桃花も美容に興味あり?」
「マジかよ……」
「可愛いと言えば可愛いですけどね……」
「え?」
教えてくれないと分からないのに乾いた笑いしか返してくれない。
でも、なんだかんだ式も桃花も李恩と麗央に対して丸くなってきていた。これもまた嬉しい変化。良いねぇこの世界が丸くなってく感じ。
「愛と平和の世界……」
「ここで血みどろの喧嘩が繰り広げられてるとは思えないねー」
「酒と爆音が舞踊ってるとは思えないなー」
「…………それはそれ、これはこれ!」
おれが感動していたのに神さん才さんがおれの両隣から同じポーズで要らぬ情報を突きつけてくる。この2人が揃ったらまずやる事は一つ。
「右が才さんで左が神さん!」
腕を持ち上げて宣誓。
少しの間を置いて悔しそうな声。
「うわ、なんで当たったの?」
「最近は唯にほとんど当てられてね?」
「なんと無くですけど……」
彼らの想い人のリョウくんみたいに絶対の自信はないけど何故か分かるようになってきたのだ。強いて言うなら雰囲気がちょっとだけ違うから。たまーに真面目を出したりとかふざけ具合だったりとかなんとなくだけど。
「なあ……唯、優って今日どこに行ってる……?」
後ろからこっそり。緊張しながら、しかも小声で亜蘭さんが話しかけてきた。いつもどっしりお兄ちゃんな彼がそんな態度は珍しい。おれも思わず小声で返す。
「えーと、今日発売の限定品のコートがあるんです。数量限定だからどうしても欲しいってお買い物に……」
「……1人でか?」
「え、はい。そう言ってました」
「そうか……」
何故か絶望したような彼はゆっくり、ゆっくりと先輩達の元に行く。暮刃先輩と氷怜先輩が秋の動きを見ながら楽しそうに話していたが亜蘭さんに気がつくと視線を彼に移す。亜蘭さんの様子に暮刃先輩が不思議そうに、それでもいつもの品のいい笑顔を返した。
「どうしたの?」
「あの、実は……優が」
「優が?」
暮刃先輩の目がスッと細くなる。
生唾を飲むような音がした。
「女とデートしてるって報告来たんですが……」
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