ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

文字の大きさ
3 / 75
異常事態

3

しおりを挟む
「……ん」



また朝だ。必ず来る明日に希望はない。
光が眼球を刺激して無理矢理起こしてくるから余計に嫌だ。それでも今日だって働かなければ、働かなければ食べていけない。


「……食べる意味なんか無いけど」


だけどどうしても自分で命を終わらせる気にはならなかった。そんなことしたら母さんに嫌われるか、ビンタ確実だ。父さんだってまた泣かせてしまうかもしれない。記憶の中の2人の優しさだけが俺を生かしている。


いつもなら朝は食べないのだけど、今日はいやに腹が空く。冷蔵庫に何かあっただろうか。
それにいつもは泥のように重い体がなんだか今日は軽い気がして、ようやく目を開けると眩しいくらいの白い天井が見えた。


「…………ん?」


白い、天井な訳がない。俺のアパートの天井はこんな真っ白なわけが無い。視線を横にずらすとカーテンが左側一面を埋めていた。その隙間から漏れる光が丁度顔に当たるから眩しかったのだ。ゆっくりと起き上がる。


広すぎる部屋は正方形で、真ん中には窓を背にしてL字の真っ白なソファとローテーブル。右側の壁には埋め込まれた大きな液晶テレビとその真横に白いドアがひとつ。


「……な、なんだ……夢?」


それにしてはリアルだ。思わず顔を触る。やはりリアルだ。夢なら覚めろと意識しても一向に世界は変わらない。しかもなんだか肌の調子がいい気がする。

いやそんなことより。
視線を自分の身体に向ける。何故裸なんだ俺は。

思わず掛け布団で身体を隠した。
いやにふわふわでこの状況と相反するが寝心地がよかったのはこれのおかげか。
キングサイズのベッドの上に立ち上がり部屋を一望。何度見ても見知らぬ身の丈にも合わない部屋。
何から確かめていいかわからず取り合えず外を見てみることにした。だいたいここはどこなんだと一歩を踏み出したが何かが足に引っかかっている。右足に違和感を感じて足を上げると俺は驚愕した。

「あ、足枷……?」

白い皮張りのベルトには銀の機械でロックされていてどこを触っても外れやしない。しかもワイヤーのような紐が伸びている。紐の先はベッド横のくぼみにあるU字の金属に繋がれていた。


「なに、なんだよ。まさか、拉致?」


俺なんか拉致するやつ頭悪いのかよ、何も持ってないぞ。しかも拉致だとしたらなんで裸、しかもこんなに綺麗な部屋。

訳が分からない。
ふらふらとベッドから降り、カーテンがかかっている方に歩く。
紐は長くてこの部屋の隅までは移動できた。
思いっきりカーテンを引くとまぶしい光に思わず目を閉じる。光に慣らし目を凝らすと車が米粒よりも小さい景色が見えてきた。つまりここが異様に高いのだ。



「……おいおい」


視界のほとんどが青い空。展望台でしか見たことがない世界。
ああ、こんな時でもタバコが吸いたい。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 説明は初めの方に詰め込んでます。 えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?) ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます! 5/25 お久しぶりです。 書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

久しぶりに地元へ帰ったら、昔いじめてきた男に告白された

髙槻 壬黎
BL
【狂愛執着攻め×自己肯定感低め受け】 高校の卒業式後、自分を取り巻く環境から逃げるようにして地元を出た俺──広崎恵。新天地では頼れる人もおらず、毎日の生活は苦しかったけど、それでも俺なりに満ち足りた人生を送っていた。 しかしその五年後。父親からの連絡で故郷へ帰ることになった俺は、かつての同級生──狭山鏡夏の名前を耳にする。常に人から囲まれ人気者だったその男は、俺をいじめてきた張本人だった。 だからもう会うつもりなど、二度となかった。だというのに、何故か狭山は、俺のことをずっと探していたようで──── ※攻めがサイコパス気味です。受けへの愛だけはありますが、倫理観が欠落しているので苦手な方はご注意ください。

俺の彼氏は真面目だから

西を向いたらね
BL
受けが攻めと恋人同士だと思って「俺の彼氏は真面目だからなぁ」って言ったら、攻めの様子が急におかしくなった話。

処理中です...