オレの魂はいずれドラゴンかアイツに食われるらしいが死んだ後のことに興味はない。

仔犬

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2.変わらない日常にコイツとドラゴンがいるだけ

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「でー?なーによお兄さんに話してみなさいって」

「んー……?」

話すとしてもありのまま話した所で信じてもらえないだろうし、笑われて馬鹿にされるのは目に見えている。しかもこいつのことだから一か月くらい同じネタで腹を抱えて笑い転げる。コイツのネタにされても何も気にはならないけどゲラゲラとずっと笑われるとちょっとうるさそう。

窓枠に掛けていたひじを下ろしてレイガを見ると青い目が輝いた。そういえばあのドラゴンと同じ青い色だ。

「雲が綿飴みたいでうまそうだなって」

「はあ?」

素っ頓狂な声を上げたのが面白くて思わず吹き出した。嘘じゃないしいいだろう。また体当たりのように腰に巻きつくと子供みたいに拗ね出したレイガ。

「絶対違うじゃん!なんだよ隠すなよ」

「強いて言うなら可愛いペットが増えたかなあ?」

「ん?犬でも飼ったか?お前大型犬好きだよな」

「あーー犬がいれば完璧」

「じゃあ何が増えたんだよ」


外でまたドラゴンが空を飛び回っていた。視線だけはこちらを向きジッと逸らす事はしない。何に注目しているんだろう、オレ以外の人間が居る時は特に視線を感じることが多いけど人間に興味があるんだろうか。

「まーた空見てるし」

「うんほら、次の講義行こ」

「話逸らすなよー!」


言っても仕方がない事だと思うし困ってもない。手のかからないペットが出来たのだと思うとなんだかいい気分でもある。

高校生まで飼っていた大型犬との別れが悲しくてそれ以降家族で動物を飼う事が遠のいてしまったのだ。オレ自身、寿命が短いとは分かっていたけれど寂しいものは寂しい。

でもドラゴンなら話は別だろう。たぶんコイツはきっと長生きする。今は何歳なのだろうか子供には見えないがどことなくその姿形は綺麗で若く見える。人間で言う大学生くらいだろうか。オレと同じ。


「なんかもう、可愛がってんだよな」

「え、なに?おれ?」

「カワイイ、カワイイ」



適当な返事に期待の眼差しで自分を指差していたレイガは心底がっかりしたようにうなだれた。声も良く通るし顔が整っているせいで余計目立つコイツに周りの女子がくすくすと笑っている。歩くオレにうしろからぶら下りながら唸るレイガ。


「おれは凄く傷付いた……だからお前は今夜は飲みに付き合うこと」

「うん、それいつもの事だろ」


ところでドラゴンは酒を飲むのだろうか。
飲めたらさらに楽しいのに。



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