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一章
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「……ケンウィット、あなた別のクラスじゃなかった?」
幼馴染はこたえない。
ワンテンポ遅れるのは彼の性格なので返事を待つ。
「……エルンスタ公爵に、頼まれた。」
「お父様に頼まれたからって、立場を気にせず断って良いのよ?うちとそちらの家の仲ではないの」
「…………俺も、志願したかった。」
「あのね、うちは騎士団じゃないのよ?志願っていうほどのことじゃないわ」
ため息と共に告げると、ケンウィットの表情は周りには変わらないように見えるだろうけれど、わたくしにはばっちりと、彼の後ろに生える尻尾がぎゅんと垂れたのが見てとれた。
「……………やったら、駄目、なのか?」
「……クルケット様には了解を貰ったの?」
「……帰ってくるなら良い、と。」
それ駄目なやつですわよ……とは言えずに、ならば程よい距離を保って手をギリギリまで出さないでねとお願いする。
わかった、と返事を貰って自分の席に戻った。
娘馬鹿と恩義!が揃うとこんな答えが出てしまうのね……五日ぶりの授業に早速疲れ始めているけれど、へこたれるわけにはいけない、と思い直して最初の授業の準備に取り掛かった。
準備ももう終わりというところで、ずだだだバタン!と音がして教室に誰かが入ってきた。
振り向こうとしたらシャッと何かがすごい速さでやってきた。
残像が、キラキラしい。
「メルティ体は大丈夫なのか??!!」
と言うや否や、殿下はペタペタペタと頭や肩や背中や頬を触ってくる。
左手首の包帯には顔を顰めたが、それ以外どこにも難がないとわかると、盛大なため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「ご心配ありがとうございます殿下。この通りぴんしゃんしておりますわ」
会えたのが嬉しくて思わず笑みが溢れると、しゃがんでいるから上目遣いになった殿下の目がまん丸になった。
「なっ、…ぐうっ、メっ、ど」
「…なぐめど?」
殿下が何を言ったかがわからなくて言葉を繰り返してみる。
殴るぞメイド?ナグメドっていう食べ物?植物かしら?
それ以降何も言わずにいらっしゃるから、どうやらまた固まってしまったらしい。
早速困ってしまった、これでは授業をお互い受け難いことこの上ない。
仕方がないので、ケンウィットを呼んで殿下をご自身の席へ連れてってもらう事にした。
……ケンウィットは、殿下をお姫様抱っこしてサッと連れて行ってくれた。
速くて止める暇がなかったの……御免なさい殿下。
幼馴染はこたえない。
ワンテンポ遅れるのは彼の性格なので返事を待つ。
「……エルンスタ公爵に、頼まれた。」
「お父様に頼まれたからって、立場を気にせず断って良いのよ?うちとそちらの家の仲ではないの」
「…………俺も、志願したかった。」
「あのね、うちは騎士団じゃないのよ?志願っていうほどのことじゃないわ」
ため息と共に告げると、ケンウィットの表情は周りには変わらないように見えるだろうけれど、わたくしにはばっちりと、彼の後ろに生える尻尾がぎゅんと垂れたのが見てとれた。
「……………やったら、駄目、なのか?」
「……クルケット様には了解を貰ったの?」
「……帰ってくるなら良い、と。」
それ駄目なやつですわよ……とは言えずに、ならば程よい距離を保って手をギリギリまで出さないでねとお願いする。
わかった、と返事を貰って自分の席に戻った。
娘馬鹿と恩義!が揃うとこんな答えが出てしまうのね……五日ぶりの授業に早速疲れ始めているけれど、へこたれるわけにはいけない、と思い直して最初の授業の準備に取り掛かった。
準備ももう終わりというところで、ずだだだバタン!と音がして教室に誰かが入ってきた。
振り向こうとしたらシャッと何かがすごい速さでやってきた。
残像が、キラキラしい。
「メルティ体は大丈夫なのか??!!」
と言うや否や、殿下はペタペタペタと頭や肩や背中や頬を触ってくる。
左手首の包帯には顔を顰めたが、それ以外どこにも難がないとわかると、盛大なため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「ご心配ありがとうございます殿下。この通りぴんしゃんしておりますわ」
会えたのが嬉しくて思わず笑みが溢れると、しゃがんでいるから上目遣いになった殿下の目がまん丸になった。
「なっ、…ぐうっ、メっ、ど」
「…なぐめど?」
殿下が何を言ったかがわからなくて言葉を繰り返してみる。
殴るぞメイド?ナグメドっていう食べ物?植物かしら?
それ以降何も言わずにいらっしゃるから、どうやらまた固まってしまったらしい。
早速困ってしまった、これでは授業をお互い受け難いことこの上ない。
仕方がないので、ケンウィットを呼んで殿下をご自身の席へ連れてってもらう事にした。
……ケンウィットは、殿下をお姫様抱っこしてサッと連れて行ってくれた。
速くて止める暇がなかったの……御免なさい殿下。
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