オレの魂はいずれドラゴンかアイツに食われるらしいが死んだ後のことに興味はない。

仔犬

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13.大型犬も良いし小型犬も良い。犬じゃないけど。

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「結構ボケたつもりだったんだけど、取り敢えず食べれば?」


あまりにも青い顔で固まる2人に流石のオレも耐えかねた。言い合いのポーズのまま立ってても始まらないし、とにかくスターにはオレの後ろにそのまま居てもらってレイガは目の前に座らせる。

レイガにはサンドイッチを持たせて、飲み物を注ぐ。冷や汗まで流すレイガはサンドイッチを見つめたまま固まっていた。


「正直、細かい事はオレどうでも良いんだけどね。そんないちいち2人して固まるほどの事ならその理由、教えてもらおうかな」

「ああ……」

「んー、何から聞けば良いの。それとも2人が話すの待ってた方がいい?」


怒ってるつもりはないけど2人が怒られ待ちの子供みたいに小さくなっている。
美味しいお弁当もあるし天気もいいし。何でも穏やかなほうが良いに決まってるだけなので解決策を探しているだけだ。

「僕が」

「おれが」

同時に話し出した2人。また睨み合いが始まったので取り敢えずレイガを指名した。スターだとオレの首の向きが大変だから。


「まず、おれたちの事から話す……おれらドラゴンには2通りある。そいつみたいにまさしくドラゴンの姿で生まれてくる奴とおれみたいに人間の形をしたドラゴン」

「うん」

「ちなみにおれの親も人の形をしたドラゴン」

「へえ」

おじさんとおばさん、レイガそっくりの美男美女だったけどドラゴンだったのか。一瞬レイガとおじさんおばさんの血が繋がってないとか言われんのかなって思ったけど、平和な回答で良かった。

つまり、オレってすでに4人のドラゴンと合ってるわけだ。

「そう考えると、案外ドラゴンっているんだなぁ」

「普通に居る。なんならこの世界の人間が言う神様ってのはドラゴンに値する」

「へえ、人の姿で想像してた」


ごくごくと紅茶をのどに流すオレをレイガがまた絶妙な顔をしている。早くサンドイッチ食べなよ、握ったままにしないで。

「なに」

「まじめに聞いてるん、だよな……いや、悪い大丈夫だ。お前が大雑把でのんびりでなんも考えてない事は知ってんだけどな、そんなテレビのニュースでも見るように聞き流されてると複雑で」

「何気失礼だな。聞き流してないよ、頭に留まってる。ほら、続き……あ、スターもなんか食う?ウィンナーとか」

箸でタコさんウィンナーを持っていくと、こちらも変な顔をしたスター。青い目がパチクリと瞬く。


「あ、食べれない?」

「え、いや、食べれるよ……」


グオッと開いた口にウィンナーを放り込むとごくんと喉が鳴る。

「レイガの美味いよなあ」

「……まあ」


すんごい不服そうに返事来たけど、つまり美味しいってことか。良かったなレイガと振り向いたけどそいつに食わせなくて良いとか言ってくるしお前らは思春期の男子か。

「てかその巨体にこのサイズじゃああんまり味しない?でっかいの可愛いけど、たまにちっこくなれたりしたら良いのにな」

「え?なれるよ」

「へ」

ボフン!!っと音を立てて白い煙が一瞬であたりを覆う。オレを支えていたお腹がなくなって芝生に落っこちそう、やばい。


「あれ、痛くない」


しかも柔らかい何かが頭の下に。
キューと言う可愛い鳴き声にすぐさま上半身を起こす。何かを掴んだ、ちょっと硬めだけどお腹あたりはぷにぷに。段々と視界が晴れてその姿が見える。


「か、かわいい……」


一軒家サイズだったスターがオレの頭ひとつ分くらいになってる。
しかもほぼ2頭身で青い目が余計にくりくりになった。白いドラゴンだけど牙も爪も丸くなってるし角もちょこんと生えてるって感じの可愛さ。


「え、激かわ。むしろ、なんで今までこれになんなかったの」

1番これが怖がらせないと思うけど。


「……だって」


両手でスターを持ち上げると視線を横にずらされた。ちょっと口を尖らせてちっちゃい子みたいに。

「僕の本当の姿で君に好きになって欲しかったから」

これがキュンじゃないなら他はもう良い。ってぐらい可愛いんだがコイツ。

「おっきいのも今のもどっちも可愛いって。両方最高~」

「本当に?」

キラキラって輝く瞳。
抱きしめながらこの可愛さをレイガに報告。


「レイガ知ってた?まじ可愛いー……って何、それどんな感情」


すごい不細工な顔でむくれてんだけど。レイガ、イケメンが台無しになるよ。

「お前大抵のものに興味ない癖に動物異様に好きだからなおさらそいつに会わせたくなかった……」

「え、なんで」

「なんで……そりゃ、そいつばっか、構うから……」


最後は消え入りそうなボリュームでレイガがそっぽを向く。なんかコイツら可愛いな。ドラゴンの血筋ってみんなこうなのかも。

未だにレイガに握られるだけのサンドイッチを取り上げてその口に入れてやる。驚いたレイガがようやくこっちを向いた。

「オレ、人生でレイガほど一緒に居るやつ、ほかに居ないけど」

オレのこの適当な性格にここまでついてくる奴もいなかったし。むしろなんでそんなにオレの事に構うのか不思議なくらいだ。


「そう、なんで2人はそんなにオレに対して甲斐甲斐しいと言うか、遠慮がちと言うか、気を遣ってるのかわかんない。オレは別に2人が今まで通りならそれで良いんだよ」

そう言うと腕の中でスターが喋り出した。小さくて可愛いけれど丸い目を真剣に光らせて。

「……人間は時間と言うもので成長し老いていくよね。でもドラゴンの成長に時間は関係無いんだ。ある事をしないと大人に一生なれない」

「じゃあ、どうやって……」

大人になるんだ。
そう聞く前に話の続きをレイガが拾った。





「それがお前の魂を食うに繋がるって言ったらお前はどうすんの?」







なるほど、これが2人に引っかかっている原因か。



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