年下将軍に側室として求められて

梵天丸

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side story4 ~怪我の功名~

 この物語は、本編第13話で義藤よしふじ芭乃はのをかばって負傷し、しばらく経ったある日の話――。

 はだけた背中を見ながら、芭乃は少し安堵する。
 もう矢傷はほぼふさがっており、化膿もない。
「傷跡は残りそうですが、もうほとんどふさがっていますね」
 義藤の背中の傷に触れながら、芭乃はあの日のことを思い出す。
 義藤の身体が崩れ落ちた瞬間……そして、その背に刺さった何本もの矢……。
 これまでも出陣を見送るたびに、義藤が命を落とす可能性については考え続けてきた。
 しかし、あれほど生々しくそれを感じた瞬間はなかった。
(でも、今義藤様はこうして生きている……)
 きっとこの背中の傷跡を見るたび、芭乃はあの日のことを思い出してしまうだろう。自分のために命を落としそうになった義藤のことを。
「えっと、そろそろ着物を着てもいいかな? それとも、脱いだままのほうが良いか?」
 おどけたように聞かれて、芭乃は慌てる。
「え? あ、す、すみません。寒かったですよね。すぐに……」
 着物をなおそうとして、芭乃は義藤に腕を強くつかまれた。
「よ、義藤様……?」
「脱いだままのほうが、俺にとっては都合が良さそうだ」
 そう言って笑うと、義藤は芭乃の唇を接吻で塞いだ。
「んんっ!! んっふ……んんっ……!」
 まだそういうことをするには早いだろうと芭乃は抗議しているつもりだが、唇をふさがれている状態では言葉として伝えることができない。
「ん、ううっ、んんっ、ふ……んん……っ……!!」
 しばらく芭乃は抵抗したが、義藤の手が芭乃の肌を這い回り始め、抵抗を諦めた。
 義藤が辛そうだったら途中で止めれば良いかとも思ったが、芭乃自身もどこまで理性的でいられるか分からない。
 義藤が傷を負って以来、当然のことながら芭乃にもそうした機会はなかった。
 互いにこれが、久しぶりの営みだった。
 義藤は接吻をしたまま、芭乃の肌をくすぐるように探る。
 くすぐったさに身体をよじり続けていた芭乃だったが、気がつけば息はすっかり乱れてしまっている。
「ん、ふぅっ、んっ……ぁっ、ふ……んんっ……」
 義藤の吐息も荒く乱れている。
 久しぶりの行為に対する興奮が義藤にもあるのだと思うと、芭乃は熱くなりかけている身体がさらに熱を持ち始めるのを感じた。
 義藤はようやく接吻を解くと、芭乃の濡れているであろうその場所に手を伸ばしてくる。
「あっ、んっ、義藤様……っ……!」
 久しぶりに義藤にその場所を触れられて、芭乃はびくんと身体を震わせてしまう。
 たっぷりと熱い蜜を滴らせたその場所は、早く義藤に貫いてもらいたくて疼いていた。
 しかし、やはり義藤の身体の傷が心配だ。
 義藤が動いたりして、せっかくふさがった傷が開いたりするというようなことはないだろうか……。
「あ、あの……義藤様……っ……」
「どうした? やっぱりやめようっていう意見は聞かないぞ」
「そ、そうではなく……その……き、今日は私が動きます……」
「え……」
「あ、あの……今日は芭乃が動きますから……!!」
 芭乃はもう一度そう告げると、起き上がって義藤の膝の上に身体を乗せる。
「こ、この方法なら……たぶん……義藤様の背中が痛むこともないと思いますから……」
 義藤はまだ驚いたような顔をしている。
 芭乃は顔が沸騰しそうなほどに熱くなっているのを感じていた。
 『恥ずかしい』はもう通り越していたが、義藤に負担をかけないように事を済ませるにはこうするしかない。
 座ったまま義藤と向かい合い、義藤の首に手を回して体勢を安定させる。
「…………」
 そして、芭乃は真下に目を向ける。
 義藤の逞しいものが、芭乃を待つようにそそり立っている。
 芭乃は自分のその場所も確認しながら、義藤のものに手をそえ、ゆっくりと腰を下ろしていった。
「んぁっ……あ、ぁっ、あぁぁぁっ……!」
 少しずつ、義藤のものが芭乃の身体の中に飲み込まれていく感覚……。
 これまでは義藤に貫かれるのを待っていたが、自分で貫いていくというのは初めての感覚だった。
「あ、ぁっ、はぁっ……あ、ぁ……ちゃんと……入りました……」
「ああ、入ったな……でも、芭乃……大丈夫か?」
 入れるだけで精一杯の様子の芭乃を、義藤は心配してくれているようだ。
「だ、大丈夫です……芭乃にも……ちゃんとできますから……」
 芭乃はそう告げると、思い切って腰をあげ、そして再び下ろしていく。
 義藤がしてくれる時とはまた違った快楽が、芭乃の動きを妨げようとするが、今日は自分が頑張らなくてはと自分で自分を励ましながら、芭乃は腰を上下に動かしていく。
「あ、んっ、んっ……あ、ぁっ、はぁっ……んっく……あ、ぁんっ……」
「う、ぅ……芭乃……」
 義藤も気持ち良いようだ。
 少し苦しげに息を喘がせながらも、目を閉じてうっとりと芭乃の動きがもたらす快楽に身を委ねている。
(義藤様が気持ち良くなってくれている……もっと頑張らないと……)
 芭乃は少しずつ動きを加速させていく。
 しかし、動きを加速させるということは、芭乃の快楽も大きくなってしまうということだった。
「あ、ぁんっ、ぁっ、あ、ぁっ、はぁ、ああぁっ!」
 芭乃の唇からはひっきりなしに快楽を訴える声が漏れてしまうが、今はそんなことに構っている暇はない。
 義藤を導くのは自分しかいないと、芭乃は必死になって腰を揺らし続ける。
「あ、んんっ……あ、ふ……ぁんっ、はぁっ、ぁっ、んんっ……」
 必死になって事を成し遂げようとする芭乃の頬を、義藤の手が労るように優しく撫でる。
 その優しい感触に芭乃はうっとりとしながらも、休むことなく腰を揺らしていく。
「よし……ふじ……んぁっ、あ、ぁんっ……はぁ、はぁ……っ……」
 今日はその名を呼ぶ余裕すらない。
 男と女とではその感覚は違うのかもしれないが、義藤はいつもこんなふうにしてくれていたのだと、芭乃にも少し分かった気がした。
「あ、ふ……ぁ……んっ、ふ……ひぁっ、あっ、ふ……」
 快楽がさらに大きくなってくるのを感じながらも、芭乃は義藤のために動き続ける。
(義藤様……気持ち良くなって……もっと……っ……)
 どうすれば義藤がより気持ち良くなれるだろうか……そんなことも考えながら、芭乃は身体の中を出入りする義藤を感じる。
「あ、ぁっ、ぁんっ……あ、はっ、ぁっ、あぁっ!」
 腰の力が抜けてしまいそうになりながらも、何とか体勢を保つことができているのは、義藤が芭乃の身体を支えてくれているからだった。
 それだけは義藤に甘えつつも、芭乃はさらに動きを加速させていく。
 もしかすると、芭乃自身はもう何度か達したかもしれない。
 それを自覚する余裕すら、芭乃にはなかった。
 けれども、義藤はまだ達していないということだけは分かる。
「あ、ぁっ、んぁっ、んっ、あ、ぁ……あ、はぁ……っ……」
「芭乃……」
「よし……っぁ……さま……きもち……いい、ですか?」
「ああ、すごくいいよ……」
 義藤はそう告げて、芭乃の頬に接吻する。
 唇を塞がないのは、芭乃の邪魔をしないように気遣ってくれているのだろう。
 義藤の唇が、芭乃の髪や首筋にも触れてくるのを感じながら、芭乃はさらに強く腰を揺さぶっていく。
「んぁあっ……あ、ぁっ、あ、ふ……ぁひっ、ぁっ……あぁっ……!」
 芭乃は次第に自分の限界が近づいてくるのを感じた。
 それは義藤も同じようだった。
 先ほどから芭乃の中の義藤が、びくびくと震えているのを感じる。
(動いてもらっていたときには……こんなふうになってるのに気づかなかったのに……)
 新しい発見に喜びを感じる暇もなく、芭乃は腰を上下させ続ける。
 できるだけ、義藤に気持ち良くなってもらうために、大きく強く身体を動かしていく。
「あ、んふぁっ、ああぁっ、よ、よし……さ、あ、ぁ……!!」
「……っく、芭乃……出すぞ……!」
「ああっ、ああぁっ……あっ、あっ、ああぁっ!!」
 とうとう堪えきれずに芭乃が達するのとほぼ同時に、義藤も限界を迎えたようだった。
 芭乃の身体の中に、義藤の放った熱いものが勢いよく流れ込んでくるのを感じる。
「はぁ、はぁ……っ……あ、ぁ……はぁ、はぁ……っ……」
「大丈夫か、芭乃……?」
「は、はい……はぁ、はぁ……だ、大丈夫……はぁ……です……」
「まったく大丈夫じゃなさそうだな……」
 義藤は笑って、いつも以上に消耗してしまった芭乃の髪や頬をいたわるように撫でてくれる。
「ありがとう……すごく良かったよ……それに、すごく嬉しかった……」
「そ、そうですか……はぁ、はぁ……それなら……はぁ……良かった……はぁ、はぁ……です……」
 言葉を話すのも大変なぐらいに、芭乃の息は乱れてしまっている。
 けれども、義藤が喜んでくれたのなら、大変だったけど良かったと思えた。
(義藤様が気持ち良くなってくれるのが、こんなに嬉しいなんて。やっぱり私……義藤様のことが好きなんだ……)
 芭乃は改めてそのことを感じた。
 口に出して告げるのは、まだ少しためらわれてしまうけれども……。
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