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平蜘蛛と姫――歪んだ愛(21)
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多聞山城に篭った久秀が動き出したのは、それからおよそひと月後の話だった。
織田軍と三好軍の戦いを静観していた久秀は、密かに織田軍の陣中を訪れていた。
信長と久秀の会見は、人払いをして行なわれた。
「ほう……では、三好の立てた将軍は偽物だと、そなたは言うのだな?」
「はい。本物の義栄様は病によりすでにお亡くなりになられております」
「まあ、その真意はどうでも良い。だが、本物の将軍は亡くなり、三好が偽物を立てているという話は使える」
「必要とあらば、どこへでも出向いて証言いたしましょう」
「うむ。将軍という権力は何かと使える。使えるだけに、厄介な一面もある。特に内裏に向けては策が必要だな」
「心得ております」
久秀は信長に平伏し、恭しく袱紗に包まれた品物を献上した。
「それは何だ?」
「九十九髪茄子といいます。室町幕府の三代将軍である義満が所有したとされる唐物の茶入れにございます」
「ほう、茶入れか」
信長は非常に興味を示したようだった。
この若い大名が、近頃茶に熱を上げ始めているという情報を、久秀はすでに得ていた。
信長は袱紗をとき、その茶入れを手にとって眺め、満足そうに微笑んだ。
「気に入ったぞ、久秀。この九十九髪茄子も、そしてお前もな」
信長はその年齢の若者らしい快活で健康的な笑みを浮かべ、久秀を見た。以後、松永家は織田家配下の大名として組み込まれることになったのだった。
信長の陣中を辞した久秀の動きは速かった。
内裏に向け、すでに義栄は死に、三好三人衆が偽物の義栄を擁していることを訴えた。内裏は速やかにこれを了承し、義栄の将軍職を剥奪。代わりに足利義秋を第十五代将軍として任官させた。
それから間もなく、信貴山城を織田の援軍とともに松永軍が取り囲んだ。
いくら信貴山城の守りが堅いとはいえ、その城の構造を知り尽くした久秀の前では脆すぎた。しかも織田の圧倒的な援軍の力をかり、見事に信貴山城を奪い返すことに成功したのだった。
三好三人衆は命からがら逃げ出すことには成功したものの、畿内を追い立てられ、四国へ逃亡したという。
また、三好三人衆とともに松永軍の攻撃に加わっていた筒井順慶も慌てて福住城へと去っていった。
ようやく大和国に平和が戻ってきた。
「や、やっぱりここが落ち着くね……」
多聞山城から再び信貴山城へと戻ってきた義栄は、何だか嬉しそうな様子だ。
「ええ、そうですね。私もここが落ち着きます」
義栄とともに天守にある茶室からその眺めを楽しんでいると、背後で湯が煮える音がした。久秀は優雅な手つきで濃茶を練っている。
戦の喧騒は、どこか遠くへ行ってしまったようだった。
第十四代将軍足利義栄は世間的には密かに葬られた。
すべては久秀の策だったが、おかげで義栄は永遠に争いの外へとはじき出されたのだった。
可那はそれで良かったと思っている。
これでもう義栄の命が狙われたり、どこかへ連れ去られるというような心配はなくなるだろう。
たとえ義栄が将軍職を返上したとしても、生きている限り、利用しようとしたり、または殺そうとしたりする人間は出てくるはずだ。久秀はそこまで考えて、義栄を世間から抹殺することを考えたのだと思う。
義栄にとっても、そして可那にとっても、世間的に義栄が生きているとか死んでいるとか、そういうことはどうでも良かった。ただ彼が穏やかに日々を暮らすことが出来ることだけを望んでいた。
久秀は義栄を世間的に殺すことによって、彼を将軍位から解放し、そして足利家からも解放したのだった。
(最初は誤解していたけど……この人は本当はとても優しい人なんだ……)
可那にももうそのことは分かっていた。そして、義栄は最初からそれを分かっていたのだ。だから義栄は久秀にあっという間に心を許し、三好三人衆に最後まで怯え続けた。
(お義兄さまに比べて私は……やっぱり人を見る目がないのかな……)
可那は小さくため息をつく。
可那は一時期、三好三人衆のほうを信用し、久秀をまったく信用していなかった。
こうして思い返してみると、やはり義栄のほうが人を見る目は確かだということになるのだろう。
「やはり茶は戦のない平和な時に楽しむのが一番ですね」
久秀が濃茶を義栄に差し出しながら微笑む。
「う、うん、そうだよね。よ、良かった……無事に戦が終わって……」
久秀は義栄の言葉に、ただ微笑んだ。
義栄には外の世界のことはあまり分からないが、世間の戦がすべて終わったわけではない。むしろ、これから激しくなる様相を見せている。
ただ、それがこの信貴山にまで及ぶ可能性は少ないかもしれない。
すでに信長によってこの畿内は制圧され、他国が攻め入る余地を与えていないからだ。
けれども、畿内を取り巻く各地では、争いはさらに激しくなるだろう。
久秀も信長に臣従した以上、これからも信長に呼ばれて戦に出る機会も増えるかもしれない。いや、きっとそうなるだろう。それは義栄の安穏と引き換えに、久秀は九十九髪茄子と自身を差し出したからだ。
利に聡い信長なら、久秀の才能を酷使するだろう。
義栄に訪れた安穏に安堵する一方で、可那にはそれが不安だった。
いつかあの苛烈な信長は、久秀を酷使しすぎて、ぼろ布のようにしてしまったりしないだろうか……。
けれども、久秀は何も言わない。信長からどのような無理を言われても、可那にも義栄にも何も言わないのだった。
ただ、以前にも増して、城を留守にすることが増えた。そして、久秀が何かを考え込む時間が増えたような気がした。
「そういえば、今日は堺から仕入れてきた南蛮の干菓子もありました」
久秀が思い出したかのように、異国の珍しい柄の壷を開ける。そこから色とりどりの星のような形をした珍しい干菓子がぽろぽろと黒塗りの盆の上に零れ落ちた。
「うわぁ、き、綺麗だなぁ」
漆塗りの皿に載せられた干菓子は、何だか星のような形をした色とりどりのもので、食べるのももったいなく思えるほどに美しい。
今は織田家が目を光らせていることもあり、三好三人衆や筒井順慶を気にすることなく京や堺を往来できるので、こうした珍しい菓子も手に入れやすくなったようだ。
さっそく久秀が立てた茶とともに菓子を味わうと、何ともいえない幸せな気持ちになる。干菓子はとても甘いのだ。
「こ、このお菓子、あ、甘くて美味しいね。な、何ていうお菓子なの?」
どうやら義栄はこの菓子をとても気に入ったようだ。可那もこの不思議で可愛らしい菓子を、同じように気に入ってしまった。
「これは南蛮の金平糖という名の干菓子ですよ。砂糖を煮詰めて作ったものらしいです」
「へ、へえ、そ、そうなんだ。こ、金平糖かぁ。す、すごいね、可那」
「はい。とても甘くて可愛らしくて。何だか夢のあるお菓子ですね」
「夢のある……ですか。確かにそうかもしれません。この菓子は製造方法もよく分かっていません。独自に作らせようと思って職人にやらせてみたのですが、このような形に整える方法がまったく見つからないのです」
「そうなんだ……南蛮人に聞くわけにはいかないの?」
「向こうも商売ですからね。なかなか口が堅いのです。でも、いつか必ず作らせて見せますよ」
久秀は自信たっぷりに微笑んだ。
この信貴山城や多聞山城のような見事な城を築くかと思ったら、今度は金平糖。一体この男の頭の中はどうなっているのかと可那は思う。
(きっと欲しいものを手に入れたい……純粋にそれだけなのかも)
可那はふとそう思い、そして納得した。我ながら的を得た推測だと思う。
久秀の行動や言動を見ていると、つい複雑に考えてしまいがちだが、彼の心の中はそれほど複雑ではなく、単純で純粋なのだ。
可那と平蜘蛛を並べて評するのも、特に深い意味があるわけではなく、どちらも同じく大切なもの……という意味なのかもしれない。
ただ、その点に関しては、可那のそうであって欲しいという希望も含まれている。
(いつの間にか私……彼のことを……)
茶碗の飲み口を撫でながら、可那は思う。
可那自身は本当は所有物としてではなく、一人の女性として久秀から愛されたい。けれども、彼はそれが出来ない人だ。だったら、所有物としてでもいいから愛されたい……いつの間にか可那は久秀に対してそういう気持ちを抱いていたことに気づいた。
可那はちらりと久秀を見る。
彼は湯気を立てる平蜘蛛を眺めながら、愛おしそうに微笑んでいる。
この茶器がどれほど貴重なものなのかということの本当の価値は、可那には分からない。けれども、久秀はたとえ世間の誰が見向きをしなくても、平蜘蛛を愛し続けるのだろう。
可那は嫉妬にも近い気持ちを抱きながら、湯気を噴く平蜘蛛を見つめる。
(貴方になんて……負けないから)
織田軍と三好軍の戦いを静観していた久秀は、密かに織田軍の陣中を訪れていた。
信長と久秀の会見は、人払いをして行なわれた。
「ほう……では、三好の立てた将軍は偽物だと、そなたは言うのだな?」
「はい。本物の義栄様は病によりすでにお亡くなりになられております」
「まあ、その真意はどうでも良い。だが、本物の将軍は亡くなり、三好が偽物を立てているという話は使える」
「必要とあらば、どこへでも出向いて証言いたしましょう」
「うむ。将軍という権力は何かと使える。使えるだけに、厄介な一面もある。特に内裏に向けては策が必要だな」
「心得ております」
久秀は信長に平伏し、恭しく袱紗に包まれた品物を献上した。
「それは何だ?」
「九十九髪茄子といいます。室町幕府の三代将軍である義満が所有したとされる唐物の茶入れにございます」
「ほう、茶入れか」
信長は非常に興味を示したようだった。
この若い大名が、近頃茶に熱を上げ始めているという情報を、久秀はすでに得ていた。
信長は袱紗をとき、その茶入れを手にとって眺め、満足そうに微笑んだ。
「気に入ったぞ、久秀。この九十九髪茄子も、そしてお前もな」
信長はその年齢の若者らしい快活で健康的な笑みを浮かべ、久秀を見た。以後、松永家は織田家配下の大名として組み込まれることになったのだった。
信長の陣中を辞した久秀の動きは速かった。
内裏に向け、すでに義栄は死に、三好三人衆が偽物の義栄を擁していることを訴えた。内裏は速やかにこれを了承し、義栄の将軍職を剥奪。代わりに足利義秋を第十五代将軍として任官させた。
それから間もなく、信貴山城を織田の援軍とともに松永軍が取り囲んだ。
いくら信貴山城の守りが堅いとはいえ、その城の構造を知り尽くした久秀の前では脆すぎた。しかも織田の圧倒的な援軍の力をかり、見事に信貴山城を奪い返すことに成功したのだった。
三好三人衆は命からがら逃げ出すことには成功したものの、畿内を追い立てられ、四国へ逃亡したという。
また、三好三人衆とともに松永軍の攻撃に加わっていた筒井順慶も慌てて福住城へと去っていった。
ようやく大和国に平和が戻ってきた。
「や、やっぱりここが落ち着くね……」
多聞山城から再び信貴山城へと戻ってきた義栄は、何だか嬉しそうな様子だ。
「ええ、そうですね。私もここが落ち着きます」
義栄とともに天守にある茶室からその眺めを楽しんでいると、背後で湯が煮える音がした。久秀は優雅な手つきで濃茶を練っている。
戦の喧騒は、どこか遠くへ行ってしまったようだった。
第十四代将軍足利義栄は世間的には密かに葬られた。
すべては久秀の策だったが、おかげで義栄は永遠に争いの外へとはじき出されたのだった。
可那はそれで良かったと思っている。
これでもう義栄の命が狙われたり、どこかへ連れ去られるというような心配はなくなるだろう。
たとえ義栄が将軍職を返上したとしても、生きている限り、利用しようとしたり、または殺そうとしたりする人間は出てくるはずだ。久秀はそこまで考えて、義栄を世間から抹殺することを考えたのだと思う。
義栄にとっても、そして可那にとっても、世間的に義栄が生きているとか死んでいるとか、そういうことはどうでも良かった。ただ彼が穏やかに日々を暮らすことが出来ることだけを望んでいた。
久秀は義栄を世間的に殺すことによって、彼を将軍位から解放し、そして足利家からも解放したのだった。
(最初は誤解していたけど……この人は本当はとても優しい人なんだ……)
可那にももうそのことは分かっていた。そして、義栄は最初からそれを分かっていたのだ。だから義栄は久秀にあっという間に心を許し、三好三人衆に最後まで怯え続けた。
(お義兄さまに比べて私は……やっぱり人を見る目がないのかな……)
可那は小さくため息をつく。
可那は一時期、三好三人衆のほうを信用し、久秀をまったく信用していなかった。
こうして思い返してみると、やはり義栄のほうが人を見る目は確かだということになるのだろう。
「やはり茶は戦のない平和な時に楽しむのが一番ですね」
久秀が濃茶を義栄に差し出しながら微笑む。
「う、うん、そうだよね。よ、良かった……無事に戦が終わって……」
久秀は義栄の言葉に、ただ微笑んだ。
義栄には外の世界のことはあまり分からないが、世間の戦がすべて終わったわけではない。むしろ、これから激しくなる様相を見せている。
ただ、それがこの信貴山にまで及ぶ可能性は少ないかもしれない。
すでに信長によってこの畿内は制圧され、他国が攻め入る余地を与えていないからだ。
けれども、畿内を取り巻く各地では、争いはさらに激しくなるだろう。
久秀も信長に臣従した以上、これからも信長に呼ばれて戦に出る機会も増えるかもしれない。いや、きっとそうなるだろう。それは義栄の安穏と引き換えに、久秀は九十九髪茄子と自身を差し出したからだ。
利に聡い信長なら、久秀の才能を酷使するだろう。
義栄に訪れた安穏に安堵する一方で、可那にはそれが不安だった。
いつかあの苛烈な信長は、久秀を酷使しすぎて、ぼろ布のようにしてしまったりしないだろうか……。
けれども、久秀は何も言わない。信長からどのような無理を言われても、可那にも義栄にも何も言わないのだった。
ただ、以前にも増して、城を留守にすることが増えた。そして、久秀が何かを考え込む時間が増えたような気がした。
「そういえば、今日は堺から仕入れてきた南蛮の干菓子もありました」
久秀が思い出したかのように、異国の珍しい柄の壷を開ける。そこから色とりどりの星のような形をした珍しい干菓子がぽろぽろと黒塗りの盆の上に零れ落ちた。
「うわぁ、き、綺麗だなぁ」
漆塗りの皿に載せられた干菓子は、何だか星のような形をした色とりどりのもので、食べるのももったいなく思えるほどに美しい。
今は織田家が目を光らせていることもあり、三好三人衆や筒井順慶を気にすることなく京や堺を往来できるので、こうした珍しい菓子も手に入れやすくなったようだ。
さっそく久秀が立てた茶とともに菓子を味わうと、何ともいえない幸せな気持ちになる。干菓子はとても甘いのだ。
「こ、このお菓子、あ、甘くて美味しいね。な、何ていうお菓子なの?」
どうやら義栄はこの菓子をとても気に入ったようだ。可那もこの不思議で可愛らしい菓子を、同じように気に入ってしまった。
「これは南蛮の金平糖という名の干菓子ですよ。砂糖を煮詰めて作ったものらしいです」
「へ、へえ、そ、そうなんだ。こ、金平糖かぁ。す、すごいね、可那」
「はい。とても甘くて可愛らしくて。何だか夢のあるお菓子ですね」
「夢のある……ですか。確かにそうかもしれません。この菓子は製造方法もよく分かっていません。独自に作らせようと思って職人にやらせてみたのですが、このような形に整える方法がまったく見つからないのです」
「そうなんだ……南蛮人に聞くわけにはいかないの?」
「向こうも商売ですからね。なかなか口が堅いのです。でも、いつか必ず作らせて見せますよ」
久秀は自信たっぷりに微笑んだ。
この信貴山城や多聞山城のような見事な城を築くかと思ったら、今度は金平糖。一体この男の頭の中はどうなっているのかと可那は思う。
(きっと欲しいものを手に入れたい……純粋にそれだけなのかも)
可那はふとそう思い、そして納得した。我ながら的を得た推測だと思う。
久秀の行動や言動を見ていると、つい複雑に考えてしまいがちだが、彼の心の中はそれほど複雑ではなく、単純で純粋なのだ。
可那と平蜘蛛を並べて評するのも、特に深い意味があるわけではなく、どちらも同じく大切なもの……という意味なのかもしれない。
ただ、その点に関しては、可那のそうであって欲しいという希望も含まれている。
(いつの間にか私……彼のことを……)
茶碗の飲み口を撫でながら、可那は思う。
可那自身は本当は所有物としてではなく、一人の女性として久秀から愛されたい。けれども、彼はそれが出来ない人だ。だったら、所有物としてでもいいから愛されたい……いつの間にか可那は久秀に対してそういう気持ちを抱いていたことに気づいた。
可那はちらりと久秀を見る。
彼は湯気を立てる平蜘蛛を眺めながら、愛おしそうに微笑んでいる。
この茶器がどれほど貴重なものなのかということの本当の価値は、可那には分からない。けれども、久秀はたとえ世間の誰が見向きをしなくても、平蜘蛛を愛し続けるのだろう。
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