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epilogo
終幕※
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「良い子にしてたかい。俺のツバメちゃん」
「ああっ」
ベッドの上の恋人に優しく語りかけ、艶やかな黒髪を撫でる。
フェルドは器具で自分を慰めるのをやめ、潤んだ瞳で俺を睨みつけてきた。
「……っ、入ってくるなら、ノックをしろ……っ」
「お前が夢中になって気付いてなかっただけじゃねぇかい?」
まあ、実際しなかったんだけどな。ノック。
真っ赤なフェルドが可愛いし、言わねぇでおくけど。
「む……夢中になどなっていない! こ、これはあくまで治療行為だッ!」
「へいへい。そうデシタネー」
「聞いているのか!?」
服を脱ぎつつ、フェルドの抗議を聞き流す。
実際、フェルドが使ってるのは快楽中毒を治すための器具ではある。魔力で動く器具で、中で震えたり伸縮したりする……まあ、言ってしまえば張形だ。本来はクスリを入れて気持ちよくなるためのブツらしいが、今入れてる薬は、医者に頼んで調合したちゃんとしたモンを使ってる。
「魔力、欲しいかい?」
「……君が、『手を出したい』の間違いじゃないのか」
「俺は手を出したい。お前は魔力が欲しい。……イイね。相性抜群だ」
「……調子のいい男だ。まったく」
普段は安静にさせて、時々薬飲ませるなり器具使わせるなりセックスするなりで、快楽中毒の方も、ぶっ壊れた肺の方もゆっくり治療中だ。
大親分はわざわざ地中海沿岸の、空気が良い場所を療養所に用意してくれた。……ま、ウチの組にとってはかなり有益な「客人」だ。丁重にもてなさなきゃならねぇ。
そんな重要人物を連れてきた功績で、俺は「調査員」から「世話係」に格上げになった。厳密には格上げなのかどうかはよく知らねぇが、少なくとも俺としちゃ役得だ。
「あ、ぁあっ、じゃぐ、あーろっ」
「……っ、美味しそうに仕上がったな。フェルド……」
ベッドの上のフェルドにキスをし、トロトロになった蜜壷を指でかき回す。そのまま覆いかぶさり、胸の紋章を撫でた。
甘い吐息が漏れ、互いの熱が高まっていく。
海の向こうのトスカーナ王国侯爵領アリネーラでは、三男のフィリポが跡を継いで領主になったらしい。見せてもらったフェルドへの手紙には、「こちらのことは気にせず、療養に専念して欲しい」と殊勝なことが書かれていた。ちなみに長男の方……フェデリコの手紙は、定期的に俺の方に届く。大半が俺とフェルディナンドの仲についての詮索で、三割くらいが趣味に関する語りだ。肺の静脈がどうとか、卵巣の形状がどうとか、聞いてねぇし知らねぇよ……。
まあ、それはそうとして、二人とも案外チョロ……じゃねぇ。情に脆そうなところがある。このままダリネーラとの繋がりを維持できりゃ、組にとっても得になるだろう。
……つまり、ビアッツィの中にゃ、俺らの関係に水を差す奴らはいねぇってことだ。
「フェルド……愛してる」
「ンッ……あぁっ、入って……っ」
指を引き抜いて、喉元にキスを落とす。
俺が中に入ると、フェルドは縋り付くよう俺の背に手を回した。
「ぅ、ぁあっ、あぁあっ」
「……ッ、好きだ、フェルド……! 好きだっ!!」
めいっぱい愛を囁きながら、腰を打ち付ける。解れた中から蜜が溢れて、より深く、より近くまで繋がれるようになる。
「んぁっ、ジャグ……あっ、ロ……っ、イク……も、イク……ッ」
きゅうきゅうと締め付けてくる秘所が愛しくて、律動も自然と速くなった。
「や、ぁっ、アッ、は……っ、う、あぁあぁあっ!」
「……! イッたか。イッたよなぁ? 俺に抱かれて……っ、イッたんだよなっ!」
中に精を注ぎ、喘ぎを漏らす唇に口付ける。
月の紋章を優しく撫で上げれば、フェルドは蕩けた表情で俺を見上げ、自分の手を俺の手に重ねた。
「今はゆっくり休めよ。軍に戻るか、それとも俺らの同胞になるか……そんなのは、後で考えりゃいい」
「……ああ……」
医者の話によると、フェルドの身体はゆっくりとはいえ、確実に良くなっているらしい。
喧嘩をすることもまあ……それなりにあるが、この生活が少しでも長く続くのなら、他に何も望むことはねぇ。
「ジャグアーロ」
……と、腕の中のフェルドが俺の名前を呼ぶ。
「うん? 何だい、アモーレ」
髪を撫でながら顔を覗き込むと、真っ赤になって黙っちまった。
「……。……いいや、やっぱり、なんでもない」
「何だよそれ。気になるだろ」
深く突っ込むと、正拳突きが胸のド真ん中に飛んでくる。
「うるさい。僕に構うな」
「~~~~、……ッてぇー!!? なんで殴るんだよ!?」
さすがにこの流れは理不尽じゃねぇ!?
俺、なんか悪いことしたか!?
「君はずるい! すぐに愛してるだの好きだの、よくも簡単にペラペラと……!」
「なるほどな……つまりは『僕もそれくらいたくさん好きって言いたい』って……あいてててて絞め技はやめろって! 病人だよなお前……!?」
「……ッ、人の! 心を! 勝手に読むな……ッ」
ったく……。相変わらず、素直じゃねぇところはとことん素直じゃねぇな、こいつ!
……ま、いいや。可愛いから許す!
***
In seguito, la famiglia Biazzi "di qua" fu insignita del titolo di conti per i servizi resi nella guerra d'indipendenza siciliana...
(その後、『こちらの世界の』ビアッツィ家はシチリア独立戦争での功績を称えられ、伯爵の地位を得ることとなった……)
「ああっ」
ベッドの上の恋人に優しく語りかけ、艶やかな黒髪を撫でる。
フェルドは器具で自分を慰めるのをやめ、潤んだ瞳で俺を睨みつけてきた。
「……っ、入ってくるなら、ノックをしろ……っ」
「お前が夢中になって気付いてなかっただけじゃねぇかい?」
まあ、実際しなかったんだけどな。ノック。
真っ赤なフェルドが可愛いし、言わねぇでおくけど。
「む……夢中になどなっていない! こ、これはあくまで治療行為だッ!」
「へいへい。そうデシタネー」
「聞いているのか!?」
服を脱ぎつつ、フェルドの抗議を聞き流す。
実際、フェルドが使ってるのは快楽中毒を治すための器具ではある。魔力で動く器具で、中で震えたり伸縮したりする……まあ、言ってしまえば張形だ。本来はクスリを入れて気持ちよくなるためのブツらしいが、今入れてる薬は、医者に頼んで調合したちゃんとしたモンを使ってる。
「魔力、欲しいかい?」
「……君が、『手を出したい』の間違いじゃないのか」
「俺は手を出したい。お前は魔力が欲しい。……イイね。相性抜群だ」
「……調子のいい男だ。まったく」
普段は安静にさせて、時々薬飲ませるなり器具使わせるなりセックスするなりで、快楽中毒の方も、ぶっ壊れた肺の方もゆっくり治療中だ。
大親分はわざわざ地中海沿岸の、空気が良い場所を療養所に用意してくれた。……ま、ウチの組にとってはかなり有益な「客人」だ。丁重にもてなさなきゃならねぇ。
そんな重要人物を連れてきた功績で、俺は「調査員」から「世話係」に格上げになった。厳密には格上げなのかどうかはよく知らねぇが、少なくとも俺としちゃ役得だ。
「あ、ぁあっ、じゃぐ、あーろっ」
「……っ、美味しそうに仕上がったな。フェルド……」
ベッドの上のフェルドにキスをし、トロトロになった蜜壷を指でかき回す。そのまま覆いかぶさり、胸の紋章を撫でた。
甘い吐息が漏れ、互いの熱が高まっていく。
海の向こうのトスカーナ王国侯爵領アリネーラでは、三男のフィリポが跡を継いで領主になったらしい。見せてもらったフェルドへの手紙には、「こちらのことは気にせず、療養に専念して欲しい」と殊勝なことが書かれていた。ちなみに長男の方……フェデリコの手紙は、定期的に俺の方に届く。大半が俺とフェルディナンドの仲についての詮索で、三割くらいが趣味に関する語りだ。肺の静脈がどうとか、卵巣の形状がどうとか、聞いてねぇし知らねぇよ……。
まあ、それはそうとして、二人とも案外チョロ……じゃねぇ。情に脆そうなところがある。このままダリネーラとの繋がりを維持できりゃ、組にとっても得になるだろう。
……つまり、ビアッツィの中にゃ、俺らの関係に水を差す奴らはいねぇってことだ。
「フェルド……愛してる」
「ンッ……あぁっ、入って……っ」
指を引き抜いて、喉元にキスを落とす。
俺が中に入ると、フェルドは縋り付くよう俺の背に手を回した。
「ぅ、ぁあっ、あぁあっ」
「……ッ、好きだ、フェルド……! 好きだっ!!」
めいっぱい愛を囁きながら、腰を打ち付ける。解れた中から蜜が溢れて、より深く、より近くまで繋がれるようになる。
「んぁっ、ジャグ……あっ、ロ……っ、イク……も、イク……ッ」
きゅうきゅうと締め付けてくる秘所が愛しくて、律動も自然と速くなった。
「や、ぁっ、アッ、は……っ、う、あぁあぁあっ!」
「……! イッたか。イッたよなぁ? 俺に抱かれて……っ、イッたんだよなっ!」
中に精を注ぎ、喘ぎを漏らす唇に口付ける。
月の紋章を優しく撫で上げれば、フェルドは蕩けた表情で俺を見上げ、自分の手を俺の手に重ねた。
「今はゆっくり休めよ。軍に戻るか、それとも俺らの同胞になるか……そんなのは、後で考えりゃいい」
「……ああ……」
医者の話によると、フェルドの身体はゆっくりとはいえ、確実に良くなっているらしい。
喧嘩をすることもまあ……それなりにあるが、この生活が少しでも長く続くのなら、他に何も望むことはねぇ。
「ジャグアーロ」
……と、腕の中のフェルドが俺の名前を呼ぶ。
「うん? 何だい、アモーレ」
髪を撫でながら顔を覗き込むと、真っ赤になって黙っちまった。
「……。……いいや、やっぱり、なんでもない」
「何だよそれ。気になるだろ」
深く突っ込むと、正拳突きが胸のド真ん中に飛んでくる。
「うるさい。僕に構うな」
「~~~~、……ッてぇー!!? なんで殴るんだよ!?」
さすがにこの流れは理不尽じゃねぇ!?
俺、なんか悪いことしたか!?
「君はずるい! すぐに愛してるだの好きだの、よくも簡単にペラペラと……!」
「なるほどな……つまりは『僕もそれくらいたくさん好きって言いたい』って……あいてててて絞め技はやめろって! 病人だよなお前……!?」
「……ッ、人の! 心を! 勝手に読むな……ッ」
ったく……。相変わらず、素直じゃねぇところはとことん素直じゃねぇな、こいつ!
……ま、いいや。可愛いから許す!
***
In seguito, la famiglia Biazzi "di qua" fu insignita del titolo di conti per i servizi resi nella guerra d'indipendenza siciliana...
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