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16. 稽古なんです
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その日は帰宅後、どうにもならない、自分でもよくわからない良いんだか悪いんだかといった気持ちを発散させる為、弟と稽古をすることにしました。
決してしごきではありませんよ?
稽古です、私も若輩者ですからね。
弟達と一緒に鍛錬場へ向かいます。
「今度こそ姉貴にはオレが勝つぜ!」
そう意気込んでいるのは十二歳の次男エルレード。
「そう言ってるお前も倒して、今日は俺の勝ちな」
飄々と言ってのけているのは十五になる長男のガリューシュです。
「ふふふ、大穴お姉様だって負けてられないので、連勝狙いますよ!」
今までは年長の利があったのですが、最近では段々と負けることも多くなってきて少し悔しくもあるのです。
古臭いかもしれませんが、姉としては一歩上を行っていたいものなんですよ!
そんな訳でそれぞれ結構張り切っています。
「それじゃあ、三つ巴で武器あり、動きを止められたら負け。最後まで動いてるやつの勝ちね。合図は――」
「はいはいはい! オレがやるし!」
「力量配分的にも妥当だし、私に異論はないですよ」
「んじゃ、はじめ!」
エルレードの合図と共にまずは三人とも間合いを取ります。
私はまず袖に隠していた暗器をこっそりし準備し、ガリューシュを見たままエルレードへと投げつけました。
それと共にガリューシュへと間合いを詰め手刀を左首筋へと素早く打ち込みます。
が、読まれていたのかひらりと右へかわすと私には目もくれず、彼はエルレードの左後方に向けて回し蹴りをしました。
エルレードは暗器をかわした先で兄の足蹴りを何とか左手で受け流していますが、ちょっとご立腹のようで。
「ちょ、姉貴も兄貴もオレばっか狙ってずりぃぞ!!」
「有事にずるいもへったくれも無い。弱点もしくは弱い奴から消す。基本だろ?」
二人で言い合いながら結構な速さで打ってはかわしを始めたので、私は二人の隙を探します。
時折暗器を投げたり打って出て体勢を崩させようとしますが、二人とも上手く避けてちっとも当たりません。
弟の成長が悔しいやら嬉しいやらお姉様ちょっぴり複雑です。
けどこの年頃の男の子特有なのか段々熱が入ってしまったらしく、私そっちのけになってしまったので、少しの隙を見て右足で二人の足を引っ掛けるべく、下段で回し蹴りをしました。
転けたガリューシュのお腹あたりを腰を低くして右足で踏んづけ、エルレードの喉元に暗器を突きつけ制圧します。
「これで私の二連勝ですね」
にっこり笑っていうと弟達は自分の失態に気づいたらしく、ちぇっ、と舌打ちして負けを認めたのでした。
決してしごきではありませんよ?
稽古です、私も若輩者ですからね。
弟達と一緒に鍛錬場へ向かいます。
「今度こそ姉貴にはオレが勝つぜ!」
そう意気込んでいるのは十二歳の次男エルレード。
「そう言ってるお前も倒して、今日は俺の勝ちな」
飄々と言ってのけているのは十五になる長男のガリューシュです。
「ふふふ、大穴お姉様だって負けてられないので、連勝狙いますよ!」
今までは年長の利があったのですが、最近では段々と負けることも多くなってきて少し悔しくもあるのです。
古臭いかもしれませんが、姉としては一歩上を行っていたいものなんですよ!
そんな訳でそれぞれ結構張り切っています。
「それじゃあ、三つ巴で武器あり、動きを止められたら負け。最後まで動いてるやつの勝ちね。合図は――」
「はいはいはい! オレがやるし!」
「力量配分的にも妥当だし、私に異論はないですよ」
「んじゃ、はじめ!」
エルレードの合図と共にまずは三人とも間合いを取ります。
私はまず袖に隠していた暗器をこっそりし準備し、ガリューシュを見たままエルレードへと投げつけました。
それと共にガリューシュへと間合いを詰め手刀を左首筋へと素早く打ち込みます。
が、読まれていたのかひらりと右へかわすと私には目もくれず、彼はエルレードの左後方に向けて回し蹴りをしました。
エルレードは暗器をかわした先で兄の足蹴りを何とか左手で受け流していますが、ちょっとご立腹のようで。
「ちょ、姉貴も兄貴もオレばっか狙ってずりぃぞ!!」
「有事にずるいもへったくれも無い。弱点もしくは弱い奴から消す。基本だろ?」
二人で言い合いながら結構な速さで打ってはかわしを始めたので、私は二人の隙を探します。
時折暗器を投げたり打って出て体勢を崩させようとしますが、二人とも上手く避けてちっとも当たりません。
弟の成長が悔しいやら嬉しいやらお姉様ちょっぴり複雑です。
けどこの年頃の男の子特有なのか段々熱が入ってしまったらしく、私そっちのけになってしまったので、少しの隙を見て右足で二人の足を引っ掛けるべく、下段で回し蹴りをしました。
転けたガリューシュのお腹あたりを腰を低くして右足で踏んづけ、エルレードの喉元に暗器を突きつけ制圧します。
「これで私の二連勝ですね」
にっこり笑っていうと弟達は自分の失態に気づいたらしく、ちぇっ、と舌打ちして負けを認めたのでした。
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