【完結済】レディ・ナイトメアの奮闘 ~生首大好き令嬢に転生してしまったけど救いのない世界は嫌なので、呪われた館をリフォームします~

譚月遊生季

文字の大きさ
52 / 83

49.「変態でも貴公子は貴公子」

しおりを挟む
「血塗れ貴公子」ことアルバート・ジャック。
 生前の犯行理由は身勝手極まりなく、罪悪感や贖罪しょくざいの意識は微塵みじんも感じられない。
「怪異」と化してなお、どうしようもなく尖った性的嗜好を隠しもしない上、あわよくば満たそうとしてくる……要するに、鬼畜なド変態だ。
 
 なるべく触れたくない相手ではあるけど、いずれ、わたしは彼とも向き合わなきゃいけない。……それは、分かってるんだけど……。

「生かしておけない……か。具体的に、何をしてくれるんだい?」
「飛びかかって首の骨を折るッ!!!」
「はぁ……ダメだね。全然ダメだ。即死攻撃じゃ苦痛が足りない」
「嫌がるなら尚更殺らなきゃだね!! 覚悟しな……あっ狙いズレた」
「ああっ、背骨はイイ……っ!」
「ヤバっ! 気持ち良くさせちゃった!!」

 ……え? この変態と向き合わなきゃいけないの? マジ?
 このまま永遠にリナとたわむれさせておくのじゃダメかな?

「さぁ……もっと痛みを……僕に苦痛を味合わせてくれ……!」

 リナに蹴り飛ばされて床に這いつくばり、恍惚こうこつとした表情のアルバート。
 
「あの騎士くんはこんなものじゃなかったよ、さあ……!」
「よーしそこで首を洗って待ってなぁ!!」

 アルバートの挑発にテンションを上げたのか、リナは相変わらずのブリッジ走りでカサカサと移動する。
 急速に近づかれたことで、エドマンドの隣のレイラがびくっと肩を震わせておろおろと狼狽うろたえ始めた。
 何? 何が始まったの?

「エドっさん! アタシ、今日から弟子入りするけど良い!?」

 本当に何が始まったの。っていうか何を始める気なの?

「……復讐か」
「そう! 復讐!!」

 そうだねペット(?)の復讐だからね。何も間違ってないね。
 ……って、ちょっと待った!

「リナ、変なスイッチを入れないでくださる!?」

 元気がなくて心配とはいえ、せっかく落ち着いてるんだから、めんどくさい方向に持ってかれちゃたまったもんじゃない!! 

「……えっと……」

 と、そこで、レイラが口を開いた。
 あれ? 声が聞き取れる? ……と、思ったら、ニコラスが天井からマイクを吊っていた。
 いつの間に? やるじゃんニコラス……。

「その……わざわざ喜ばせてどうするの……?」
「あ、ホントじゃん。ごめんエドっさん! やっぱナシ!!」

 レイラの指摘に、リナはあっさりと納得して引き下がる。
 エドマンドも元気が出ないのか、血の涙をちょろちょろ流すだけで済んだ。やっぱり凹ませといて良かったかもしれない。いつもなら「リナの代わりに俺がやる」とばかりにアルバートに突っかかってたと思うし……
 
「承知……。宿命を背負い、業火にかれることはない……」
「なんて?」
「た、たぶん……『復讐という業に苦しむのは自分だけでいい』とか、そういう感じ……?」

 レイラちゃんがエドマンド語を翻訳できるのは、やっぱり兄妹だからなんだろうなあ。

「……その気高い志は、僕には理解できないよ」

 それはそうと、アルバートにも伝わってるっぽいのはなんでだろう。

「君はいつも憎悪のままに僕を切り刻み、僕からも苦痛と屈辱を与えられる。……僕はそれが楽しくて愉しくて仕方がないのに……君は、良しとしていないのだろうね……」

 折れた背骨が繋がったのか、ゆらりと立ち上がるアルバート。
 黙って成り行きを見守っていたゴードンが、耐えきれずに突っ込んだ。
 
「いや、当たり前だろ」
「ゴードン。君には聞いていないよ」

 にっこりと微笑むアルバートの額には、くっきりと青筋が浮かんでいる。

「君はいつもそうだ。ことわりから逃れられないくせをして、理に従うこともできない。お姫様プリンセスを救う英雄ヒーローになれず、悪党ヒールとしての在り方を貫くこともできない。どこまでも中途半端な凡人だ」
「……ッ」

 痛いところを突かれたのか、ゴードンがぐっと押し黙る。
 ……そうだよね。アルバートって、賢いし観察力もあるよね。だから、エドマンドの言葉も理解できる、のかな。

 じゃあどうして、わたしの時は違うの?
 ……それとも。

 ──僕と彼女は同質の存在だ。同質の欲望を抱えた僕には、彼女の痛みと孤独が理解できる! 
 
 わたしが、の……?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

モブ令嬢アレハンドリナの謀略

青杜六九
恋愛
転生モブ令嬢アレハンドリナは、王子セレドニオの婚約者ビビアナと、彼女をひそかに思う侯爵令息ルカのじれじれな恋を観察するのが日課だった。いつまで経っても決定打にかける二人に業を煮やし、セレドニオが男色家だと噂を流すべく、幼馴染の美少年イルデフォンソをけしかけたのだが……。 令嬢らしからぬ主人公が、乙女ゲームの傍観者を気取っていたところ、なぜか巻き込まれていくお話です。主人公の独白が主です。「悪役令嬢ビビアナの恋」と同じキャラクターが出てきますが、読んでいなくても全く問題はありません。あらすじはアレですが、BL要素はありません。 アレハンドリナ編のヤンデレの病み具合は弱めです。 イルデフォンソ編は腹黒です。病んでます。 2018.3.26 一旦完結しました。 2019.8.15 その後の話を執筆中ですが、別タイトルとするため、こちらは完結処理しました。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

幽霊じゃありません!足だってありますから‼

かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。 断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど ※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ ※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。

悪役令嬢はやめて、侯爵子息になります

立風花
恋愛
第八回 アイリス恋愛ファンタジー大賞 一次選考通過作品に入りました!  完結しました。ありがとうございます  シナリオが進む事のなくなった世界。誰も知らないゲーム後の世界が動き出す。  大崩落、王城陥落。聖女と祈り。シナリオ分岐の真実。 激動する王国で、想い合うノエルとアレックス王子。  大切な人の迷いと大きな決断を迫られる最終章! ーあらすじー  8歳のお誕生日を前に、秘密の場所で小さな出逢いを迎えたキャロル。秘密を約束して別れた直後、頭部に怪我をしてしまう。  巡る記憶は遠い遠い過去。生まれる前の自分。  そして、知る自分がゲームの悪役令嬢であること。  戸惑いの中、最悪の結末を回避するために、今度こそ後悔なく幸せになる道を探しはじめる。  子息になった悪役令嬢の成長と繋がる絆、戸惑う恋。 侯爵子息になって、ゲームのシナリオ通りにはさせません!<序章 侯爵子息になります!編> 子息になったキャロルの前に現れる攻略対象。育つ友情、恋に揺れる気持<二章 大切な人!社交デビュー編> 学園入学でゲームの世界へ。ヒロイン登場。シナリオの変化。絆は波乱を迎える「転」章<三章 恋する学園編> ※複数投稿サイト、またはブログに同じ作品を掲載しております

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?

ぽんぽこ狸
恋愛
 仕事帰りのある日、居眠り運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった主人公。次に目を覚ますとなにやら暗くジメジメした場所で、自分に仕えているというヴィンスという男の子と二人きり。  彼から話を聞いているうちに、なぜかその話に既視感を覚えて、確認すると昔読んだことのある児童向けの小説『ララの魔法書!』の世界だった。  その中でも悪役令嬢である、クラリスにどうやら成り代わってしまったらしい。  混乱しつつも話をきていくとすでに原作はクラリスが幽閉されることによって終結しているようで愕然としているさなか、クラリスを見限り原作の主人公であるララとくっついた王子ローレンスが、訪ねてきて━━━━?!    原作のさらに奥深くで動いていた思惑、魔法玉(まほうぎょく)の謎、そして原作の男主人公だった完璧な王子様の本性。そのどれもに翻弄されながら、なんとか生きる一手を見出す、学園ファンタジー!  ローレンスの性格が割とやばめですが、それ以外にもダークな要素強めな主人公と恋愛?をする、キャラが二人ほど、登場します。世界観が殺伐としているので重い描写も多いです。読者さまが色々な意味でドキドキしてくれるような作品を目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。  完結しました!最後の一章分は遂行していた分がたまっていたのと、話が込み合っているので一気に二十万文字ぐらい上げました。きちんと納得できる結末にできたと思います。ありがとうございました。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

処理中です...