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近いのに、遠い……
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「未亜ー!いい加減起きなさい!」
お姉ちゃんの声が下から聞こえて目が覚めた。
携帯をみたら朝7時…春休みだから遅刻なんてない。
新規のラインもメールも電話もない。
礼人さんに一週間後に会おうと言ったのは
いつも私ばかり追いかけているから
礼人さんにも追いかけてほしくて言ったけど
やっぱり連絡がない。
わかってる、きっと約束の日まで連絡はない。
昨日は遅れて来てくれたけど一週間後はもう来てくれないかもしれない。
「未亜、春休みだからって寝てたら駄目だよ~大学は電車で通うんでしょ?」
「うん…」
「春休みだからって彼氏と遅くまで電話してたらお肌に悪いぞ~」
「お姉ちゃん…ほら、お姉ちゃんも遅刻するよ。」
「あ、本当だ。もうお父さんたち仕事に行ったからね。あと、今日未亜は夜家にいるよね?」
「え?うん、いるけど…」
「今日給料日だからご飯連れて行ってあげる。」
「本当?」
「だからちゃんとそれまで掃除、洗濯しておいてよ~」
「はぁ~い。行ってらっしゃい。」
今までもお姉ちゃんには給料日の日にご飯に連れて行ってもらったことが何回かある。
お父さんとお母さんと家族全員ご飯をおごってくれたり、プレゼントをくれたり…本当に素敵な姉でできた娘だと思う。
「家に1人って暇だな…」
洗濯して、家を掃除して、お昼ご飯食べて…
夜ご飯はいらないから暇で仕方がない。
「意外と暖かい。」
散歩してみようと外に出ると意外と暖かくて
気持ちがよくて足が勝手に動き出す。
頭では何も考えないで無の状態で
歩いているはずなのに――
向かった先は礼人さんと待ち合わせをした“象さん公園”だ。
みんな春休みなのか小学生たちが楽しそうにサッカーをやっている。
その中で1人、知った男性が少年たちに混じってサッカーをしていた。
「けんちゃん…」
「未亜!久しぶり~」
けんちゃんは、お姉ちゃんと同い年でお姉ちゃんとけんちゃんはいわゆる幼馴染。
私にとっては兄みたいな人で初恋の人。
優しくて、いつも笑顔で、太陽みたいに包み込んでくれる人。
「いや~久々にサッカーなんてしたわ。社会人になると一切体動かさないからな。」
「ふ~ん、そんなもんなんだ。」
「未亜は大学に進学するんだって?母ちゃんから聞いたぞ~勉強嫌いな未亜がな~」
「勉強は嫌いだけど…でも英語だけは好きだし。」
「美月と一緒だな~英語が得意って。」
「……お姉ちゃんなら元気だよ。」
「な!?別に気になるなんて一言も。」
「けんちゃん、お姉ちゃんのこと今でも好きなんだね。」
そう、私の初恋は告白をする前から失恋していた。
だって、けんちゃんはずっとお姉ちゃんが好きだったから。
「…何だろうな。」
「え?」
「社会人になって自然と会わなくなったら美月のこと忘れると思っていたんだけど…」
けんちゃんの癖は昔から変わってない。
恥ずかしくなったら頭を下げてかく癖。
大きい体だけど、こうやって恥ずかしさを隠している姿は目の前で
サッカーをしている少年たちと変わらない。
こういう姿に母性本能が動かされてキュンキュンしていた。
「会わないほうが……余計に美月を思い出す。」
「うん…わかるよ……」
学校に行けば私は礼人さんに、けんちゃんはお姉ちゃんに会えてた。
それが当たり前で、どれだけいい環境だったかなんてその時はわかってなかった。
会えなければ会えないで…次の約束がないから切ない。
「何だ、未亜、お前恋してんのか~?」
「けんちゃん…私ももう大学生になるんだよ。恋ぐらいするよ。」
「ずっと小さい妹だと思っていたお前にこんな話をするなんてな…月日がたつのは本当早いな。俺は何やってるんだろうな。」
「けんちゃんは…告白しないの?」
「したよ、何回も。」
「え!?そうなの!?」
「あいつさ……好きな奴いるんだよ。」
「お姉ちゃんに…好きな人?」
「小学6年の時に引っ越してきた奴でさ…男子高校だったから高校は別々だったんだけど。」
「お姉ちゃんにそんな人がいたなんて知らなかった…」
「そっか…仲いいから話しているかと思っていたよ。」
言われれば私たち姉妹は恋愛の話はあまりしてこなかったかもしれない。
お姉ちゃんは私と違って勉強もできて、部屋も整理整頓していて、陸上部でも表彰されたり、でも自慢することなく妹の私にいつも優しい自慢のお姉ちゃんだった。
でもそれは表面上でお姉ちゃんの感情的な部分はまったく知らない。
お姉ちゃんは家にいる時は、ほとんど部屋で過ごしているからーー
「お姉ちゃんはそのその人と……」
「いや、付き合ってない。付き合ってはいないけど……」
「けんちゃん…?」
「美月に好きな人がいたって話忘れて。」
「え…?」
「美月は思い出したくもないだろうからさ。」
「う、うん…分かった。」
もしかして振られたとかなのかなと
この時はそう思っていたけど
私が想像したことより
もっとお姉ちゃんの傷は深かった。
お姉ちゃんの声が下から聞こえて目が覚めた。
携帯をみたら朝7時…春休みだから遅刻なんてない。
新規のラインもメールも電話もない。
礼人さんに一週間後に会おうと言ったのは
いつも私ばかり追いかけているから
礼人さんにも追いかけてほしくて言ったけど
やっぱり連絡がない。
わかってる、きっと約束の日まで連絡はない。
昨日は遅れて来てくれたけど一週間後はもう来てくれないかもしれない。
「未亜、春休みだからって寝てたら駄目だよ~大学は電車で通うんでしょ?」
「うん…」
「春休みだからって彼氏と遅くまで電話してたらお肌に悪いぞ~」
「お姉ちゃん…ほら、お姉ちゃんも遅刻するよ。」
「あ、本当だ。もうお父さんたち仕事に行ったからね。あと、今日未亜は夜家にいるよね?」
「え?うん、いるけど…」
「今日給料日だからご飯連れて行ってあげる。」
「本当?」
「だからちゃんとそれまで掃除、洗濯しておいてよ~」
「はぁ~い。行ってらっしゃい。」
今までもお姉ちゃんには給料日の日にご飯に連れて行ってもらったことが何回かある。
お父さんとお母さんと家族全員ご飯をおごってくれたり、プレゼントをくれたり…本当に素敵な姉でできた娘だと思う。
「家に1人って暇だな…」
洗濯して、家を掃除して、お昼ご飯食べて…
夜ご飯はいらないから暇で仕方がない。
「意外と暖かい。」
散歩してみようと外に出ると意外と暖かくて
気持ちがよくて足が勝手に動き出す。
頭では何も考えないで無の状態で
歩いているはずなのに――
向かった先は礼人さんと待ち合わせをした“象さん公園”だ。
みんな春休みなのか小学生たちが楽しそうにサッカーをやっている。
その中で1人、知った男性が少年たちに混じってサッカーをしていた。
「けんちゃん…」
「未亜!久しぶり~」
けんちゃんは、お姉ちゃんと同い年でお姉ちゃんとけんちゃんはいわゆる幼馴染。
私にとっては兄みたいな人で初恋の人。
優しくて、いつも笑顔で、太陽みたいに包み込んでくれる人。
「いや~久々にサッカーなんてしたわ。社会人になると一切体動かさないからな。」
「ふ~ん、そんなもんなんだ。」
「未亜は大学に進学するんだって?母ちゃんから聞いたぞ~勉強嫌いな未亜がな~」
「勉強は嫌いだけど…でも英語だけは好きだし。」
「美月と一緒だな~英語が得意って。」
「……お姉ちゃんなら元気だよ。」
「な!?別に気になるなんて一言も。」
「けんちゃん、お姉ちゃんのこと今でも好きなんだね。」
そう、私の初恋は告白をする前から失恋していた。
だって、けんちゃんはずっとお姉ちゃんが好きだったから。
「…何だろうな。」
「え?」
「社会人になって自然と会わなくなったら美月のこと忘れると思っていたんだけど…」
けんちゃんの癖は昔から変わってない。
恥ずかしくなったら頭を下げてかく癖。
大きい体だけど、こうやって恥ずかしさを隠している姿は目の前で
サッカーをしている少年たちと変わらない。
こういう姿に母性本能が動かされてキュンキュンしていた。
「会わないほうが……余計に美月を思い出す。」
「うん…わかるよ……」
学校に行けば私は礼人さんに、けんちゃんはお姉ちゃんに会えてた。
それが当たり前で、どれだけいい環境だったかなんてその時はわかってなかった。
会えなければ会えないで…次の約束がないから切ない。
「何だ、未亜、お前恋してんのか~?」
「けんちゃん…私ももう大学生になるんだよ。恋ぐらいするよ。」
「ずっと小さい妹だと思っていたお前にこんな話をするなんてな…月日がたつのは本当早いな。俺は何やってるんだろうな。」
「けんちゃんは…告白しないの?」
「したよ、何回も。」
「え!?そうなの!?」
「あいつさ……好きな奴いるんだよ。」
「お姉ちゃんに…好きな人?」
「小学6年の時に引っ越してきた奴でさ…男子高校だったから高校は別々だったんだけど。」
「お姉ちゃんにそんな人がいたなんて知らなかった…」
「そっか…仲いいから話しているかと思っていたよ。」
言われれば私たち姉妹は恋愛の話はあまりしてこなかったかもしれない。
お姉ちゃんは私と違って勉強もできて、部屋も整理整頓していて、陸上部でも表彰されたり、でも自慢することなく妹の私にいつも優しい自慢のお姉ちゃんだった。
でもそれは表面上でお姉ちゃんの感情的な部分はまったく知らない。
お姉ちゃんは家にいる時は、ほとんど部屋で過ごしているからーー
「お姉ちゃんはそのその人と……」
「いや、付き合ってない。付き合ってはいないけど……」
「けんちゃん…?」
「美月に好きな人がいたって話忘れて。」
「え…?」
「美月は思い出したくもないだろうからさ。」
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もしかして振られたとかなのかなと
この時はそう思っていたけど
私が想像したことより
もっとお姉ちゃんの傷は深かった。
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