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愛とは結婚とは?①
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週末――
美優はヒロの家でのことが気になったが、大学祭の忙しさで悩む余裕がなかった。
美優たちはお好み焼き屋の出店を出すことになっていて、朝から食材をきっていた。
「やっぱ美優は切るの早いし、きれいだよね~」
「そうかな?」
「もう私なんか疲れちゃったよ~」
「いいよ、私やっとく。なんか今日はずっと切っておきたい感じ。」
食材を切っている時は無心でいられた。
巧にもここ数日会っていなかった。
お互い忙しかったから今日会えるのは久々で嬉しいが…巧がどういう風にくるのか不安だった。
「ねぇ、美優。ちょっとちょっと!」
「え?何?」
「あの人が美優を呼んでくれっていうんだけど知り合い?」
指された指先の向こうをみるとB系の格好にドレッドヘアー、キャップを被っている男性が立っていた。
「いや…知らないんだけど…てかなんか怖いよね…」
ただ立っているだけだったが、近づくなというオーラがすごかった。
「だけど神田美優っていってフルネームで言ってたよ!中学とかの同級生じゃない?」
「あ、あの…神田美優ですけど…」
美優が恐る恐る近づくと男性が美優に近づいてきた。
(何?何?私この人に何かした?)
「久しぶり、美優。」
「…ん?」
聞き覚えるある声に反応し、キャップの下から顔を見る。
「たくッ…」
巧が美優にいきなりキスをしてきた。
久しぶりのキス…とうっとりとしていた美優だったが、ここが大学だったことに気づいて巧から離れた。
「ちょっと、ここ大学…」
巧はニコニコと笑いながらいった。
「タクね、俺。」
「あぁ~わかった。」
「間違ったらまたキスするからな。」そう耳元で囁いてきた。
「今のみた?」
「やっぱヒロとは付き合ってないんだね~」
「でもヒロのほうが格好よくない?」
ヒロのほうが格好いいという言葉が耳に入って巧が不機嫌になってきた。
「ぜ、全然わかんなかったよ…あまりのかわりぶりで…」
「ヘアメイクに頼んでやってもらった。」
「うん…すごい、たぶん誰もわかんないかも。」
「ねぇ、美優。その人…」
愛が話しかけてきた。
「あ、この間話していた…タクっていうの。友達の愛。」
「初めまして…」
「初めまして。」
そういって巧は愛に手を差し伸べた。
「え…?」
「ちょっとちょっと!」
美優は巧の耳元で話しかけた。
「握手は普通にしないよ。」
「あ、ごめんごめん。」
「あはは、面白い人なんだね、タクさんって。」
「そうでしょ、あははは。」
「せっかくだから休憩してタクさんと回ってきたら?」
「あ、うん。いい?」
「行っておいでよ。」
「これが学園祭か…」
「初めてきた?」
「うん…」
巧はキョロキョロと辺りを見渡す。
「ふふ、食べたいものある?何か食べようよ。」
「…美優のご飯食べたい。最近ずっと食べてないから。」
「あ…そっか、そうだったね。じゃああとで焼きそばでよかったら作るよ。」
「あとは…」
「美優を食べてないな…」と耳元で囁いてきた。
美優は顔が徐々に赤くなってくる。
「今夜俺の家に来いよ。」
「う、うん…あ…」
「何?」
美優の目線の先には映画研究部の看板が立っていた。
「映画研究部?」
「ヒロが映画上映しているの…」
「俺、映画観たい。」
「え?ちょっと…」(何となく二人で入るの嫌なんだけどな…)
巧は美優の腕を引っ張り中に入って椅子に座る。
映画といっても50分ぐらいのもので、ヒロが監督をしている作品だった。
「どうだった?」
「ヒロ…」
「役者は大根だったけど、ストーリー、カメラの切り替え、アングル、編集とかそういうのはよかったんじゃね?」
「…プロの人にそういってもらえると嬉しいよ。」
「ヒロ!」
「一瞬わからなかったけど…話をするとすぐにわかるもんだね。」
「お前は父親似なんだな。」
「俺は母さんのように演技はできないよ。アンタの演技力もすごいと思うけどね。」
「あ、次いこう!ね?」
今度は美優が巧の腕を強引に引っ張ってその場から去った。
「あ、ヒロ君!実はお願いがあるんだけど…神田さんとこの後…」
ヒロのファンの女の子がヒロに話を持ちかけてきた。
「ここでいつも講義受けて、私はここに座っていることが多いかな~」
美優は巧を講義室へ連れてきた。
講義室には誰もいなくて、巧と二人きりになれた。
巧も美優の隣に座った。
「俺も大学行っていたらこうやって授業受けてたのかな…」
「大学行きたいの?」
「美優と同じ大学で、同じ授業受けて、こうやって美優を見てたい。」
「え…」
巧は美優の頬にそっと触れて、今にも泣きそうな表情で見つめてくる。
「…どうしたの?なんか今日巧変だよ?」
巧は手は伸ばした手を引き戻し、教壇のほうへ歩いていく。
「美優。愛って何だと思う?結婚って何だと思う?」
「…え?どうしたの突然…」
「俺、愛も結婚も独占欲の塊だと思ってたよ。」
「…」
「だけど美優といるとわからなくなってきた…」
美優はヒロの家でのことが気になったが、大学祭の忙しさで悩む余裕がなかった。
美優たちはお好み焼き屋の出店を出すことになっていて、朝から食材をきっていた。
「やっぱ美優は切るの早いし、きれいだよね~」
「そうかな?」
「もう私なんか疲れちゃったよ~」
「いいよ、私やっとく。なんか今日はずっと切っておきたい感じ。」
食材を切っている時は無心でいられた。
巧にもここ数日会っていなかった。
お互い忙しかったから今日会えるのは久々で嬉しいが…巧がどういう風にくるのか不安だった。
「ねぇ、美優。ちょっとちょっと!」
「え?何?」
「あの人が美優を呼んでくれっていうんだけど知り合い?」
指された指先の向こうをみるとB系の格好にドレッドヘアー、キャップを被っている男性が立っていた。
「いや…知らないんだけど…てかなんか怖いよね…」
ただ立っているだけだったが、近づくなというオーラがすごかった。
「だけど神田美優っていってフルネームで言ってたよ!中学とかの同級生じゃない?」
「あ、あの…神田美優ですけど…」
美優が恐る恐る近づくと男性が美優に近づいてきた。
(何?何?私この人に何かした?)
「久しぶり、美優。」
「…ん?」
聞き覚えるある声に反応し、キャップの下から顔を見る。
「たくッ…」
巧が美優にいきなりキスをしてきた。
久しぶりのキス…とうっとりとしていた美優だったが、ここが大学だったことに気づいて巧から離れた。
「ちょっと、ここ大学…」
巧はニコニコと笑いながらいった。
「タクね、俺。」
「あぁ~わかった。」
「間違ったらまたキスするからな。」そう耳元で囁いてきた。
「今のみた?」
「やっぱヒロとは付き合ってないんだね~」
「でもヒロのほうが格好よくない?」
ヒロのほうが格好いいという言葉が耳に入って巧が不機嫌になってきた。
「ぜ、全然わかんなかったよ…あまりのかわりぶりで…」
「ヘアメイクに頼んでやってもらった。」
「うん…すごい、たぶん誰もわかんないかも。」
「ねぇ、美優。その人…」
愛が話しかけてきた。
「あ、この間話していた…タクっていうの。友達の愛。」
「初めまして…」
「初めまして。」
そういって巧は愛に手を差し伸べた。
「え…?」
「ちょっとちょっと!」
美優は巧の耳元で話しかけた。
「握手は普通にしないよ。」
「あ、ごめんごめん。」
「あはは、面白い人なんだね、タクさんって。」
「そうでしょ、あははは。」
「せっかくだから休憩してタクさんと回ってきたら?」
「あ、うん。いい?」
「行っておいでよ。」
「これが学園祭か…」
「初めてきた?」
「うん…」
巧はキョロキョロと辺りを見渡す。
「ふふ、食べたいものある?何か食べようよ。」
「…美優のご飯食べたい。最近ずっと食べてないから。」
「あ…そっか、そうだったね。じゃああとで焼きそばでよかったら作るよ。」
「あとは…」
「美優を食べてないな…」と耳元で囁いてきた。
美優は顔が徐々に赤くなってくる。
「今夜俺の家に来いよ。」
「う、うん…あ…」
「何?」
美優の目線の先には映画研究部の看板が立っていた。
「映画研究部?」
「ヒロが映画上映しているの…」
「俺、映画観たい。」
「え?ちょっと…」(何となく二人で入るの嫌なんだけどな…)
巧は美優の腕を引っ張り中に入って椅子に座る。
映画といっても50分ぐらいのもので、ヒロが監督をしている作品だった。
「どうだった?」
「ヒロ…」
「役者は大根だったけど、ストーリー、カメラの切り替え、アングル、編集とかそういうのはよかったんじゃね?」
「…プロの人にそういってもらえると嬉しいよ。」
「ヒロ!」
「一瞬わからなかったけど…話をするとすぐにわかるもんだね。」
「お前は父親似なんだな。」
「俺は母さんのように演技はできないよ。アンタの演技力もすごいと思うけどね。」
「あ、次いこう!ね?」
今度は美優が巧の腕を強引に引っ張ってその場から去った。
「あ、ヒロ君!実はお願いがあるんだけど…神田さんとこの後…」
ヒロのファンの女の子がヒロに話を持ちかけてきた。
「ここでいつも講義受けて、私はここに座っていることが多いかな~」
美優は巧を講義室へ連れてきた。
講義室には誰もいなくて、巧と二人きりになれた。
巧も美優の隣に座った。
「俺も大学行っていたらこうやって授業受けてたのかな…」
「大学行きたいの?」
「美優と同じ大学で、同じ授業受けて、こうやって美優を見てたい。」
「え…」
巧は美優の頬にそっと触れて、今にも泣きそうな表情で見つめてくる。
「…どうしたの?なんか今日巧変だよ?」
巧は手は伸ばした手を引き戻し、教壇のほうへ歩いていく。
「美優。愛って何だと思う?結婚って何だと思う?」
「…え?どうしたの突然…」
「俺、愛も結婚も独占欲の塊だと思ってたよ。」
「…」
「だけど美優といるとわからなくなってきた…」
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