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第3章 1週間
理不尽な理(ことわり)
しおりを挟む「所で、体は異常ないのかな?」
始穣香が、可愛いしぐさでそう聞いてきました。
「特に何もありませんよ」
そう、何も変わっていません、
「おかしいかな・・・」
「何がです?」
「僕はこれでも、高位の魔王かな。それと戦闘した、貴方には大量の徳が入っているはずかな」
「勝っていないのに、ですか?」
「戦う事に、意義があるのかな。あれだけの攻撃で、僕にダメージを与えたから、成長できるはずかな?」
「それを、狙っていたのですか?」
「魔王の条件を、満たして欲しいかな」
「どんな条件があるのですか?」
「この世界の人は、徳を持っているかな。それを多く集めると、神核というものが宿るかな」
「それが、魔王の条件ですか?」
「神核は、結構の人が持っているかな。この世界の一流の冒険者、騎士、文官、神官、王族、それぞれ色々な力の宿った神核を持っているかな」
「となると、それよりも上の存在があるのですか?」
「正解かな。それが御魂、神核のほうが上に見えるけど、御魂をもつ存在こそが魔王と呼ばれるもの。この世界には8人の魔王がいるかな。もっとも、それはみんな知らないかな」
「どういうことです?」
「今、異世界の8人の魔王と呼ばれている中で、御魂を持っているのは2人だけかな。6人は強い神核の持ち主。これは、人の世界だけの基準の話かな」
「その言い方ですと、ほかの世界の基準がありそうですね」
「この世界の理の基準。不動の摂理。那由他は御魂の持ち主だけど、序列3位。この世界の理の魔王も8人。いきなり序列3位になった那由他は、ある意味化け物だけど・・・」
この子に、化け物と呼ばれる存在とは、一度会ってみたいものですね。この世界の理というのは、人だけでなく、もっと広い意味の力関係らしいです。
「例外が、神と龍」
「神様は、いるのですか?」
「色々な定義で語るなら、存在するかな?私も昔は神様やっていた事ある」
「それらを含めて、序列2位ですか?」
「神と龍は、特別だから、枠に入らないかな。それ以外での2位は私かな」
「貴方みたいな化け物でも、2位ですか・・・」
「だから、僕と戦った貴方にも、徳が入るはずかな。強敵に立ち向かうのは、徳を得る条件」
「条件は、色々あるのですか?」
「魔物を殺す、人を殺す。勉強をする、人を救う、世界を救う、自然を回復させる、同じく破壊する・・・」
「生きているだけで、何かしらの徳は得られるのでは?」
「その通りかな。だから、成長する。その中で、歪な進化をするのが人間かな」
「私は、何も変化していませんよ」
「一度、しっかり確認して欲しいかな?」
ここまで言うのなら、研究室を確認してみましょう。
「・・・」
「どうしたかな?」
「もしかして、序列一位と言うのは、メリアムなのか?」
「うん?知ってるのかな?」
「今、保護している・・・」
「あの子を、保護とは凄いかな。僕でも下手したら支配される恐ろしい子かな」
「神様経験者を支配ですか・・・」
「貴方に、変化はあったのかな?」
「色々と、あったみたです・・・」
始穣香との戦闘?の結果、研究室の機能が大幅に改善されました。基本的なことはそのままで、処理速度が大幅に改善されています。
後数日かかる予定だった、メリアムの解析は、あっという間に終了しました。その結果、色々な事が判明しましたが、全体的な改善にもう少し時間がかかるみたいです。
「あと2日か・・・」
「どうしたのかな?」
「後2日ほどの時間で、色々と出来る事が増えそうです」
「なら、僕のバイクは?」
「その後になりそうです」
「むぅ・・・」
「出来るようになれば、すぐに取り掛かりますよ」
「らじゃったかな」
「それまで、私は自分の用事を済ませますが、始穣香さんは、どうします?」
「僕は、僕の役割を果たすかな」
「役割ですか?」
「この町に、強い人が集まっているのはなぜかな?」
「魔王が側にいるから、その警戒なのでは?」
「僕の家がそこにあるのは、この国の人ならみんな知っているかな」
町の外にある、小さな館を指差しながら、始穣香は説明する。
「僕は自分から動かない怠惰な魔王。遠くから、攻撃するだけで、徳を得られるから、ここに人が集まるかな」
「黙って、攻撃を受けるのですか?」
「反撃はするよ、でも、運悪く生き残る人がいるかな・・・」
「悪くですか?」
「悪くかな。定期的な、行動ですが、黙っていられるほど僕は優しくないかな」
丁度そのとき、町にいた集団が、館に向かって行くのが見えました。
「今日こそ、魔王の1人を討伐すべく、我等は剣を取る!」
騎士の1人が、大声で叫びます。
「我等の神の、ご加護を今ここに!」
神官の一人が、呪文を唱える。
「精霊の加護を!!」
エルフっぽい人が、そう叫ぶと何か不思議な力がその集団に力を与えた感じがしました。
「最弱の魔王でも、今まで我等に与えた、犠牲は大きい。みな者、心してかかれ!!」
「「うぉぉぉぉ!!」」
その号令で、一斉に館に向けての攻撃が始まる。
「最弱?」
「あの人達の認識では、僕が最弱の魔王見たいかな」
「馬鹿?」
「本人は、館にいないのにね」
そう言いながら、始穣香は笑う。その笑みは、何処と無く悲しみと哀れみが含まれていました。
「ちょっとだけ、出かけるかな」
そういうと、隣にいた始穣香の姿が消える。
「ようこそ、僕の館へ。死ぬ準備は出来ているのかな?」
「それは、こちらの台詞だ!」
騎士たちは、始穣香目掛けて突撃を開始する。それより早く、多くの魔法や矢が、始穣香めがけて襲い掛かる。
「永遠に、眠りなさい・・・」
始穣香がそうつぶやくと、恐ろしいほどの魔力が当たり一面を覆いつくす。
「さようなら、名も知らぬ愚か者」
それだけで、その場にいた全ての兵士が絶命する。魔王というものは、こういうものかと思い知らされました。
「これで、最弱なら最強の魔王って?」
「僕の場合は、死体が綺麗だからね。だから、そんなに強くないと思われるんだ。都合の悪い部分は、誤魔化すかな。あとは、誰も生き残らないから、情報が伝わらないかな」
「確かに・・・」
町にいた兵士の半数が今回の作戦に、参加していました。その全てが、息絶えています。
「後、運の悪い人がいたかな」
「え?」
死体の山の中、かすかに生きている反応があります。
「この世界の人に、急激な徳の増加は、耐えられないか・・・」
その直後、それは膨れ上がり、激しくのた打ち回る。
「ぐぎゃぁぁあぁあ」
それは、悲鳴を上げながら、転がりまわる。
「ぅるらりゃがう!!」
転がりながら、形を変えて、転がりながら、何かを叫ぶ。
「もしかして、私もああなる可能性あったのでは?」
「もちろん」
さわやかな笑顔で、始穣香が答える。
「世界の理だからね、可能性は誰にでもあるかな」
「・・・」
運という言葉で片付けていいのか、悩みます。
「あれは、止めを刺すべきでしょうか?」
「あれは、動く死体。見苦しいなら、好きにしていいよ。僕は、いらないかな」
「もらっても、仕方ないですけどね。この際、利用できるものは何でも利用しましょう」
「利用?」
「この町で、冒険者登録と言うのをするつもりですからね。その後で、実力を示すと言う事で、あれを処分します」
「貴方も、魔王と呼ぶにふさわしい人物かな」
「褒められたと、思いいておきますね」
「実際、褒めたかな」
「ありがとうございます」
今日やるべき事の一つは、冒険者登録と言うのをして、別人として地上での活動場所を確保する事です。
その後で、土地を開拓して拠点を作ります。その拠点で、色々と解析したものを製作して、勇気との戦いに備えます。
それらを、あと6日で出来るところまでする。
最初から予定がずれましたが、ここからは、予定通りに行動します。
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小説家になろうでも投稿中。
3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。
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