【R18】蝶々と甘い蜜。

かのん

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契約④

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自分が今まで会ったことはない、
ううん、これから会う予定などないぐらい
すごい人だ。


そんな人が目の前にいると思うだけでも緊張してしまうのに
彼の鋭い目つきと胸元に刺さっている青いバラに
吸い寄せられて…身体が勝手に彼へ近づいてしまった。


「結衣!」


あとから智美から聞いた話
あの日の私は、彼の胸元に刺さっている青いバラに吸い寄せられている
蝶々のようだったと……。


言葉では言い表せないこの気持ちは
他の人には理解できないだろう。
ひと目会った時から胸が締め付けられる。
これが、俗にいう『ひと目ぼれ』なのだろう。


私は智美の声が聞こえていたのに
彼の前に飛び出して
彼の足を止めてしまった。


「あ……。」


やっと自分がどういう行動をしたのか理解できた。
だけど、その時はもう遅くて周りの女性達に
「自分だけアピール?」
「何あのドレス?このパーティーにふさわしくない。」
と、自分のことを言われているのが聞こえてきて恥ずかしくなった。


「すいません!……っ…」


「結衣!」


頭を下げてその場から立ち去ろうとしたとき
手首を引っ張られる感覚があって智美の方には行けなかった。
振り向いたときにみた、彼の表情が忘れられない。




愛おしく、私を見つめるあの瞳を
私はもう一度みたいの。




この時の彼の瞳は
私だけを見つめていてくれていたはずだと
思っているから。



















「この娘にする。」


誰かに自分を選んでもらえるって
こんなにも嬉しいんだってことをあの日あなたから教えてもらった。
誰かに自分を必要とされることで
私という人間の存在を知ることができて……
こんな私でも生きていていいんだって思えた。




「え…ちょっと、結衣!結衣!!」


「智美!……ひゃあっ!」


お姫様抱っこを彼に突然されて
自分がどういう状況なのか
まだ呑み込めていない。
私は、いったいこれからどうなるの…?
私にするって…どういうことなの?


「かっ…はぁっ……」


私を見つめる彼の瞳に吸い込まれて
息が突然苦しくなる。
息がしたいのに、うまくできない。


「んっ――」


彼がキスをしてきたのだけ微かに覚えている。
そして彼の胸元にある青いバラの香りに酔って
その後の意識はない。














「ん………」


瞼をゆっくりと開けると
薄暗い部屋で、肌に感じる風が心地よかった。
椅子に座らされていたみたいで首が痛いが
ふわふわのクッションだったからか思った以上に体は痛くない。


「目を覚ましたか?」


「あ……」


月明かりの光しかないからあまり表情は見えないが声で分かる。
さっきキスをした……三島だ。


上着のジャケットを脱いでネクタイを緩めている三島が
まだ重いカラダでスッと立ち上がることができない私に近づいてくる。


「そんなに怯えるとまた過呼吸になるぞ。」


「え……?」


三島は目を合わせようと椅子に座っている私の前で跪いてきた。
ジッと見つめてくるその瞳が怖くて
すぐに視線をそらしてしまった。


「私が怖いか?」


「……」


何て答えればいいの?ここはどこなの?
智美はどこにいるの?
私はこれから……何をされるの?


「大丈夫だ。私からは何もしない。」


「え…?」
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