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五章-過去を振り替えるな
一般人生
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まずい、そう思いながらも俺は今携帯をいじっている。
一週間後には定期テストがある。課題も山のように残っている。
「あんた、最近出かけてばっかで空手行ってないんだけど。今日は行くんでしょ?」
下で母が叫んでいる。
命を狙われて生活してるのに、勉強なんてしてる暇ある分けねーだろ。と、言い訳をしていたが本格的に不味くなってきた。
一階に降りると、母がいた。
「あんたさ、最近様子変だよね。何かあるんなら言ってよね」
母は優しくそう言った。
言えることではないが、とてもうれしい。
「さぁ、空手行ってきな」
俺は空手着の上から上着を羽織り、家を出た。
「はい、では今日の稽古を始めます。神前に礼! お互いに礼!」
久しぶりにここに来た。
いつものように先生の挨拶で稽古が始まる。
基本稽古、かた、そしてミット練習、対人稽古が終わる。
ついに、スパーリングの時がやって来た。
俺はとにかくこの時間が嫌いだ。
俺は始めたのが遅かったので、同年代の先輩に大きく劣る。スパーリングは痛いし、自分の無力さを痛感する。
――空手、他のスポーツと少し違うのがどれだけ作戦をたてても、その時の相手の気分や手の微妙な位置などで大きく変わってしまうところだろう。また、相手の拳をさばくことに、一度でも失敗すれば流れは相手のものになり、取り返すことは極めて困難になる。かといってむやみに動けば、隙を増やし、すいげつをとられることになってしまう。このスポーツは大胆に見えて繊細で、パワーやスピードだけでは勝てない。つまり、喧嘩をしているような繊細な動きのできない雑魚位なら余裕で倒せる物だ。相手が、武器を持っていたら話は別だか……
スパーリングの結果はいつも通り惨敗だった。
体中痛むし、手が小刻みに震える。
能力は使わないと決めたから、一つも使っていない。
「はい、では今日の稽古を終わりにします。神前に礼!」
道場を出た俺は、即効で家に帰った。
空手の後は勉強が楽しく、楽に思えてくる。
「ご飯おいとくよ。先寝るから」
「オッケー」
母はいつも先に眠る。
俺はテストに備えて猛勉強をした。
非日常に変わったのはほんの少し前なのに、この日常を感じるのがひどく久しぶりのように感じた。
一週間後には定期テストがある。課題も山のように残っている。
「あんた、最近出かけてばっかで空手行ってないんだけど。今日は行くんでしょ?」
下で母が叫んでいる。
命を狙われて生活してるのに、勉強なんてしてる暇ある分けねーだろ。と、言い訳をしていたが本格的に不味くなってきた。
一階に降りると、母がいた。
「あんたさ、最近様子変だよね。何かあるんなら言ってよね」
母は優しくそう言った。
言えることではないが、とてもうれしい。
「さぁ、空手行ってきな」
俺は空手着の上から上着を羽織り、家を出た。
「はい、では今日の稽古を始めます。神前に礼! お互いに礼!」
久しぶりにここに来た。
いつものように先生の挨拶で稽古が始まる。
基本稽古、かた、そしてミット練習、対人稽古が終わる。
ついに、スパーリングの時がやって来た。
俺はとにかくこの時間が嫌いだ。
俺は始めたのが遅かったので、同年代の先輩に大きく劣る。スパーリングは痛いし、自分の無力さを痛感する。
――空手、他のスポーツと少し違うのがどれだけ作戦をたてても、その時の相手の気分や手の微妙な位置などで大きく変わってしまうところだろう。また、相手の拳をさばくことに、一度でも失敗すれば流れは相手のものになり、取り返すことは極めて困難になる。かといってむやみに動けば、隙を増やし、すいげつをとられることになってしまう。このスポーツは大胆に見えて繊細で、パワーやスピードだけでは勝てない。つまり、喧嘩をしているような繊細な動きのできない雑魚位なら余裕で倒せる物だ。相手が、武器を持っていたら話は別だか……
スパーリングの結果はいつも通り惨敗だった。
体中痛むし、手が小刻みに震える。
能力は使わないと決めたから、一つも使っていない。
「はい、では今日の稽古を終わりにします。神前に礼!」
道場を出た俺は、即効で家に帰った。
空手の後は勉強が楽しく、楽に思えてくる。
「ご飯おいとくよ。先寝るから」
「オッケー」
母はいつも先に眠る。
俺はテストに備えて猛勉強をした。
非日常に変わったのはほんの少し前なのに、この日常を感じるのがひどく久しぶりのように感じた。
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