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日本防衛編
不気味な気配
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ランキング戦開始まで一週も無くなった。残りの日数は調整、最高のコンディションで挑む為に大事な期間だ。神木蓮も八重筒も火祭陸もそれぞれの部門での戦い方も身につき始めていた。
「右!左!そうだいいぞ蓮!あと隙を与えるな!」
足、手、胴、頭!流れる様に木刀を振るう。その度にカァン!と甲高い音で弾かれる。
連打は止められる。だったら1発デカいのを叩き込む!連打の末、木刀は上段にあった。足の親指を軸に身体を回転させる様に力を込め、左下へ振り下ろす。
「ウォラァ!」
「いい連携だ。」
当たったと思った。が、八重筒の重心は右にある。
「だが、溜めが長い!!」
ブォンと木刀が空を掠める音がする。すでに屈みながら視界の下にいる八重筒は、立ち上がる流れで俺の腹に鈍痛を与える。
「なかなかいい線いってるよ。俺でなかったら食らってる。」
「あ、りがとよ…」
俺も確かに強くなってるはずだ。それなのに、八重筒には底が見えない。
「まぁ、ちっちゃい頃からこんなのやってるからな。経験の差。蓮も何年も続けたら俺の次には強くなれるよ。」
「追いつかせないってか?…ぜってぇ追いついてやる。」
やってみろよ、と座り込む俺に手を出してくる。武術が好きなのだろう。本当に楽しそうに笑ってる。
「2人ともお疲れ様。はいこれドリンク。」
「ありがとうリク」
リクは二週前くらいから、体術訓練は減り葉子隊長と能力の訓練に入っている。『どうせなら強くなったとこをおどろいてもらいたい』からと別に訓練している俺達だが、なんかこう、リクのオーラというか、前は怖気とまではいかないがオドオドした雰囲気から自信がある様にかわった。
「お前も頑張ったんだな。」
思い出したのは、第四小隊所属直後の洗礼…歓迎を再び体験してるのだろう。
「…ボクは、絶対に勝ってこの隊から逃げる。」
男は鋭い眼光だった。
「そういえばこれ貰ってきたんだ。」
リクの持っている紙にはトーナメント表と書かれていた。運命を決める大事な組み合わせに俺たちは目を奪われる。
「俺は、と。まぁ問題ないかな。蓮とリクはどうだ?」
八重筒は強い。武器部門でどんな相手だろうと勝てるはずだ。
「蓮?どうなんだ?」
テスト返却後に点数を聞いてくるヤツのようにゆっくりと俺の視線の先、俺のトーナメント表を見てくる。
「オーマイガッ」
悔しがるオーバーリアクションを見せると、リクは不思議そうに訳を聞いてきた。
「俺のブロック2回戦以降第二小隊の先輩方じゃねぇか!!!」
終わった。俺もある程度は鍛えたんだ。でも、あくまで能力無しで人間と戦って勝てる程度。第二小隊とはお話にならないのだ。
思い出される入隊直後の地獄。空回りする拳、倒れないバケモノ、タックルしてくるバケモノ、蹴ってくれとせがむバケモノ…
「負ければ第四小隊、勝てない現実。」
八方塞がり…
「そ、それで。リクはどうだ、初戦は勝てそうか?」
「ボクの初戦は…長瀬薫だ。」
俺達の間に緊張が走る。長瀬とは険悪だからだ。それに前回対面した時、俺は最悪な倒し方をした。
そんな奴が俺たちと戦うとなれば、どんな手を使うか想像もつかない…
「お前だって強くなってる。なんかあったら火だるまにしてやりゃいいんだよ!」
ドン、とリクの背中を押す。少しでも気合が入ればいいのだが…
「ッ!そうだね…!」
残り6日、万全な状態で戦えるようにしよう。
──
「さてさて…例のプラントはどうしてるかな?」
コツコツと、靴を鳴らし堂々と施設を歩く女がいた。人類最強とも謳われる天竹紫苑だ。すでにこの施設に敵勢力が侵入していたのには気付いているが、それは彼女だけが知っている。それは最強故の驕りなのか。
「(この戦況、人間は毎回後手になる。そしてその度に戦力を失いつつある。いつこの均衡が破れるかは分からない。)」
施設を探知し、侵入までしてくる輩は今まで相手にしてきている雑兵とは比べ物にならない程の力、地位を持つモノなのであろうと予測を立てた。
捕獲は容易だが、敢えて逃す。過去にその手のものが自害をした経験だ。生かしつつ、相手の行動を分析することが戦況を変えると判断した。
「(世界的に見て、プラントのレベルが低い日本で施設に侵入してくるヤツだ。恐らく、神の子と直接繋がっている可能性が高い。)」
一つ、監視カメラのない区画がある。そこに到着すると徐に壁に手をつけた。一息吸い込み集中する。
「見つけた。これは…長瀬薫か?確か蓮くんをいじめた奴だったか。どうして彼が取り憑かれているんだ?」
「そういや侵入直前に蓮くんと試合して医務室に居たのか。因縁…か?」
ここ最近、プラントの活動は活発だ。神の子ノアとの戦闘もある。どれも彼が関わる。
「やっぱり、蓮くんに何かあるのかねぇ~」
一先ず結論を出して、帰ることにした。
「ま、私が居れば最悪の結末は起こらないからいいか。でも長瀬薫と蓮くんの接触だけは警戒しとこ。」
最強故の楽観視、そうでなければ強くはなれないのか。前後は不明だ。
しかし、この楽観主義が後に神木蓮の人生を大きく変えてしまう事に彼女は気づけるはずがなかった。
「右!左!そうだいいぞ蓮!あと隙を与えるな!」
足、手、胴、頭!流れる様に木刀を振るう。その度にカァン!と甲高い音で弾かれる。
連打は止められる。だったら1発デカいのを叩き込む!連打の末、木刀は上段にあった。足の親指を軸に身体を回転させる様に力を込め、左下へ振り下ろす。
「ウォラァ!」
「いい連携だ。」
当たったと思った。が、八重筒の重心は右にある。
「だが、溜めが長い!!」
ブォンと木刀が空を掠める音がする。すでに屈みながら視界の下にいる八重筒は、立ち上がる流れで俺の腹に鈍痛を与える。
「なかなかいい線いってるよ。俺でなかったら食らってる。」
「あ、りがとよ…」
俺も確かに強くなってるはずだ。それなのに、八重筒には底が見えない。
「まぁ、ちっちゃい頃からこんなのやってるからな。経験の差。蓮も何年も続けたら俺の次には強くなれるよ。」
「追いつかせないってか?…ぜってぇ追いついてやる。」
やってみろよ、と座り込む俺に手を出してくる。武術が好きなのだろう。本当に楽しそうに笑ってる。
「2人ともお疲れ様。はいこれドリンク。」
「ありがとうリク」
リクは二週前くらいから、体術訓練は減り葉子隊長と能力の訓練に入っている。『どうせなら強くなったとこをおどろいてもらいたい』からと別に訓練している俺達だが、なんかこう、リクのオーラというか、前は怖気とまではいかないがオドオドした雰囲気から自信がある様にかわった。
「お前も頑張ったんだな。」
思い出したのは、第四小隊所属直後の洗礼…歓迎を再び体験してるのだろう。
「…ボクは、絶対に勝ってこの隊から逃げる。」
男は鋭い眼光だった。
「そういえばこれ貰ってきたんだ。」
リクの持っている紙にはトーナメント表と書かれていた。運命を決める大事な組み合わせに俺たちは目を奪われる。
「俺は、と。まぁ問題ないかな。蓮とリクはどうだ?」
八重筒は強い。武器部門でどんな相手だろうと勝てるはずだ。
「蓮?どうなんだ?」
テスト返却後に点数を聞いてくるヤツのようにゆっくりと俺の視線の先、俺のトーナメント表を見てくる。
「オーマイガッ」
悔しがるオーバーリアクションを見せると、リクは不思議そうに訳を聞いてきた。
「俺のブロック2回戦以降第二小隊の先輩方じゃねぇか!!!」
終わった。俺もある程度は鍛えたんだ。でも、あくまで能力無しで人間と戦って勝てる程度。第二小隊とはお話にならないのだ。
思い出される入隊直後の地獄。空回りする拳、倒れないバケモノ、タックルしてくるバケモノ、蹴ってくれとせがむバケモノ…
「負ければ第四小隊、勝てない現実。」
八方塞がり…
「そ、それで。リクはどうだ、初戦は勝てそうか?」
「ボクの初戦は…長瀬薫だ。」
俺達の間に緊張が走る。長瀬とは険悪だからだ。それに前回対面した時、俺は最悪な倒し方をした。
そんな奴が俺たちと戦うとなれば、どんな手を使うか想像もつかない…
「お前だって強くなってる。なんかあったら火だるまにしてやりゃいいんだよ!」
ドン、とリクの背中を押す。少しでも気合が入ればいいのだが…
「ッ!そうだね…!」
残り6日、万全な状態で戦えるようにしよう。
──
「さてさて…例のプラントはどうしてるかな?」
コツコツと、靴を鳴らし堂々と施設を歩く女がいた。人類最強とも謳われる天竹紫苑だ。すでにこの施設に敵勢力が侵入していたのには気付いているが、それは彼女だけが知っている。それは最強故の驕りなのか。
「(この戦況、人間は毎回後手になる。そしてその度に戦力を失いつつある。いつこの均衡が破れるかは分からない。)」
施設を探知し、侵入までしてくる輩は今まで相手にしてきている雑兵とは比べ物にならない程の力、地位を持つモノなのであろうと予測を立てた。
捕獲は容易だが、敢えて逃す。過去にその手のものが自害をした経験だ。生かしつつ、相手の行動を分析することが戦況を変えると判断した。
「(世界的に見て、プラントのレベルが低い日本で施設に侵入してくるヤツだ。恐らく、神の子と直接繋がっている可能性が高い。)」
一つ、監視カメラのない区画がある。そこに到着すると徐に壁に手をつけた。一息吸い込み集中する。
「見つけた。これは…長瀬薫か?確か蓮くんをいじめた奴だったか。どうして彼が取り憑かれているんだ?」
「そういや侵入直前に蓮くんと試合して医務室に居たのか。因縁…か?」
ここ最近、プラントの活動は活発だ。神の子ノアとの戦闘もある。どれも彼が関わる。
「やっぱり、蓮くんに何かあるのかねぇ~」
一先ず結論を出して、帰ることにした。
「ま、私が居れば最悪の結末は起こらないからいいか。でも長瀬薫と蓮くんの接触だけは警戒しとこ。」
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