おれがアレを授かりまして

石月煤子

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平凡吸血鬼のおれがアレを授かりまして

4-1-もうすぐクリスマス

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「柚木、クリスマスはどんな風に過ごすんだ?」
「えーと……家族と一緒に……ねーちゃんは彼氏さんとデートだけど」
「どこか食事に出かけたりするのか?」
「ううん。大体、ウチでエビフライカレー食べてる。あとケーキ」
「エビフライカレー。いいな」

……これ、どーいうことでしょう、神様。
……どうして昼休みに食堂で比良くんと向かい合ってごはん食べてるんでしょう、おれ。

混み合う食堂の片隅、長テーブルを挟んで比良と向かい合った柚木は母親お手製のお弁当に対してなかなか箸が進まなかった。

『柚木、一緒にお昼ごはん食べないか?』

比良からの急なお誘い。
朝の壁ドン展開に続いて予想もしていなかった事態に柚木の心の中はてんやわんや状態だった。

「クリスマスシーズン、俺はいつも大会があって、高校に上がってからは祝った思い出がない」

日替わりランチを食べ終えた比良ににこやかに話しかけられても柚木はぎくしゃく対応しかできないでいる。
周囲の生徒にやたら注目されていて居心地も悪いし、それに。

『柚木と秘密をはんぶんこできて嬉しい』

朝の壁ドン展開が脳裏にちらついて、実のところ、今までずっと上の空だった。

……あんなこと言われるなんて想像もしてなかった。
……吸血鬼だって言ったこと、馬鹿にもされなかったし、変態行為も特に咎められなかったし。

……はんぶんこって、なんですか、その言い方。
……比良くんの口からはんぶんこって、破壊力やばくないですか。

「柚木」

ポテトフライつきフォークを持ったままぽんやりしていた柚木、はたと目の前の比良に焦点を戻した。

「何か別のこと考えてる?」

比良くんのこと考えてました、すみません……!!

「な、なんか……比良くんと一緒にごはん食べるとか不思議っていうか、初めてだから……どうしたのかなって」
「俺は柚木と一緒に昼休み過ごしてみたかったよ」

柚木はやっと口に入れたポテトフライを丸呑みしそうになった。

「うう゛っ……げほっ……」
「大丈夫か?」

比良に心配されて、比良が汲んできてくれたお水を飲んで、柚木は「大丈夫れす」と精一杯答える。

どうしておれなんかと昼休み過ごしたかったんだろ……?
もしかして席替えの一件、ずっと気にしてたからとか……?
それならほんと悪いことしちゃった……。

「柚木はクリスマスに誰かにプレゼント贈ったりする?」

アイボリー色のセータを腕捲りした比良はやたらクリスマスのことを尋ねてきて、味のしないお弁当をぱくぱくしつつ柚木はしどろもどろに回答、途中で何回か噎せて、その度に比良に心配された。

「お水注いでくる」

遠慮する暇もなく、席を立ってお水のお代わりを持ってきてくれた比良から手渡しでコップを受け取ろうとして。

「柚木、今度の週末、クリスマスプレゼントを買うのに付き合ってくれないか?」

柚木はコップをテーブルに落としてしまった……。

「ひぃぃっ……ごめんっ、拭きます拭きますっ」
「大丈夫。吹くもの、借りてくる」

受け取りカウンターにつくスタッフから颯爽とした身のこなしで雑巾を借りてきた比良、テーブルを拭きながら恐縮しっぱなしの柚木に笑いかけてきた。

「コップ、割れなくてよかった。柚木がケガしなくてよかった」

……もしかしてこのパーフェクト男子、神様なのでは……。

「ご、ごめん、ありがとう、比良くん、おれがドジなばっかりに」
「付き合ってくれるか?」
「えっっっ」
「今週の土曜日」
「あっ……うん、おれでよかったら……」



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