【R18】アムール

かのん

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もう一度、あなたに恋をする。

初デート②

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「やっぱ映画はやめて違うとこいかない?」



「怖いの?」



「ホラーとか苦手だよ~お風呂入るときとか、夜中目が覚めたとき怖いし…」



美優は昔からホラーが苦手だった。



「…だからだよ。」



「え?」



「美優がホラー苦手なの知ってるから。」



「じゃあ、他ので…」









「怖いから今夜泊まってって美優が言うの待ってんの。」









「え…///あの、それは、まだ、心の準備が…」



「とりあえず映画観よう、映画。」



「ちょっと、待って…」


結局二人はホラー映画の映画にした。



映画が始まっても隣の美優は何のリアクションもなかった。



「…?」



美優を見ると見えないように目をつぶっていた。



「映画見ないように目瞑ってんの?」



巧が小声で聞くと美優は首を縦に振った。



“チュッ…”



唇に生暖かい感触で美優は目を見開いた。



「え…今…」



「目瞑っているからキスしてほしいのかなと思って♪」



巧がニヤリと微笑みながら言った。



「///」



美優は不意打ちのキスに耳まで赤くなった。



記憶をなくした美優にとってはこれが巧との初キスだった。



美優はそのあと怖いはずのホラー映画の内容も、キスの余韻で頭に入らなかった。



おかげさまなのかまったく恐怖がなかった。



「はぁ~意外と美優が怖がらなかったな~」



「え!?そんなことないよ…」(まさかキスの余韻に浸っていたなんて言えない)



「でも俺もそんな怖くなかったかな~ん~」



巧は背伸びをし、目がトロンとして眠そうだった。



「眠い?」



「昨日打ち合わせを遅くまでやってたから…」



「じゃあそこの公園で一休みしよう。」



二人は小さな公園に行き、草むらの上に座った。



公園には天気がいいからか、平日というのもあって若いカップルが多かった。



「気持ちいい~」



そういって巧は美優の太ももの上に頭を乗せる。



「え!?」



巧が自然に甘えてくるのに驚きつつも可愛くて愛しかった。



巧はそのまますぅっと寝てしまった。



「疲れているんだね…」



巧は美優の腰に手を回し甘えてきた。



「寝顔写真に撮られちゃうよ?」



「だからこっち見てんの。」









「俺の寝顔は美優だけのものだから。」









“ギュッ…”



可愛らしいことをいう巧を急に抱きしめたくなった。



巧は驚いたのか目を開け、すぐ美優の腰に回していた腕に力をいれさらに強く抱きついた。



【さっき巧君、彼女と映画館でキスしてた!】



【駅で友達を待ってたら俳優の日向巧が誰を待っていた!そしたら噂の彼女が登場!!デートかな?】



【彼氏と公園きたら日向巧が彼女とラブラブしてる!!隣の彼氏じゃなくて二人をついつい見ちゃう!】



ツイッターでは次々二人の情報や写真がアップされた。



「あ…この公園…もしかしてたくちゃん近くにいるのかな?」



巧の記者会見のテレビの前に立っていたショートカットの女性もツイッターをチェックしていた。



女性はガラガラとトランクを引きずりながら、公園へと向かいだした。



「ん…」



「起きた?」



「俺寝ちゃってた…」



「うん、気持ちよさそうに寝てたよ。」



「…腹減った~」



「じゃあご飯作ろうか?」



「オムライスがいい。」



「じゃあスーパーに行かないとだね。」









「そのまま俺んちに泊まれよ。」









「え…」



美優が返事に困っていた時――



「たくちゃ~ん!!」



「「え?」」



巧と美優は声が聞こえてきた方向へ同時に向いた。



「会いたかったよ!!」



女性は座っている巧に抱きつき、芝生の上に押し倒された。




「…沙織?」



「やっぱ、たくちゃんなんだね!忘れられてたらどうしようかと思った!」



沙織はまた巧に強く抱きついた。



「わかったから、離れろよ。」



巧は沙織の腕を自分の体から引き離す。



「昔はよくこうやって抱き合ってたじゃん。」



「…え?」



「美優、誤解するなよ。子供の頃の話だから。」



「子供の頃って…」



「私たち施設仲間なの。ね?」



「俺が施設に入ったあと沙織が入ってきて…同い年だからよく遊んでたな。」



「そう…なんだ。」



「たくちゃん、急にいなくなるんだもん。だけどまさか芸能人になっているなんて、びっくりしちゃった!施設の頃は苗字がなかったよね?」



「あぁ…そういわれてみればそうだな。」
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