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第4章 臆病者の砦
猫達の癒し その3
しおりを挟む時間は少し、遡ります。
天馬と大地の二人は、死亡して、アンデットとなりました。
二人とも、それなりにオタクな生活をしており、異世界召喚と言うのに憧れていただけに、残念な結果となっていました。
幼馴染で、仲の良い紗枝の事を守らねばと思い、アンデットとして、過ごしていました。
色々あって、猫に転生することになり、今、目覚めのときが来てしまったのです。
「なぁ、俺たち、大丈夫かな?」
「大丈夫だといいよね・・・」
目覚めて最初に見たのは、お互いの姿です。二人とも、三毛猫になっていました。
「オスの三毛猫って、希少価値高いよね?」
「あいつが、手に入れたいものの一つだったよな・・・」
それを思い出すと、二人の体はなぜか震えます。
「目が覚めましたか?」
震えている二人に、にいが声を掛けました。
軍服姿の幼女が出現した事に、天馬は内心狂喜乱舞しています。
「転生しても、中身は変わらないんだな」
「そうみたいだね、安心したよ」
美少女アニメが好きな天馬としては、にいの姿は、直球でした。
「不埒な事は、考えないでください。私は既に心に決めた人がいますから」
「おっさっ!!」
そこまで言いかけて、次の言葉は出る事はありませんでした。にいから発せられた重圧が、二人を襲います。
「・・・」
圧力に負け、二人は大人しく話を聞く事にしました。
「精霊猫への転生、おめでとうございます」
にいは、後輩が出来たことを、純粋に喜んでいます。
「貴方たちは、徳を得られれば、私みたいな猫人になることもできます」
「質問、いいですか?」
「どうぞ」
「紗枝は、どうしています?」
「もう少ししたら、ここに来ると思います」
「心の準備をする時間、もう少しもらえますか?」-
「心の準備?」
「はい。あいつ、かなりの猫好きなんですよ」
「そうなのですか?」
にいは、彼女の事をよく知らないけど、そこまで猫好きと言う気配を感じてはいませんでした。
「俺たちの事で、落ち込んでいたから、我慢していたんだと思います」
「でしたら、猫になれてよかったじゃないですか」
「あいつの、度が過ぎる猫好きは、俺たちの町から野良猫が姿を消すほどのものですよ!」
「え?」
「その技術は、猫を骨抜きにする恐ろしい腕で、腑抜けになった猫は、人知れず町から姿を消すという、そんな噂があるんだよ」
「私は、野良猫を保護して、譲渡する活動に参加していただけじゃない」
「っげ!!」
やって来た伊藤さんを見て、二匹は逃げようとしましたが、すぐに捕まってしまいました。
「三毛猫になるなんて、貴方達最高じゃない!」
彼女は、うりゃうりゃと、二匹を撫で回します。
「あったかいし、良かったよ・・・」
わしゃわしゃしながら、その感触を楽しんでいます。
「これ、刈谷さんが作ってくれたブラシ、凄いらしいよ」
「あ、それもらったのですか、うらやましいです」
「凄いの?」
「毛並みが、艶々になって、体もほぐれる、凄い効果のブラシです」
にいは、伊藤さんの持っているブラシを羨ましそうに見つめます。
「やってあげようか?」
「私は、あの人以外に、ブラッシングをさせるつもりはありません」
「ブラッシング、してくれるんだ」
「はい」
にっこりと、にいは微笑みます。
「いつから、子作りもお願いしたいです」
「そこまで、考えているんだ」
「私達は、この世界の生まれで、最初は敵対していましたが、あの人以上の存在は、無いと思っています」
「確かに、あのチートは凄いよね」
「その、チートと言うのはよく解りませんが、私はあの人のお役に立ちたいのです」
「子作りも?」
「あの人が望むなら」
「その大きさだと、流石に無理でしょう」
「大きくなるために、日々努力しています」
「けなげだねぇ・・・」
「こら、俺たちを、開放しろ!」
「やだ、もっと堪能する!」
にいと話しながら、伊藤さんは二人を撫で回しています。
「大体、天馬は二人だけになったら、喜ぶんでしょ?」
「はぁ?」
「ガイアと同じ猫になるなんて、密かな野望がかなったんじゃないの?」
「な、何のことでしょうか?」
「人に告白しておいて、本命は違うなんて、酷いと思わない?」
にいに問いかけるも、何ことかわからないので、首を傾げます。
「この伝馬と言う男、幼馴染が大好きだって言う最低野郎なの」
「はぇ?」
「普通、女の幼馴染がいれば、そっちが好きだと思うけど、本命はこいつなのよね」
「俺は、女方が好きだぞ」
ガイアは、そう断言します。
「美少女ゲーム好きなのも、カモフラージュなんでしょ?」
「二次元と現実は違う」
「酷いでしょ?」
「貴方は、この二人の事がすきなの?」
「友達としてなら、好きかな。今は違うけど」
きらりと、その瞳が光ります。
「こんな可愛い猫になるなんて、最高じゃない。骨まで愛してあげる!」
「止めてくれ、助けてくれ!」
「うにゃぁぁぁ・・・」
伊藤さんの猫なでテクニックは、上級者でした。その腕に、半日近く撫で回された二人は。人としての尊厳を失い、猫として生きる道を選ぶのでした。
「この恨み、いつか復讐してやる」
「このk屈辱は、倍以上にして返す!」
やり過ぎたので、二人は結束して、、お互いの絆を深める結果になりました。
天馬は、ガイアの事がすきと言うのも、友情の延長戦の出来事。拳で語り合う友情に、のめり込んでいたので、その結果の出来事でした。
「手に入れた、異世界生活、楽しむしかないよね」
「その通り」
お互い、まだまだお子様なので、深く考えず、この状況を楽しんでいるのでした。
「これは、凄いな」
新しく改良した、猫鎧を身に纏った天馬は、その性能に驚いていました。
「これも凄いけど、俺もあれに乗りたい!」
ガイアは、空を飛んでいるCATのリバティを見ながら叫んでいます。
「猫のままだと、流石にロボットの操縦は無理だと思うぞ」
「そんな事はない!ボスの能力なら、至高を読み取って操縦できるシステムぐらい出来るはずだ!」
「そんなロボ、あるのか?」
「色々な作品で、その手の操縦システムは存在している。だから、出来るはずだ!」
ガイアは、ロボットやミリタリー系が好きな少年だった。だから、目の前で、巨大な人型ロボットが存在するという事に、大興奮していました。
「大体、なんであの女が先にロボットに乗っているんだ。許せん!」
「仕方ありませ3んよ、伊藤さんは色々と猫に迷惑を掛けた罰で、操縦テストをやっいるんですから」
新型猫鎧のテストの為に、彼等は集まっていました。
天馬とガイア、魔道具開発部門の北川、監査役で十色の5人がここにはいます。
「使ってみた感触はどうですか?」
「飛び道具が欲しいです」
「それは、我慢してください。この鎧だと、接近戦に特化するしかないですから」
これに関しては、仕方ありません。彼等は、隠密の仕事をしてもらう予定なので、派手な武装は控えています。
「十色様、何かご意見はありますか?」
この組織のナンバー2なので、みんな十色のことは十色様といつの間にか呼び名が定着しています。
「この二人に、是非とも装備してもらいたいものがあるにゃ」
怒りのオーラを滲ませながら、十色は二人を睨みます。
「にゃうぅぅ」
にらまれて、二人とも尻尾を丸めます。
「何を作ればいいのですか?」
あまり、追求してはいけないと、北川は悟ります。
「首輪だにゃ」
「首輪ですか?」
「そうにゃ、鈴のついた首輪を、この二人には是非ともつけるにゃぁぁあ!」
あの出来事を思い出し十色は怒り出します。
誰もいないと思ったから、十色は色々と積極的に甘えたのです。
頭をこつんと、猫の姿になってぶつけてみたり、おなかを上にして、撫でてもらったりと、至福のときを過ごしていたのです。
極上のブラシで、体中を手入れしてもらい、幸せだったのです。
それなのに、伊藤さんから逃げてきた二人に邪魔をさたのです。
音も無く、隠れながらやって来た二人に、十色は気づきませんでした。
見られているとは気づかずに、甘えまくった十色は、その時のことを思い出すと、恥ずかしさで叫びたくなります。
「首輪で、許されるなら、お願いします」
二人とも、十色の言うことに納得します。紗枝に色々とされて、とろけている姿を、他人に見られるなんて、恥ずかしすぎます。
ここ数日、垂らしこまれて、猫としての尊厳も無くしそうなのです。
このまま、この日々が続けばいいのかもと、考えてしまう自分が、恐ろしくなっているのです。
猫耳少女と、2匹の猫が、悶え苦しむ姿を見て、殺伐とした世界にいた北川は平和だなぁ、強く思うのでした。
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小説家になろうでも投稿中。
3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。
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