オレの魂はいずれドラゴンかアイツに食われるらしいが死んだ後のことに興味はない。

仔犬

文字の大きさ
7 / 13

7.あんまり深く考えてないから悩みも特に無い

しおりを挟む

「2人っていつも一緒にいすぎよね」

そう言ったのは、同じ学部のサラだ。黒髪のショートヘアにセンスの良い服装。気前がよく男女共に好かれるタイプの彼女とはオレ達もよく話すことが多い。

「腐れ縁だから」

「とは言ってもさー、よく飲んでるし朝なんて一緒に来てツバサはレイガの服借りてるし」

「映画見に泊って、同じ服で学校来たくなかったんだよね」

レイガの服ってセンス良いし好きなんだけど幾分派手なのだ。だから借りたらすぐバレる。普段着ない系統なので似合う?と聞けばサラはジト目を返してきた。


「……その綺麗な顔だからキャッキャ言われてるけど、普通の顔だったらすでにホモ疑惑が出て晒し者になるはずよ」

「お前それその辺の普通の顔の奴に失礼だな!ま、おれらは確かにスペック高いとも!えっへん!」

全国の男子を敵に回したのにサラもレイガも気づいていない。周りの男子くんが居た堪れなさそうな顔してるけど、フォローなんてオレがしても意味がなさそうだから黙っておこう。

レイガは面白そうに笑いながらオレに後ろから抱きつく。周りの女子がどこかできゃあと悲鳴を上げた。不思議なことに黄色い悲鳴だ。


「いーじゃん別になんでも、どっちにしろツバサは俺がいないとダメだし」

「そうかなぁ」

面倒見の良いこいつに助けられていることは確かだが異様に構い過ぎなのはレイガの性質だ。自分の少しゆるい性格は自覚しているがそこまで言われると首をひねる。

サラは眉間にシワを寄せて小さな声で話す。

「その発言のせいでもあるけど……」

「レイガは面白がってんだよ」

それに存外どうでも良い噂だ。他人の評価になんて書かれても全てがどうだって良くて、自分の楽しいは自分で決める。オレはそんなことよりも今日も空を飛ぶドラゴンの方が重要だし。あ、目があった。今日もお前可愛いな。


「まーーーた、空見てる!この黄昏男子が!」

「癒されてんだから邪魔すんな」

「え、おれより空の方が大事なのか」

まじ……?と呟きながら大袈裟に一歩一歩離れるレイガ。うめき声が響いて体勢を低くする。

「この……浮気者おおお!」

物凄い綺麗なクラウチングスタートで駆け出したレイガはオレの荷物を持って行った。目立つなあいつ、全部が。

「席取っといてくれー」

「あんた達、わざとやってんの……?」

「さあ……?」

アイツのせいで今現在も他の生徒から注目されているけど、それよりも駆け出し様が面白かった方が気になる。

「アイツは賑やかしが好きなんだよきっと」

「それにしたって毎日飽きないわね……」


そう言えばレイガは昔からそうだ。オレに対して何でも諦めが悪い、よく言えば粘り強い。オレがどんなに適当でもアイツだけは最後までオレを諦めなかった。
何でだろ、何かしたのだろうか、そんな甲斐甲斐しくオレの面倒を見るような事が。それともオレがそれほど頼りなく見えるのだろうか、サラに聞いてみた。

「オレって頼りないか?」

「え、何よ突然……そうねぇ、ミステリアスでほっとけないらしいわよ、あの子達曰く」

後ろを指さしたサラ。
誰かも知らない女の子だったけど、他人評価はそんな感じか。目が合ってしまったので小さく笑って返したら顔を真っ赤にしてしまう。

「……あの子達が不憫ね。当の本人はこんなにも適当なのに」

「え、何もしてないよ。でも喜んでるなら夢を与えてるとも言う」

サラにゴミでも見るような目で見られた。
きっとこの眼差しが好きという人間も存在するのだから人間は面白い。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...