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もう一度、あなたに恋をする。
沙織の戦い
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“ジャリッ….”
沙織がアパートまで歩いていると後ろから誰かがついてくる音がした。
玄関を開けるとこの間みたいに後ろから突き飛ばされたーー
「よぉ~沙織。」
「お兄ちゃん…」
「この間はたくさん稼いでくれてありがとな~だけどよ…」
「イタッ…!」
沙織の髪の毛を掴んで兄が自分の方へ引き寄せた。
「まだまだ足りねーんだわ。もう使っちゃったんだよ。お兄ちゃんのために脱いでくれるよな?」
沙織は財布から数万円とって投げつけた。
「これ全部あげるから、もう出て行って!もう来ないで!!」
「沙織…」
兄が沙織の頬を親指と人さし指でつまんできた。
「お前兄ちゃんと縁がきれると思ってんのか?あぁ!?」
暗闇でも兄の目がイッテいるのがわかる…
“ドンッ!”
沙織は兄を突き飛ばし台所の引き出しから包丁を取り出した。
「近づかないでッ!!」
「沙織…お前本気かよ。冗談なら早く降ろせ。」
「降ろさない…」
沙織は一歩ずつゆっくりと兄に近づいていく。
「お前俺を刺せるのか?それに刺したら刑務所行きだぞ?今までいい子だったんだから…な?俺にそれ渡せ。」
「あんたを刺して私も死ぬ。」
「…」
沙織の本気度がわかり、兄も言葉を失った。
「お兄ちゃん…私あの日、迎えにきてくれて本当に嬉しかったの…家族が迎えにきたって。
今まで唯一の家族がお兄ちゃんだけだったから、今まで言うこと聞いてきた…
だけどもう私は私らしく、胸を張って生きていきたい。
もう怯えて生活したくないの!」
「沙織…」
「来ないで!!!」
兄の右腕を包丁がかすり、血が床に滴り始めた。
「あ…」
血が滴るのをみて沙織は自分がしたことの事の大きさ気づいた。
兄を包丁で刺してしまった――
“ドンドンドンッ…ガチャガチャッ…”
玄関から誰かが中に入ってくる音が聞こえた。
「警察だ!宮城翔太、覚せい剤所持の疑いで逮捕状が出ている。同行してもらおうか?…ん?」
警察が兄の右腕の切り傷と血がついた包丁を見つけた。
「これは…」
「あ、あの、これは私が――」
沙織が泣き出しそうな声を絞り出しながら答えた。
「俺がやったんですよ。」
「……お兄ちゃん?」
「妹に金よこせって…包丁もって脅したんですよ。そしたら揉み合って…」
「事実ですか?」
「あのッ――」
「そうだって言ってんだろ!早く連れてけよ!!」
兄が暴れだし周りの警察官に押さえつけられる。
「とにかくお兄さんは連行するから。」
「お兄ちゃん!」
「…悪かったな今まで。もう二度とお前に会わない。」
兄は警察に連行されてパトカーに乗り込んだ。
「…お兄ちゃんッ…」
もっと早く
兄弟になれたらよかった…
酷いこともされた
酷いことも言われた
だけど迎えにきてくれて繋いだ手のぬくもりが――
家族だからいつかまた感じれるって心のどこかで信じていたから…
もう二度と怯える生活はなくなったけど
兄弟の手のぬくもりは永遠に消えてしまった…
――さようなら、お兄ちゃん――
沙織がアパートまで歩いていると後ろから誰かがついてくる音がした。
玄関を開けるとこの間みたいに後ろから突き飛ばされたーー
「よぉ~沙織。」
「お兄ちゃん…」
「この間はたくさん稼いでくれてありがとな~だけどよ…」
「イタッ…!」
沙織の髪の毛を掴んで兄が自分の方へ引き寄せた。
「まだまだ足りねーんだわ。もう使っちゃったんだよ。お兄ちゃんのために脱いでくれるよな?」
沙織は財布から数万円とって投げつけた。
「これ全部あげるから、もう出て行って!もう来ないで!!」
「沙織…」
兄が沙織の頬を親指と人さし指でつまんできた。
「お前兄ちゃんと縁がきれると思ってんのか?あぁ!?」
暗闇でも兄の目がイッテいるのがわかる…
“ドンッ!”
沙織は兄を突き飛ばし台所の引き出しから包丁を取り出した。
「近づかないでッ!!」
「沙織…お前本気かよ。冗談なら早く降ろせ。」
「降ろさない…」
沙織は一歩ずつゆっくりと兄に近づいていく。
「お前俺を刺せるのか?それに刺したら刑務所行きだぞ?今までいい子だったんだから…な?俺にそれ渡せ。」
「あんたを刺して私も死ぬ。」
「…」
沙織の本気度がわかり、兄も言葉を失った。
「お兄ちゃん…私あの日、迎えにきてくれて本当に嬉しかったの…家族が迎えにきたって。
今まで唯一の家族がお兄ちゃんだけだったから、今まで言うこと聞いてきた…
だけどもう私は私らしく、胸を張って生きていきたい。
もう怯えて生活したくないの!」
「沙織…」
「来ないで!!!」
兄の右腕を包丁がかすり、血が床に滴り始めた。
「あ…」
血が滴るのをみて沙織は自分がしたことの事の大きさ気づいた。
兄を包丁で刺してしまった――
“ドンドンドンッ…ガチャガチャッ…”
玄関から誰かが中に入ってくる音が聞こえた。
「警察だ!宮城翔太、覚せい剤所持の疑いで逮捕状が出ている。同行してもらおうか?…ん?」
警察が兄の右腕の切り傷と血がついた包丁を見つけた。
「これは…」
「あ、あの、これは私が――」
沙織が泣き出しそうな声を絞り出しながら答えた。
「俺がやったんですよ。」
「……お兄ちゃん?」
「妹に金よこせって…包丁もって脅したんですよ。そしたら揉み合って…」
「事実ですか?」
「あのッ――」
「そうだって言ってんだろ!早く連れてけよ!!」
兄が暴れだし周りの警察官に押さえつけられる。
「とにかくお兄さんは連行するから。」
「お兄ちゃん!」
「…悪かったな今まで。もう二度とお前に会わない。」
兄は警察に連行されてパトカーに乗り込んだ。
「…お兄ちゃんッ…」
もっと早く
兄弟になれたらよかった…
酷いこともされた
酷いことも言われた
だけど迎えにきてくれて繋いだ手のぬくもりが――
家族だからいつかまた感じれるって心のどこかで信じていたから…
もう二度と怯える生活はなくなったけど
兄弟の手のぬくもりは永遠に消えてしまった…
――さようなら、お兄ちゃん――
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