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misunderstanding!!
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しおりを挟む「……へ」
「てゆうかさ、talkieやってる?」
なんかナンパみたいな会話になってきたな。
「え、あの」
「まあやってないわけ無いよね」
いまや学生でメール打ってる人なんて少ないだろう。
流石にやってませんとか言ったらキレられそうなのでtalkieを教えてしまった。
「メール好きなんですか……?」
「さあね」
さあねって。暮刃先輩みたいな返事しないで欲しい。というかメル友って俺この人と連絡取り合うのか。まあ返さなきゃ良いか。
「君が出したゲームの条件だ。返事無かったら、分かってるよね……?」
行き先が不安になるような笑顔だ。目を細くして笑うから狐が騙すときはこんな笑顔なのかなとか、そんな気持ちにさせる男になんとかはいと笑顔を返した。
talkieなら名前が表示されるはず確認するが当たり前のように偽名だ。と言うか絵文字だ。オレンジの……。
「……キツネ」
「俺のあだ名なんだ。好きに呼んで良いよ。」
「じ、じゃあキツネさんで……」
「さん付け?真面目だなぁ」
どんどん機嫌が上昇しているのか鼻歌まで歌い出した。こうなると普通の呑気な人に見えなくもないけどさっきまでの威圧感を知ってる人間からすると恐ろしい。
「……えーと、キサちゃんにはもう」
「2度と会うこともないよ」
「そうですか……」
ご機嫌にそう言われたらやっぱり怖い。
もしかして俺やってしまったかな。捕まった方がよかった?いやでも連絡してたらこの人の情報分かるかもだし、お互いウィンウィンかも。ウィンウィンじゃほんとはダメだけどマイナスよりはOK。
このまま連れ去られても先輩達の手を煩わせるより、今日は一旦帰れるなら状況報告も出来るし対応も変わってくるから良かったと思う。と心の中で言い聞かせる。
「君のことは何て呼べば良い?」
「お好きにどうぞ……」
「じゃあ優夜ね」
うん、フレンドリーさが余計に怖い。
目の前でキツネさんのスマホが揺れている。何の刺青か分からなかったけど手首から覗く白い肌には鎌を持った死神のような絵が描かれていた。深くマントを被って死神の顔は見えない。
「まあ、これあるならあいつも怒らないかなぁ。あいつだって今日だけでどうにかするつもりも無いだろうし……あれ、君意外とすごいピアス開けてるんだね」
「え?」
自分の耳をツンツンと指で叩いたキツネさんは俺の耳を珍しそうに覗き込む。死神の刺青してる人にすごいとか言われるとなんだか妙な気分だ。指が俺の耳に向かってきて思わず一歩下がってしまった。キツネさんはキョトンとして1秒後ににたりと笑う。
「何もしないよ」
「すみません、思わず……」
「謝るなんてやっぱり真面目。あのチームの中で可愛がられるのってそういう性格がウケたのかな」
真面目なのだろうか。
驚いたくらいで一歩下がっちゃうのは失礼かなと思ったんだけど。キツネさんの三日月の目が一瞬輝いた。よく見たら生え際の髪色がオレンジだ。スプレーでもして色を変えているんだろうか。
「まあ、あいつは獅之宮の方が狙いだろうけど、俺はあの天音舵暮刃の方が気になるから……そのお気に入りには少し興味があるんだよね。だから今日仕方なくでも出向いた訳だ……正解だった」
「……え」
ゆっくりと顔が近づいてくる。弧を描く瞳はずっと笑っているように見えるし、何故か怒っているようにも見えた。李恩の時みたいに読み取れないのは得体が知れない恐怖からだ。何でこの人の目はこんなに人を動けなくするんだろう。
「……あ」
「動かないと、君に触れちゃうけど」
固まった身体が動かなくて、拳に力が入ってしまった。今は足を動かさなきゃいけないのに催眠術でもかかったように体が動かない。目すら逸らせない。
「優夜さん」
ぐっと腕を引かれて視界がぐらりと傾いた。誰かに抱き止められ目の上に手が置かれる。体格もこの匂いも暮刃先輩ではない。
「そんなに目を見つめろとは教えてないです」
「み、美嘉綺さん?」
思わず見上げると相変わらず無表情の美嘉綺さんがいた。そもそも口元がいつも隠れているから下から見上げてる今はほとんど表情がわからない。
俺よりも背は大きいけど俺くらい細身、だけどキツネさんの雰囲気に圧倒されることもない。さすがだ。
「5分ぴったりのお出ましだ」
「何かされましたか」
キツネさんの話を綺麗に無視して美嘉紀さんが俺を覗き込む。何で美嘉綺さんがいるのと聞きたかったけどびっくりしすぎて頷くことしかできない。
「幹部の美嘉綺。君の情報は少ないんだよね……それに今日はここに居ないはずだけど?」
「帰りましょう」
「え、あの」
何にも聞こえていないのか全てをスルーして俺の背中を押す美嘉綺さん。
「……無視は良くないんじゃないかな」
あ、やばい。怒ってる、美嘉綺さん怒ってますよ、後ろの人。美嘉綺さん割とマイペースだから、たぶんあの人と相性がちょっと悪そう。
「み、美嘉綺さん。後ろの人が呼んでます……」
見上げた俺の言葉にようやく美嘉綺さんが足を止めた。
「……話しかけてたの?」
振り返ってキツネさんに不思議そうに言う。
これがわざとじゃないところが美嘉綺さんなのかもしれない。
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