灰色の冒険者

水室二人

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第4章 臆病者の砦

冒険者の仕事 人助けと盗賊退治

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 広域監視システムアマテラス。

 そう名付けた装置は、その後改良を重ね、監視範囲と精度を高めています。

 その分、監視する人員が問題となりましたが、解決の目処が立ちました。ゴーレムの作成に成功。監視員として、採用しました。

 戦闘用の装備は搭載しません。監視のための人員として、製作しました。

 その数12体。意図的に顔を作らず、無機質なゴーレムにしてあります。情報の収集と、特定のものの監視、索敵を命令してあります。顔が無いので、ノーフェイスと命名。デッサン人形をベースにしているので、作るのは簡単でした。

 そのノーフェイスが、メトロ・ギア周辺に転移してきた集団を発見しました。

「この世界、転移の魔法は禁止しされているのですよね?」

「冒険ギルドが、厳しく監視してる」

 この事態に対して、この世界の住人の意見を聞くために、ザックとエッジに相談しています。

「それを破るとどうなりますか?」

「最悪死刑。過去に、転移魔法で大規模な災害が起きてから、魔法陣以外の転送は禁止されています」

「例外は、冒険ギルドが緊急事態のときに利用を許可されています」

「それ以外は、発見次第冒険ギルドに報告すれば、報奨金がもらえます。利用した人物は、冒険ギルドによって、処罰を受けることになっています」

「国が、裁くのではないのですか?」

「なぜか、転移の魔法に関しては、昔からこの決まりが通用しています」

「銀河帝国は、冒険ギルドを容認していないので、適応外です。ただ、帝国も転移魔法を禁止しています」

「見分ける事は、出来るのですか?」

「専用の、魔法陣が各地に設置されています」

「それを作ったのは?」

「冒険ギルドです」

「つまり、冒険ギルドがやりたい放題できるというわけですか・・・」

 今回転移してきたのは、見るからに貧しい人たちです。女子供を中心に、老人が数名。行き場をなくした村人の集団でした。

 その人たちは、迷うことなくこの場所を目指しています。

「出来たばかりのここを、目指してく来るとは、何が目的でしょうね・・・」

「冒険ギルド、所属していたときは思いませんでしたが、今思うと不思議な組織でした」

「そうですね、あれだけの戦力があるのに、国が放任しているなんて、ありえません」

「ギルドの戦力は、それほどなのですか?」

「最高ランクの冒険者は、異世界人を筆頭に、戦況を1人で帰られると噂されるほどです」

「過去には、戦争に介入して争いを収めた冒険家もいます」

「戦争を終らせた功績で、冒険者ギルドの存在価値が高まったと言われていますが・・・」

「戦争は、国家間の出来事です。それを仲介できるだけの微力を、持っているということですね」

「そうです。私も、それらに憧れていましたが、捨て駒にされて、気づきました。あそこは、何か目的があって、冒険者を操っているのではと・・・」

「恐らく、そうでしょう。目的のない組織なんて、ありえません。人を救うとか、理想を掲げても、中身は違うという可能性はあります」

 この世界の冒険ギルドに関して、もっと詳しく知る必要が出来ました。今回の出来事は、徹底的に利用しましょう。

「そろそろ、こちらに到着するみたいなので。出迎えるとしましょう」

「1人で、大丈夫ですか?」

「ノーフェイス達が監視していますし、武装はしていきますが、大丈夫ですよ」




 しばらくして、獣道から数十人の集団が姿を現します。

「ここから先は、通行止めです」

 剛炎を身に纏い、行く手をさえぎります。

「貴方は、ここの人ですか?」

 集団の中から、責任者らしい中年の男性が姿を現します。

「そうです」

「私たちは、この先にあった村から逃げてきました。助けて欲しい」

「断ります」

「えっ・・・」

 簡単に私が断ったのが、意外だったのか、相手が言葉を失います。

「ここは、私が現在開発中の場所です。人を受け入れる余裕はありません」

「私たちの中には、年寄りや子供がいるんです。どうか、助けてください」

「年寄りを受け入れるだけの、余裕はありません。女子供なら、利用価値があるので、受け入れてもいいですよ」

「そ、それは・・・」

「大体、この付近に村はありませんでした。貴方たちは何処の村から来たのです?」

「ここから、私たちが来た方向へ3日ほど歩いた場所です。盗賊の集団が、やってきました。村の大人が戦っています。そもそも、この場所は私たちの先祖の砦です。貴方のほうが、出て行くべきです」

「この砦は、先日私が製作したものですよ。嘘を言うのなら、助ける義理はありません」

「砦のあった場所は、私たちの先祖のものです。私たちが、その場所を使う義務がある」

「そんな義務はありません」

(マスター、周辺に新しい転移反応があります)

 ノーフェイスが、通信を送ってきました。網膜振動の通信機なので、声が漏れることはありません。

(場所は?)

 私からは、念話で声を送る事ができます。

(その集団の後方です。数は30)

「貴方たちは、ここまで盗賊を案内したのですか?」

「何を言うのですか!」

「後ろに、盗賊がいますよ」

「えっ?」

 次の瞬間、何かが爆発しました。恐らく魔法でしょう。




「きゃあぁぁあぁ!」




 悲鳴と共に、吹き飛ぶ村人。集団の半分くらいが命を失っています。

「ちょっとまて、話が違う!」

「何の話でしょう?」

「た、助けてくれ、俺たちは騙されたんだ!」

「誰にです?」

「それは、がっ!」

 その言葉は、最後までいえませんでした。盗賊の放った矢が、彼を討ち貫きました。

「た、助けてください!」

 そう言いながら、生き残っていた村人は、砦に駆け込みます。

「ぐぎゃっ!」

 しかし、次の瞬間その村人は悲鳴を上げて倒れます。

「許可無く、私のエリアへの侵入は、認めませんよ」

 この辺りの地面には、電流が流れています。うかつに近寄れば感電します。

「余所見をしている暇はありませんよ!」

 残っている村人に対して、捕獲用の電磁ネットを投げつけます。

「なんで?」

「怪しい連中を、見過ごすわけにはいきませんからね」

 最初に、村人の動きを封じます。盗賊と連携して内部から混乱、と言うことも考えられます。

「ここには、たいそうな金があるらしいじゃねぇか、全部よこせ!」

「ここに金がることを、何故知っているのですか?」

「盗賊ギルドの情報網を、甘く見るなよ!」

 どうやら、そう言う設定らしいです。正面似る盗賊だけでなく、気配を消して、4人ほど、砦に侵入を試みている存在があります。

「ふむ、1人知り合いがいますね・・・」

 姿を消し、気配を隠し、上手く忍び込んでいますが、その存在は丸見えのノノがいました。

「流石に、これ以上温情を掛けるわけにはいきません」

 気づかれていないと、思っていたのでしょう。背後から体を貫かれ、悲鳴を上げることなく、彼女の人生は終わりを告げました。

「殺しては、いませんけどね。聞きたいことは色々とありますし、今まで生き抜いた、強運に感謝してくださいね」

 彼女を、後ろから殴り倒し、身柄を拘束します。

「貴方たちは、利用価値なさそうですね・・・」

 私の動きを、把握できていないみたいです。一瞬で移動して、隠密を捕獲したので、驚いて動きが止まっています。

「では、行きます!」

 盗賊めがけて、駆け寄ります。

「うらぁ!」

 一番先頭にいた人物は、意識を取り戻しこちらに切りかかってきます。

「切りあうのは、ごめんですからね!」

 私は、レミントンを取り出すと、盗賊めがけて連射します。

「ぐぎゃぁぁ」

 炸裂音が響くたびに、盗賊は次々と命を落とします。

「な、なんだその武器は!」

「銃を知らないのですか?」

「そんな、広範囲に飛び散る銃なんて、知らない!」

「散弾銃は、ないのですね・・・」

 冒険ギルドには、銃が存在する事がわかりました。対策を練る必要があります。

「めぼしい情報は、これだけですか・・・」

 戦闘が終わり、辺りを見回します。

 最初に来た村人は、スラムから集められた人員みたいです。

 2人だけ、冒険者ギルドの工作員がまぎれていました。他のメンバーは、半分脅されるような感じで、つれて来られていたみたいです。

「仕方ありません。貴方たちは、銀河帝国へと送りましょう」

 辺境の村で、人手が足りない場所があるのでそこで過ごしてもらいます。

 ここでいけいれるには、まだ準備が足りません。

 工作員の1人は死亡しています。最初の中年です。何処まで騙されていたのか気になりますが、今となっては知る事ができません。

 もう1人は、見かけは子供ですが、年齢は20台と言う異世界人でした。取り合えず、生け捕りにしてあります。

 盗賊たちの中でも、隠密行動をしようとした4人は、生け捕りにしてあります。




 人助けと、盗賊退治、異世界に来て、ようやく冒険者らしい事ができたかもしれません。





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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。



 
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