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異常事態
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「ついに頭おかしくなったかな」
あり得なくも無いけど、流石にこれはリアルだ。しかし驚きはあるが慌てる程でもなかった。つまり落ち着いているからこれはちゃんと現実なんだと思う。
窓の外をしばらく眺めていると久しぶりの高い場所はこんな時に変だけど気分がよかった。体力仕事は重いものを持つから下ばかり見ていたし、最近特に沈んでいたような気がする。
「しかもなんでか体調がすこぶるいい……」
昨日までの疲れが嘘みたいだ。
今が何時なのかは分からないがもしかしたらものすごく寝ていたのかもしれない。だから頭がクリアになって沈んだ気持ちが少し上を向いているのかもなんて考えると人間は単純だ。そういえば俺はもともと楽しいことが好きだったはずだ。
変にポジティブで笑えるが、今のところこのだだっ広い部屋に居させられているだけ。今だけは楽観的でもいいだろう。
欲を言うなら服を着て鏡で自分のいつもの姿を見れたら現実感がかなり上がるのだが。
パッと見ても鏡は無い。
と言うかこの部屋雑貨とか小物が何もない。ベッドとソファ、テーブル、テレビ。ベットから目の前に見える扉はクローゼットだったが中身は空っぽ。
足枷がついていた時点で諦めていたけど、ドアノブを回してももちろん開くはずもない。金のノブを数回かちゃりと動かしてすぐに諦めた。
「暇な部屋だな」
そう言いながら自分のアパートも物の少なさは大して変わらないのに暇なんて言っていた記憶がない。
とにかく働いて働いて働かなければ生きていけなかったから。それに弱音を誰かに言うなんて事は父さんを思い出すと言えもしない、それに誰かと深い仲になってしまうとすべての糸が切れてしまいそうで仕事でも最低限の会話で済ませ、できる限り一人でずっと生きてきたのだ。
1人で吐き出して、宙に浮かすだけの日々は高校とは真逆の寂しい大人になっていた。
昨日みたいに自嘲的な夜に煙草をふかす底辺の人間。
せっかく清々しい気分だったのにまた嫌な気分になってきて、取りあえずテレビを見ることにした。足枷ついてるのにのんきだなと自分で思いながらテーブルの上にリモコンを見つける。
だが残念なことに電源を付けてもどのチャンネルを押しても砂嵐。ふわふわ掛け布団にくるまったまま白いソファに倒れ込んだ。
「なんだよもう、拉致監禁でも最後くらい楽しく生きさせてくれよ」
この後どうなるかは分からないけど、死ぬんだとしたら最後ぐらい腑抜けたかった。そんで悪い悪いって言いながら天国の父さんと母さんに会って……。
また目を閉じた時だった。
「もうお昼だよ。おはよう……英羅……?」
少し高めの男の声が聞こえた。
ガチャリと開いたドアから男が顔を出した。いやに横顔が綺麗な男だ。こんなやつに俺は捕まったのかと思うと情けない。
ベッドを見てそれからすぐにあたりを探すように見渡した男と横になったままの俺の目があった。
俺を見つけほっとしたような表情の男が近づいて来ると同時に俺は驚愕する。
「……ら、来夏……?」
「おはよう。珍しいね、ベッドから出てるなんて……ご飯は……食べてるわけないよね。用意できてるから、おいで?」
両手を広げられても俺は停止していた。
現れたこの男を知っているからだ。俺の最後の幸せな記憶はこいつとアイツの2人で埋まっているのだから。
あり得なくも無いけど、流石にこれはリアルだ。しかし驚きはあるが慌てる程でもなかった。つまり落ち着いているからこれはちゃんと現実なんだと思う。
窓の外をしばらく眺めていると久しぶりの高い場所はこんな時に変だけど気分がよかった。体力仕事は重いものを持つから下ばかり見ていたし、最近特に沈んでいたような気がする。
「しかもなんでか体調がすこぶるいい……」
昨日までの疲れが嘘みたいだ。
今が何時なのかは分からないがもしかしたらものすごく寝ていたのかもしれない。だから頭がクリアになって沈んだ気持ちが少し上を向いているのかもなんて考えると人間は単純だ。そういえば俺はもともと楽しいことが好きだったはずだ。
変にポジティブで笑えるが、今のところこのだだっ広い部屋に居させられているだけ。今だけは楽観的でもいいだろう。
欲を言うなら服を着て鏡で自分のいつもの姿を見れたら現実感がかなり上がるのだが。
パッと見ても鏡は無い。
と言うかこの部屋雑貨とか小物が何もない。ベッドとソファ、テーブル、テレビ。ベットから目の前に見える扉はクローゼットだったが中身は空っぽ。
足枷がついていた時点で諦めていたけど、ドアノブを回してももちろん開くはずもない。金のノブを数回かちゃりと動かしてすぐに諦めた。
「暇な部屋だな」
そう言いながら自分のアパートも物の少なさは大して変わらないのに暇なんて言っていた記憶がない。
とにかく働いて働いて働かなければ生きていけなかったから。それに弱音を誰かに言うなんて事は父さんを思い出すと言えもしない、それに誰かと深い仲になってしまうとすべての糸が切れてしまいそうで仕事でも最低限の会話で済ませ、できる限り一人でずっと生きてきたのだ。
1人で吐き出して、宙に浮かすだけの日々は高校とは真逆の寂しい大人になっていた。
昨日みたいに自嘲的な夜に煙草をふかす底辺の人間。
せっかく清々しい気分だったのにまた嫌な気分になってきて、取りあえずテレビを見ることにした。足枷ついてるのにのんきだなと自分で思いながらテーブルの上にリモコンを見つける。
だが残念なことに電源を付けてもどのチャンネルを押しても砂嵐。ふわふわ掛け布団にくるまったまま白いソファに倒れ込んだ。
「なんだよもう、拉致監禁でも最後くらい楽しく生きさせてくれよ」
この後どうなるかは分からないけど、死ぬんだとしたら最後ぐらい腑抜けたかった。そんで悪い悪いって言いながら天国の父さんと母さんに会って……。
また目を閉じた時だった。
「もうお昼だよ。おはよう……英羅……?」
少し高めの男の声が聞こえた。
ガチャリと開いたドアから男が顔を出した。いやに横顔が綺麗な男だ。こんなやつに俺は捕まったのかと思うと情けない。
ベッドを見てそれからすぐにあたりを探すように見渡した男と横になったままの俺の目があった。
俺を見つけほっとしたような表情の男が近づいて来ると同時に俺は驚愕する。
「……ら、来夏……?」
「おはよう。珍しいね、ベッドから出てるなんて……ご飯は……食べてるわけないよね。用意できてるから、おいで?」
両手を広げられても俺は停止していた。
現れたこの男を知っているからだ。俺の最後の幸せな記憶はこいつとアイツの2人で埋まっているのだから。
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