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人魚王子、不意打ちをくらう。
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まだ人間になりたての時に、ぐっしょりと濡れた長い髪が重くて仕方なかった。
まさに今そんな感じで、身体が重くて仕方ない。脚も痛い。また、あの時に戻ってしまったんだろうか、と思ったが、あの時とちょっと違う場所が痛んでいる気がする。脚というより、腰。腰というより……。
あらぬところが痛む事に気付き目を覚ました。
燦々と照る陽の光が眩しくて、思わず顔を顰める。あれからオルクと窓の外が暗くなるまで寝台で過ごしたのは覚えている。夜が明けたということは、今日は四日目の朝ということだろう。
昨日は昼間から、殆ど寝台の上にいたのかと思うと居た堪れなくなってきた。
そこにまだ何か入っているような違和感があって熱っぽく、疼きがまだ身体の中に小波のように残っていて落ち着かない。
自分の中の火照りをどうにかしたくて、水差しを探したが見当たらない。
みんなどこにいるんだろう。エマもクロエもいないようだ。窓の外がなんとなく騒がしい気がして、なんとか起き上がって外を覗いてみた。どこからか声は聞こえるが、見えるのは穏やかな海だけだ。
散々泣いたせいか、瞼の腫れぼったくて日差しが降り注ぐ海を見るのは直ぐ億劫になり、視線を戻す。
周りに誰もいないなら仕方ない。外に出て水を貰おう。
そっと扉を開けたところで、すぐに見たことない侍女と目があった。
「人魚様、いかがされました?」
「あの、お水が飲みたいんだけど……」
「かしこまりました。こちらにどうぞ」
今日は持ってきてくれるわけじゃないらしい。クロエが馬車みたいなやつで持ってきてくれる姿を思い浮かべているうちに、侍女はさっさと歩きだしてしまった。
慌てて置いていかれないよう、直ぐにその後を追いかける。よく考えたら、水くらい自ら飲みに行くのは当然かもしれない。やっぱり自分はどこか傲慢なのだと反省した。
とはいえ、反省したところでもうすぐ泡になって消えてしまうのだけど。
そこでふと、気が付いた。
よく考えたら、泡になるには海の中にいないといけないのではないだろうか?
地上にいたら、ただの死体になる可能性もある。
でも脚がこのままじゃあ、海に入っても溺れちゃうから、その前に死んでしまう危険がある。脚だけ、海に付けておくべきだろうかと、考えていると侍女は薄暗い狭い廊下に入ってった。
「こちらです」
裏口のような木の戸の前で止まり、入るように促された。
「この中に水があるの?」
「はい」
若干薄気味悪くて、思わず躊躇う。でも、もう我儘ばかり言わないと決めたのだ。意を決して、そっと扉に手をかけた。軋んだ音をたてながら半分ほど開けてみると、中が真っ暗なことに気がついた。
「ねぇ、明かりって……」
侍女に明かりを付けてもらおうと振り返ろうとしころで、後頭部に鈍い痛みが走った。
(え……)
目の前が赤く染まり、四肢から力が抜けていく。
助けを求めようと視線を巡らせた先に、侍女の冷たい瞳を見つけた。
(あ、しまった)
オルクに言われていたのに。のこのこ見知らぬ侍女に着いてきてしまうなんて。
いくら後悔したとことで、意識は海の底へと沈んでいった。
まさに今そんな感じで、身体が重くて仕方ない。脚も痛い。また、あの時に戻ってしまったんだろうか、と思ったが、あの時とちょっと違う場所が痛んでいる気がする。脚というより、腰。腰というより……。
あらぬところが痛む事に気付き目を覚ました。
燦々と照る陽の光が眩しくて、思わず顔を顰める。あれからオルクと窓の外が暗くなるまで寝台で過ごしたのは覚えている。夜が明けたということは、今日は四日目の朝ということだろう。
昨日は昼間から、殆ど寝台の上にいたのかと思うと居た堪れなくなってきた。
そこにまだ何か入っているような違和感があって熱っぽく、疼きがまだ身体の中に小波のように残っていて落ち着かない。
自分の中の火照りをどうにかしたくて、水差しを探したが見当たらない。
みんなどこにいるんだろう。エマもクロエもいないようだ。窓の外がなんとなく騒がしい気がして、なんとか起き上がって外を覗いてみた。どこからか声は聞こえるが、見えるのは穏やかな海だけだ。
散々泣いたせいか、瞼の腫れぼったくて日差しが降り注ぐ海を見るのは直ぐ億劫になり、視線を戻す。
周りに誰もいないなら仕方ない。外に出て水を貰おう。
そっと扉を開けたところで、すぐに見たことない侍女と目があった。
「人魚様、いかがされました?」
「あの、お水が飲みたいんだけど……」
「かしこまりました。こちらにどうぞ」
今日は持ってきてくれるわけじゃないらしい。クロエが馬車みたいなやつで持ってきてくれる姿を思い浮かべているうちに、侍女はさっさと歩きだしてしまった。
慌てて置いていかれないよう、直ぐにその後を追いかける。よく考えたら、水くらい自ら飲みに行くのは当然かもしれない。やっぱり自分はどこか傲慢なのだと反省した。
とはいえ、反省したところでもうすぐ泡になって消えてしまうのだけど。
そこでふと、気が付いた。
よく考えたら、泡になるには海の中にいないといけないのではないだろうか?
地上にいたら、ただの死体になる可能性もある。
でも脚がこのままじゃあ、海に入っても溺れちゃうから、その前に死んでしまう危険がある。脚だけ、海に付けておくべきだろうかと、考えていると侍女は薄暗い狭い廊下に入ってった。
「こちらです」
裏口のような木の戸の前で止まり、入るように促された。
「この中に水があるの?」
「はい」
若干薄気味悪くて、思わず躊躇う。でも、もう我儘ばかり言わないと決めたのだ。意を決して、そっと扉に手をかけた。軋んだ音をたてながら半分ほど開けてみると、中が真っ暗なことに気がついた。
「ねぇ、明かりって……」
侍女に明かりを付けてもらおうと振り返ろうとしころで、後頭部に鈍い痛みが走った。
(え……)
目の前が赤く染まり、四肢から力が抜けていく。
助けを求めようと視線を巡らせた先に、侍女の冷たい瞳を見つけた。
(あ、しまった)
オルクに言われていたのに。のこのこ見知らぬ侍女に着いてきてしまうなんて。
いくら後悔したとことで、意識は海の底へと沈んでいった。
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