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人間たちに狙われ、魔王に助けられる勇者
7、清々しい目覚めは、目の前に裸の魔王
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昨日は色々ありすぎて、心も体も疲れきっていた。
①まず死んでしまった。毎日通っていた予備校の帰り道、たまたま自分が通りかかった時に工事現場の足場が崩れて下敷きになってしまった。
悲しいけれど人はいつか必ず死ぬものである。だから悲しいし、心残りも多々あるけれど、受け入れることができた。
②神様に目をつけられて異世界に勇者として転生召喚させられることになった。
偶然だったらしい。異世界で勇者召喚の儀が行われ、神様が死んだ直後の人間がいないか探していて、ちょうどよく死んだばかりの私が目に留まったと。
勇者になるのは性別は関係なく、魔王を倒せるくらい強いチート能力を授けるといわれたけれど断った。自分自身が平和主義であるのと、美味い話過ぎる気がしたから。
だから代わりに強い仲間が欲しいとお願いした。
③勇者として転生召喚された瞬間、王様たちに取り押さえられて、どこの何様、横暴状態。
後で聞けば、召喚した勇者を強制的に従わせるために、『拘束の冠』とかいう道具を私に使おうとしていたというのだから腹立たしい。
④私の窮地を助けてくれたのが神様にお願いしていた仲間ことラウレスだった。この世界で一番強いらしく、王様や兵士たちを赤子の手をひねるかのように簡単に蹴散らし、救い出してくれた。
しかもテレビや雑誌、インスタでも見れないような超絶イケメン。お姫様だっこで救い出されたなんて今でも信じられない。
⑤ラウレス=魔王本人だった。
勇者は魔王を倒すために召喚されるのに、魔王が仲間とはこれいかに?
もう乾いた笑いすら出てこない。
目立つことがなく地味に生きてきた人生だった。その人生で一度あるかないかの出来事が一日に全部詰め込まれた気がする。
昨日までは大学浪人一年目の予備校通いが、次の日には死んで異世界に勇者召喚されたあげくに傀儡人形にされかかったのだ。
「……ん、様?ご主人様?大丈夫ですか?」
「う~~、ん、う~ん~~……」
「ご主人様」
とても心配した低くい声は耳に心地よく、頬を撫を優しく撫でられる感触に、意識が急激に浮上していく。暗闇の中を全力で入り、何かに追われているような、逃げても逃げても追いかけてくる闇が、突然の終わりを告げた。
「はっ……、あ………れ……?」
パチリと開いた目の前には厚くて広い胸板。両手を背中に回しても、指が届かないんじゃないだろうか。それくらい厚くて広くて筋肉に覆われつつ引き締まった体は、贅肉なんてものは微塵も見当たらない。まさに彫刻と言っていい肉体美。ああ、羨ましい。
しかも暖かくてすべすべで、ずっとこのまま抱きついていたい。ずっと頬を撫でていてほしい。
いや、だめでしょ。
男の人の胸に抱きつくなんて痴女か
おそるおそる視線を上げれば、私に腕まくらをしてくれて、さっきまで優しく頬を撫でていたのは、心配そうに見つめてくるラウレスだった。視力が悪く眼鏡をしていないと黒板の字もまともに読めなかった私の目でも、これだけ至近距離であれば認識できる。
しかも上半身裸。下半身は怖くてまだ確認していないけれど、お願いだからズボンを履いていてくれと切に願う。
「お目覚めですか?だいぶ魘されていらっしゃいました」
そういえば何か怖い夢を見ていた気がするけれど、目覚めの一発目に見た光景が衝撃過ぎて、どんな夢を見ていたかもう思い出せない。
夢よりも現実を見なければ。そして、ラウレスの体に回してしがみついていた腕を、そっと離す。
ここ、私のベッドよね?
夢にうなされたとか、寝ぼけてラウレスのベッドに潜り込んだわけじゃないわよね?
「ラウレス?ど、どうして隣で寝て?」
務めて冷静に問う。少なくとも、昨夜、疲れ切って私がベッドに潜ったときは一人だった。かなり大きいベッドなので4人くらい並んで寝ても余裕そうではある。安いマットレスを敷いたシングルベッドしか寝た経験のない私にとって、初めて寝る超キングサイズのベッド。
シーツから枕、そして布団まで、絶対お高いのだろう寝具でフルメイクされたベッドは、外見に違わず寝心地は最高だった。
そしてそんなベッドで寝られるなんて、正に夢のようだった。
しかし、付き合ってもいない、昨日会ったばかりの男性と必要に迫られたわけでもないのに同衾するほど、遊び慣れてはいない。
むしろ自分はお付き合いの経験ゼロの奥手な方だ。小学校のころ、同じクラスに好きな男の子がいても、用意したチョコレートは結局渡せなかった。
「申し訳ありません。夜にご主人様のご様子を伺ったところ、寒そうにしていらっしゃったので温めてさしあげたいと思い、恐れ多いことではありますがお傍に」
「寒そうって……」
こんな贅が尽くされた寝具で寝て起きながら、寒そうにしていたということは、まさか寝相が悪くて布団を蹴飛ばしていたんだろうか。
その流れで、私の様子を見に来たラウレスが、布団をかぶっていないから寒くなって丸まっている私を見つけ、布団を蹴飛ばさないように私を抱き寄せて、隣で寝ていたというオチだろうか。
そんな寝相の悪さを見られた恥ずかしさはあれど、隣で寝られるくらいなら布団をかけるだけどか、なんなら放置してほしかった。
なんとなくだが、ラウレスの視線は泳いでおり、謝りつつも言葉を慎重に選んでいる気配がある。気を使われてしまっているのが申し訳ない。でもそこでこちらが謝ったら、逆にラウレスは恐縮してしまう気もして、
「ありがとうございます。でももう起きたから大丈夫です。着替えたいし、ちょっと部屋から出て行ってもらってもいいですか?」
何でもないふりをしつつ、心臓はばくばく高鳴ってる。男の人の裸にしがみつくことも、こんな至近距離で見たのも初めてで、むしろ驚きすぎて悲鳴の一つ上げれなかったというのが率直な本音なのだから。
「わかりました。では私はお着換えをお手伝い」
「結構です。着替えは一人でします。一人で出来ます。お願いですから、一人で着替えさせてください」
即答でご遠慮した。
何を言うかと思えば、部屋から出ていくどころか手伝うとか言い始めたラウレスに、断固と拒絶する。中世では着替えるのが大変だったから、お手伝いさんや使用人の人が貴婦人の着替えを手伝う文化があったのは知っている。
しかし、自分は着替えの手伝いが必要な貴婦人ではなく、一般的な日本人家庭に育った。着替えはむしろ一人でするもので、誰かに手伝ってもらうのは子供のころまでだ。
ましてやこの年で男性に着替えを手伝ってもらう趣味はない。
「かしこまりました……」
なんだろう。その残念そうな表情は。まるで私の着替えを手伝うのを期待していたように感じるのは、私の方が変なんだろうか。そもそも中世の頃だって貴婦人の着替えを手伝っていたのは、同性の女性だったはず。
しぶしぶとベッドから出ようとするラウレスに、ハッとしてシーツを手繰り寄せて顔を隠す。
あぶない。危うくラウレスの下半身が視界に入るところだった。ズボンを履いていてくれているかもしれないけれど、履いていない可能性もあるなら初めから見ないに越したことはない。
ベッドを降りてしまえば、フロアに敷かれた絨毯がフカフカな所為で足音は全く聞こえない。せめて服を着る衣擦れくらいすればいいのに、それも聞こえない。ということは裸のまま部屋から出ていこうとしているのだろうかとまで考えて、顔を横に激しく振る。
私何を考えようとしていたのおバカ!そんな恥ずかしいこと考えている場合じゃないじゃない!
「もう部屋でました?」
顔を覆ったシーツを下す前に、念のため確認すると、
「もうでます。お着換え終わりましたら、朝食にしますので」
「わかりましたので、早く出ていってください」
「はい……」
気落ちした声は聞こえなかったことにする。ラウレス自身が強いのはすでに昨日の件で知っているが、魔王様がこんな気弱な声で大丈夫か怪しくなってくる。
ぱたんと扉が閉じる音をしっかり聞いてから、恐る恐るかぶっていたシーツを下す。軽く周囲を見渡してみたが、ラウレスはもちろん人の気配はない。
ようやく一人になれたとほっと安堵の溜息がこぼれた。
①まず死んでしまった。毎日通っていた予備校の帰り道、たまたま自分が通りかかった時に工事現場の足場が崩れて下敷きになってしまった。
悲しいけれど人はいつか必ず死ぬものである。だから悲しいし、心残りも多々あるけれど、受け入れることができた。
②神様に目をつけられて異世界に勇者として転生召喚させられることになった。
偶然だったらしい。異世界で勇者召喚の儀が行われ、神様が死んだ直後の人間がいないか探していて、ちょうどよく死んだばかりの私が目に留まったと。
勇者になるのは性別は関係なく、魔王を倒せるくらい強いチート能力を授けるといわれたけれど断った。自分自身が平和主義であるのと、美味い話過ぎる気がしたから。
だから代わりに強い仲間が欲しいとお願いした。
③勇者として転生召喚された瞬間、王様たちに取り押さえられて、どこの何様、横暴状態。
後で聞けば、召喚した勇者を強制的に従わせるために、『拘束の冠』とかいう道具を私に使おうとしていたというのだから腹立たしい。
④私の窮地を助けてくれたのが神様にお願いしていた仲間ことラウレスだった。この世界で一番強いらしく、王様や兵士たちを赤子の手をひねるかのように簡単に蹴散らし、救い出してくれた。
しかもテレビや雑誌、インスタでも見れないような超絶イケメン。お姫様だっこで救い出されたなんて今でも信じられない。
⑤ラウレス=魔王本人だった。
勇者は魔王を倒すために召喚されるのに、魔王が仲間とはこれいかに?
もう乾いた笑いすら出てこない。
目立つことがなく地味に生きてきた人生だった。その人生で一度あるかないかの出来事が一日に全部詰め込まれた気がする。
昨日までは大学浪人一年目の予備校通いが、次の日には死んで異世界に勇者召喚されたあげくに傀儡人形にされかかったのだ。
「……ん、様?ご主人様?大丈夫ですか?」
「う~~、ん、う~ん~~……」
「ご主人様」
とても心配した低くい声は耳に心地よく、頬を撫を優しく撫でられる感触に、意識が急激に浮上していく。暗闇の中を全力で入り、何かに追われているような、逃げても逃げても追いかけてくる闇が、突然の終わりを告げた。
「はっ……、あ………れ……?」
パチリと開いた目の前には厚くて広い胸板。両手を背中に回しても、指が届かないんじゃないだろうか。それくらい厚くて広くて筋肉に覆われつつ引き締まった体は、贅肉なんてものは微塵も見当たらない。まさに彫刻と言っていい肉体美。ああ、羨ましい。
しかも暖かくてすべすべで、ずっとこのまま抱きついていたい。ずっと頬を撫でていてほしい。
いや、だめでしょ。
男の人の胸に抱きつくなんて痴女か
おそるおそる視線を上げれば、私に腕まくらをしてくれて、さっきまで優しく頬を撫でていたのは、心配そうに見つめてくるラウレスだった。視力が悪く眼鏡をしていないと黒板の字もまともに読めなかった私の目でも、これだけ至近距離であれば認識できる。
しかも上半身裸。下半身は怖くてまだ確認していないけれど、お願いだからズボンを履いていてくれと切に願う。
「お目覚めですか?だいぶ魘されていらっしゃいました」
そういえば何か怖い夢を見ていた気がするけれど、目覚めの一発目に見た光景が衝撃過ぎて、どんな夢を見ていたかもう思い出せない。
夢よりも現実を見なければ。そして、ラウレスの体に回してしがみついていた腕を、そっと離す。
ここ、私のベッドよね?
夢にうなされたとか、寝ぼけてラウレスのベッドに潜り込んだわけじゃないわよね?
「ラウレス?ど、どうして隣で寝て?」
務めて冷静に問う。少なくとも、昨夜、疲れ切って私がベッドに潜ったときは一人だった。かなり大きいベッドなので4人くらい並んで寝ても余裕そうではある。安いマットレスを敷いたシングルベッドしか寝た経験のない私にとって、初めて寝る超キングサイズのベッド。
シーツから枕、そして布団まで、絶対お高いのだろう寝具でフルメイクされたベッドは、外見に違わず寝心地は最高だった。
そしてそんなベッドで寝られるなんて、正に夢のようだった。
しかし、付き合ってもいない、昨日会ったばかりの男性と必要に迫られたわけでもないのに同衾するほど、遊び慣れてはいない。
むしろ自分はお付き合いの経験ゼロの奥手な方だ。小学校のころ、同じクラスに好きな男の子がいても、用意したチョコレートは結局渡せなかった。
「申し訳ありません。夜にご主人様のご様子を伺ったところ、寒そうにしていらっしゃったので温めてさしあげたいと思い、恐れ多いことではありますがお傍に」
「寒そうって……」
こんな贅が尽くされた寝具で寝て起きながら、寒そうにしていたということは、まさか寝相が悪くて布団を蹴飛ばしていたんだろうか。
その流れで、私の様子を見に来たラウレスが、布団をかぶっていないから寒くなって丸まっている私を見つけ、布団を蹴飛ばさないように私を抱き寄せて、隣で寝ていたというオチだろうか。
そんな寝相の悪さを見られた恥ずかしさはあれど、隣で寝られるくらいなら布団をかけるだけどか、なんなら放置してほしかった。
なんとなくだが、ラウレスの視線は泳いでおり、謝りつつも言葉を慎重に選んでいる気配がある。気を使われてしまっているのが申し訳ない。でもそこでこちらが謝ったら、逆にラウレスは恐縮してしまう気もして、
「ありがとうございます。でももう起きたから大丈夫です。着替えたいし、ちょっと部屋から出て行ってもらってもいいですか?」
何でもないふりをしつつ、心臓はばくばく高鳴ってる。男の人の裸にしがみつくことも、こんな至近距離で見たのも初めてで、むしろ驚きすぎて悲鳴の一つ上げれなかったというのが率直な本音なのだから。
「わかりました。では私はお着換えをお手伝い」
「結構です。着替えは一人でします。一人で出来ます。お願いですから、一人で着替えさせてください」
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何を言うかと思えば、部屋から出ていくどころか手伝うとか言い始めたラウレスに、断固と拒絶する。中世では着替えるのが大変だったから、お手伝いさんや使用人の人が貴婦人の着替えを手伝う文化があったのは知っている。
しかし、自分は着替えの手伝いが必要な貴婦人ではなく、一般的な日本人家庭に育った。着替えはむしろ一人でするもので、誰かに手伝ってもらうのは子供のころまでだ。
ましてやこの年で男性に着替えを手伝ってもらう趣味はない。
「かしこまりました……」
なんだろう。その残念そうな表情は。まるで私の着替えを手伝うのを期待していたように感じるのは、私の方が変なんだろうか。そもそも中世の頃だって貴婦人の着替えを手伝っていたのは、同性の女性だったはず。
しぶしぶとベッドから出ようとするラウレスに、ハッとしてシーツを手繰り寄せて顔を隠す。
あぶない。危うくラウレスの下半身が視界に入るところだった。ズボンを履いていてくれているかもしれないけれど、履いていない可能性もあるなら初めから見ないに越したことはない。
ベッドを降りてしまえば、フロアに敷かれた絨毯がフカフカな所為で足音は全く聞こえない。せめて服を着る衣擦れくらいすればいいのに、それも聞こえない。ということは裸のまま部屋から出ていこうとしているのだろうかとまで考えて、顔を横に激しく振る。
私何を考えようとしていたのおバカ!そんな恥ずかしいこと考えている場合じゃないじゃない!
「もう部屋でました?」
顔を覆ったシーツを下す前に、念のため確認すると、
「もうでます。お着換え終わりましたら、朝食にしますので」
「わかりましたので、早く出ていってください」
「はい……」
気落ちした声は聞こえなかったことにする。ラウレス自身が強いのはすでに昨日の件で知っているが、魔王様がこんな気弱な声で大丈夫か怪しくなってくる。
ぱたんと扉が閉じる音をしっかり聞いてから、恐る恐るかぶっていたシーツを下す。軽く周囲を見渡してみたが、ラウレスはもちろん人の気配はない。
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