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misunderstanding!!
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髪をかきあげて男は興味深そうに聞いてきた。
「ゲームってさあ、何するの?」
あ、食いついた。
話し方は落ち着いてるけど楽しいものに目がなさそうな物言いが少し子供っぽい。だからゲームの話くらいは聞くだろう、それにこの人多分強いせいで苦労したことが無くて退屈してるなら丁度いいはず。
「あの、その前に聞きたいんですけど、キサちゃんを俺と引き合わせるために追い回してたんですよね?」
「うん。君のファンって知ってたし、君は当然助けるし、女は君に頼るでしょ」
「……俺があの店にいるのも知ってたし、女性なら助けるってのも知ってたと」
「そうだよ、だから?」
服好きは公言してるし、俺の好きなブランドだって友だちじゃ無くてもSNS見てくれてる人なら分かるだろう。でも今日店に行くって知ってたのはほんの数人だと思う。なのに初めて会うこの人が知ってるなら、俺だけじゃなくて、秋と唯の事も何かしらはバレていると考えるのが妥当なのかな。ああ、これってやっぱり、良くない。
「今日だったのは、たまたまじゃ無くて俺が1人で出かけて、尚且つチームの人も近くにマキオくんしかいなかったから」
「だから何」
同じような質問に少し苛立ちを見せた。顔に出やすいのはとても助かる。
「だから、次に同じ手が来ても引っ掛かります。それじゃ単純でつまらないでしょ」
緊張を見せないように微笑む。
もう話は次に持っていきたいから地面に置いた紙袋は持ち上げた。普段通りの動作で普通の事のように話さないと。
「はあ?」
「だって一人で出かける日っていつかは発生するし、チームの人たちがいてくれるとは言っても今みたいなことされたらやっぱり1人になるだろうし。だから別に今日じゃ無くても良いじゃないですか……追いかけっこが数秒で終わるよりは楽しんだ方がいいですよね」
何言ってんの?みたいな顔で固まってしまった。
逃げるとは言ったけどいくらゲームとは言えハンデつけてもらっても逃げられるイメージなんか湧かないのが事実。だから正攻法はあんまり期待できない。
「つまり俺を逃すゲームです」
ここまで聞いてようやく相手の表情に変化があった。眉を寄せて少し失望したような顔をする。この人の怖いところは嫌悪を隠さないところかもしれない、顔が可愛い系なだけに余計に。
「……あのねえ、流石に平和ボケしててもそんな話が通るわけ無いって分かるでしょ」
馬鹿な相手はしたく無いらしい、嫌そうな顔は想定済みなので間髪入れず話を続ける。
「だってこのまま捕まったら面白くないですし、俺も、貴方もそれなりに苦労した方が楽しい。言った通り俺なんかすぐ捕まえられる。だから、敢えてここは俺を逃してほしい。俺1人捕まえて先輩達を誘い出すより今ここで俺から有益な情報でも引き出した方がよっぽど良いでしょう」
「……有益な情報ねえ」
男の人は明らかにご機嫌になった。
まあ、俺が知ってるチームの事なんてたかが知れてるし何の情報にもならないと思うけど。先輩達がグレーな言い回ししかしないのがここで生きてくるとは。
男の人は腕を組んで楽しげに言う。
「そう、だなぁ。でもさあ俺は今日君を連れ帰らないと怒られちゃうんだ。ある程度の情報なんて持ってるし。そう考えるとそのゲーム俺に報酬が少ない」
「まあ、そうなんですよね。だから……そう、この場で俺を逃すのなら、今叶えられる事を何でも聞きます。もちろん迎えが来るまでですけど」
「……何でもって、そんな事言って良いの?まあでも悪くないか……」
相手はしばらくして考え込みまた黙ってしまった。この人の間は独特だ。
このゲームというか交渉に近い話し合い、後でみんなに言ったら怒られるのは確実だけど女の子をダシに使うような事をされてしまったらやっぱり罠と分かってても助ける一択だ。秋も唯も絶対に同じことをする。だからとにかくこの場は一旦先輩達の元に戻ってこの事を伝える方が先決。
「軽いプレゼントじゃ受けとらないかなと。あ、出来れば俺の体には触れずにお願いします」
黙っていたのを良い事に最後はついでに条件プラスしちゃったけど相手は特に気にする様子もなかった。良かった、危ない。李恩の時みたいにキスされちゃ困るのだ。
「君予想のお迎えがあと3分で来るし、そうだなぁ何しようかなぁ」
「何にしよう、って事は今日は捕まえないって事ですか?」
「あいつに怒られる以上に面白いことが考えられたらね」
「そう、ですか……」
結局あいつって誰なんだろう。
また考え始め時間だけが過ぎていく。割とスムーズにことが運んでいるし良い展開。自分から言い出したけど、早くしないと迎え来ちゃうよとかそんなに悩んでて良いのかとか心配になるほどじっくり考え相手はんーと顎に手を当てる。
ついに閃いたのかにっこりと笑顔になった。
小さな唇から出た少し高い楽しげな声が耳に響く。
「じゃあさ、メル友になろう?」
「ゲームってさあ、何するの?」
あ、食いついた。
話し方は落ち着いてるけど楽しいものに目がなさそうな物言いが少し子供っぽい。だからゲームの話くらいは聞くだろう、それにこの人多分強いせいで苦労したことが無くて退屈してるなら丁度いいはず。
「あの、その前に聞きたいんですけど、キサちゃんを俺と引き合わせるために追い回してたんですよね?」
「うん。君のファンって知ってたし、君は当然助けるし、女は君に頼るでしょ」
「……俺があの店にいるのも知ってたし、女性なら助けるってのも知ってたと」
「そうだよ、だから?」
服好きは公言してるし、俺の好きなブランドだって友だちじゃ無くてもSNS見てくれてる人なら分かるだろう。でも今日店に行くって知ってたのはほんの数人だと思う。なのに初めて会うこの人が知ってるなら、俺だけじゃなくて、秋と唯の事も何かしらはバレていると考えるのが妥当なのかな。ああ、これってやっぱり、良くない。
「今日だったのは、たまたまじゃ無くて俺が1人で出かけて、尚且つチームの人も近くにマキオくんしかいなかったから」
「だから何」
同じような質問に少し苛立ちを見せた。顔に出やすいのはとても助かる。
「だから、次に同じ手が来ても引っ掛かります。それじゃ単純でつまらないでしょ」
緊張を見せないように微笑む。
もう話は次に持っていきたいから地面に置いた紙袋は持ち上げた。普段通りの動作で普通の事のように話さないと。
「はあ?」
「だって一人で出かける日っていつかは発生するし、チームの人たちがいてくれるとは言っても今みたいなことされたらやっぱり1人になるだろうし。だから別に今日じゃ無くても良いじゃないですか……追いかけっこが数秒で終わるよりは楽しんだ方がいいですよね」
何言ってんの?みたいな顔で固まってしまった。
逃げるとは言ったけどいくらゲームとは言えハンデつけてもらっても逃げられるイメージなんか湧かないのが事実。だから正攻法はあんまり期待できない。
「つまり俺を逃すゲームです」
ここまで聞いてようやく相手の表情に変化があった。眉を寄せて少し失望したような顔をする。この人の怖いところは嫌悪を隠さないところかもしれない、顔が可愛い系なだけに余計に。
「……あのねえ、流石に平和ボケしててもそんな話が通るわけ無いって分かるでしょ」
馬鹿な相手はしたく無いらしい、嫌そうな顔は想定済みなので間髪入れず話を続ける。
「だってこのまま捕まったら面白くないですし、俺も、貴方もそれなりに苦労した方が楽しい。言った通り俺なんかすぐ捕まえられる。だから、敢えてここは俺を逃してほしい。俺1人捕まえて先輩達を誘い出すより今ここで俺から有益な情報でも引き出した方がよっぽど良いでしょう」
「……有益な情報ねえ」
男の人は明らかにご機嫌になった。
まあ、俺が知ってるチームの事なんてたかが知れてるし何の情報にもならないと思うけど。先輩達がグレーな言い回ししかしないのがここで生きてくるとは。
男の人は腕を組んで楽しげに言う。
「そう、だなぁ。でもさあ俺は今日君を連れ帰らないと怒られちゃうんだ。ある程度の情報なんて持ってるし。そう考えるとそのゲーム俺に報酬が少ない」
「まあ、そうなんですよね。だから……そう、この場で俺を逃すのなら、今叶えられる事を何でも聞きます。もちろん迎えが来るまでですけど」
「……何でもって、そんな事言って良いの?まあでも悪くないか……」
相手はしばらくして考え込みまた黙ってしまった。この人の間は独特だ。
このゲームというか交渉に近い話し合い、後でみんなに言ったら怒られるのは確実だけど女の子をダシに使うような事をされてしまったらやっぱり罠と分かってても助ける一択だ。秋も唯も絶対に同じことをする。だからとにかくこの場は一旦先輩達の元に戻ってこの事を伝える方が先決。
「軽いプレゼントじゃ受けとらないかなと。あ、出来れば俺の体には触れずにお願いします」
黙っていたのを良い事に最後はついでに条件プラスしちゃったけど相手は特に気にする様子もなかった。良かった、危ない。李恩の時みたいにキスされちゃ困るのだ。
「君予想のお迎えがあと3分で来るし、そうだなぁ何しようかなぁ」
「何にしよう、って事は今日は捕まえないって事ですか?」
「あいつに怒られる以上に面白いことが考えられたらね」
「そう、ですか……」
結局あいつって誰なんだろう。
また考え始め時間だけが過ぎていく。割とスムーズにことが運んでいるし良い展開。自分から言い出したけど、早くしないと迎え来ちゃうよとかそんなに悩んでて良いのかとか心配になるほどじっくり考え相手はんーと顎に手を当てる。
ついに閃いたのかにっこりと笑顔になった。
小さな唇から出た少し高い楽しげな声が耳に響く。
「じゃあさ、メル友になろう?」
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