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二人の夢④
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「ここ、まっすぐ行ったところにベッドがあるよ。」
雅の部屋は意外にもワンルームの部屋だった。
№1といえば家賃が高い部屋に住んでいるイメージが強いが、雅は広い部屋があまり好きじゃないしお金を貯めたかった。
「雅君の部屋、あまり荷物がない?歩きやすくていい。」
「そうかも。帰って寝るだけだから、ほとんど生活していないような感じだよ。」
「そっか。あ、キッチン借りてもいい?」
「調理器具なべしかないんだけど…それでもよかったら。」
「大丈夫だよ。じゃあ借りるね。」
真莉亜がキッチンにたち料理を始めた。
(好きな人がキッチンに立って料理作ってくれるっていいな…)
雅はそう思いながらウトウト寝てしまった。
「…?」
額がひんやりと冷たい気がして目が覚めた。
目を開くと真莉亜が横で座って、雅の額に手を当てていた。
「真莉亜?」
「起こしちゃった?」
「ごめん、俺寝てた?」
「気持ち良さそうに寝てたよ。熱下がってきたみたい。」
「うん、なんか体が大分軽い。」
「おかゆ作ったんだけど食べる?」
「食べる!お腹空いたんだ…」
「うん…美味しい!体にすっといきわたって生き返る感じ!」
雅はガツガツと食べだした。
「おかわりあるから言ってね。」
「おかわり!」
「ふふ、いっぱいあるからゆっくり食べて。」
“ピロリロリン…”
「あ…」
真莉亜が自分の携帯を探し始めた。
「電話でていい?」
「うん、いいよ。」
「もしもし…あ、健ちゃん?」
雅はその名前を聞いて体がピクッと反応した。
「うん。うん。あ、ごめん、今お家にいないの。今お友達が熱出しちゃって看病しているの…え?うん、そう、この間会った人。大丈夫だよ。ちゃんと帰れるよ。でも何時になるかわからないから今日はごめんね。」
真莉亜は携帯を切ってかばんの中にしまう。
「…どうしたの?」
「健ちゃんからで家の近くにいるから会えないかって。」
「しょっちゅうこんな遅い時間に遊びにくるの?」
「仕事終わってからだから、夜結構遅いかも。」
「ふ~ん…」
「あ、おかわりだったね。」
真莉亜が立とうとした瞬間雅が真莉亜の手首をつかみ、ベッドに押し倒す。
「キャッ…」
「真莉亜はさ…なんで俺の部屋にきたの?」
「え…だって友達が風邪で熱だしたら看病するのが当たり前でしょ。」
「友達か…」
「雅君?」
「真莉亜が友達だと思っていても、俺だって男なんだよ…こんな時間に男の家にあがるなんて危ないんだよ。こういうことをしたっていいって思われるんだよ。」
「雅君…」
「健二だって、そんな時間に真莉亜が部屋にあげていたら、いつこういうことするかわかんないよ。」
「健ちゃんは…こんな強引なことはしないよ!」
真莉亜は覆いかぶさる雅をどけて荷物をまとめる。
「お大事に!」
真莉亜は怒りながら雅の部屋を出た。
「はぁ~」
「何で俺こんなこと言っちゃったんだろう…」
ただの嫉妬だった。
せっかり真莉亜が看病しにきてくれたのに…最悪な形で真莉亜を家から出させてしまった。
あれから一週間、体調はすぐよくなって店にも復帰はしたものの、真莉亜に電話してもメールしても返信はなかった。
「雅、元気だせよ。」
剛が話しかけてきた。
「このまま終わるのかな…なんか一言でいいから謝りたいな…」
「雅、指名~よろしく~」
雅がテーブルにいくといつもの常連客だった。
「雅~会いたかったよ!こっちきてきて!一緒にやけ酒飲もう!」
「なっちゃん、今日どうしたの?」
「私さ~お店に来るお客さんにマジで惚れてたの!なのに結婚するって今日ワイドショーで言っててさ~」
「有名人なの?」
「えっとね、この人。」
なっちゃんがスマホの写真を見せてきた。
「これ…」
「知ってる?M社の次期社長!格好いいでしょ!お店の子みんな狙ってたんだから!」
雅の部屋は意外にもワンルームの部屋だった。
№1といえば家賃が高い部屋に住んでいるイメージが強いが、雅は広い部屋があまり好きじゃないしお金を貯めたかった。
「雅君の部屋、あまり荷物がない?歩きやすくていい。」
「そうかも。帰って寝るだけだから、ほとんど生活していないような感じだよ。」
「そっか。あ、キッチン借りてもいい?」
「調理器具なべしかないんだけど…それでもよかったら。」
「大丈夫だよ。じゃあ借りるね。」
真莉亜がキッチンにたち料理を始めた。
(好きな人がキッチンに立って料理作ってくれるっていいな…)
雅はそう思いながらウトウト寝てしまった。
「…?」
額がひんやりと冷たい気がして目が覚めた。
目を開くと真莉亜が横で座って、雅の額に手を当てていた。
「真莉亜?」
「起こしちゃった?」
「ごめん、俺寝てた?」
「気持ち良さそうに寝てたよ。熱下がってきたみたい。」
「うん、なんか体が大分軽い。」
「おかゆ作ったんだけど食べる?」
「食べる!お腹空いたんだ…」
「うん…美味しい!体にすっといきわたって生き返る感じ!」
雅はガツガツと食べだした。
「おかわりあるから言ってね。」
「おかわり!」
「ふふ、いっぱいあるからゆっくり食べて。」
“ピロリロリン…”
「あ…」
真莉亜が自分の携帯を探し始めた。
「電話でていい?」
「うん、いいよ。」
「もしもし…あ、健ちゃん?」
雅はその名前を聞いて体がピクッと反応した。
「うん。うん。あ、ごめん、今お家にいないの。今お友達が熱出しちゃって看病しているの…え?うん、そう、この間会った人。大丈夫だよ。ちゃんと帰れるよ。でも何時になるかわからないから今日はごめんね。」
真莉亜は携帯を切ってかばんの中にしまう。
「…どうしたの?」
「健ちゃんからで家の近くにいるから会えないかって。」
「しょっちゅうこんな遅い時間に遊びにくるの?」
「仕事終わってからだから、夜結構遅いかも。」
「ふ~ん…」
「あ、おかわりだったね。」
真莉亜が立とうとした瞬間雅が真莉亜の手首をつかみ、ベッドに押し倒す。
「キャッ…」
「真莉亜はさ…なんで俺の部屋にきたの?」
「え…だって友達が風邪で熱だしたら看病するのが当たり前でしょ。」
「友達か…」
「雅君?」
「真莉亜が友達だと思っていても、俺だって男なんだよ…こんな時間に男の家にあがるなんて危ないんだよ。こういうことをしたっていいって思われるんだよ。」
「雅君…」
「健二だって、そんな時間に真莉亜が部屋にあげていたら、いつこういうことするかわかんないよ。」
「健ちゃんは…こんな強引なことはしないよ!」
真莉亜は覆いかぶさる雅をどけて荷物をまとめる。
「お大事に!」
真莉亜は怒りながら雅の部屋を出た。
「はぁ~」
「何で俺こんなこと言っちゃったんだろう…」
ただの嫉妬だった。
せっかり真莉亜が看病しにきてくれたのに…最悪な形で真莉亜を家から出させてしまった。
あれから一週間、体調はすぐよくなって店にも復帰はしたものの、真莉亜に電話してもメールしても返信はなかった。
「雅、元気だせよ。」
剛が話しかけてきた。
「このまま終わるのかな…なんか一言でいいから謝りたいな…」
「雅、指名~よろしく~」
雅がテーブルにいくといつもの常連客だった。
「雅~会いたかったよ!こっちきてきて!一緒にやけ酒飲もう!」
「なっちゃん、今日どうしたの?」
「私さ~お店に来るお客さんにマジで惚れてたの!なのに結婚するって今日ワイドショーで言っててさ~」
「有名人なの?」
「えっとね、この人。」
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