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第5章 館炎上
時間だけは戻らない
しおりを挟む異世界には、色々な魔法があった。
時間と空間に関する魔法も存在します。
異空間を作り出し、そこに物を収納する魔法。
これに関しては、異世界人によって、過去から研究されある程度の成果が出ています。
個人の魔力により、収納できる大きさが違うとか、中に入れたものの時間経過に関する制約。
生きているものは、収納可能か不可なのかと、色々とバリエーションがあります。
ちなみに、メトロ・ギアには各種収納庫があり、用途に合わせて運用しています。
現時点で、収穫した作物がかなりの量になっています。
時間魔法に関しても、色々と研究されています。
体感速度を加速させる魔法は、確立された時間魔法でも、メジャーなものでしょう。
考える時間が増えれば、対処できる事が増えます。
1秒が1分になるのでは色々と出来る事が増えます。思考だけなので、体が動かないという欠点もありましたが、体も加速する魔法も、ある程度完成しています。
この魔法は、莫大な魔力が必要で、短時間しか動けないと言う欠点はありますが、虚を突くことで、多大な成果が得られます。
相手の動きを遅くする魔法は、時間魔法ではなく重力魔法の分野に分類されて存在します。
時間魔法で、一番研究されているのは、時間移動です。
過去に戻る、未来に進む、これらは長い間研究されていました。
未来に進むのは、無理でしたが予知と言う形で、未来の可能性を知る特殊能力の存在は確認されています。
あくまで、可能性です。完全な未来を知る事は、今の所できません。予知した時点で、それを回避する方法が存在するので、行動次第で変化してしまうから、予知なのでしょう。
過去に戻る事も、今の所出来ていません。既にここにいる時点で、過去は確定しているで、誰かがそこに行った時点で、そこは今になります。そう言う考えから、過去に行って行動する事は不可能といわれています。
しかし、過去にあった事実を見る事は可能です。
権力者に不都合な事実を、知られてしまう可能デイがありますが、正しい歴史を知るために、研究された魔法です。
その結果、自分の信じた歴史が違っていて、多くの宗教が滅んだと言う歴史が、この世界にはあるみたいです。
何が言いたいのかと言うと、目の前で、何が起きているのかと言うことの確認です。
賢者の国の、異世界人の館。久しぶりに転移してみれば、吉良さんが血まみれで倒れていました。
場所は、私の部屋の入り口です。
ここに常駐しているメリアムは、中で気を失っていました。
「何があった?」
「申し訳ありません、アイに騙されました・・・」
意識を取り戻したメリアムに、これまでの出来事の説明を聞きます。
吉良さんは、取り合えずポーションを飲ませて、回復を待ちます。命に別状は無いみたいですが、意識を取り戻すまで、少し時間はかかると思います。
「治療器で治療しないのですか?」
「この状況を確認してからです」
「もしかして、私は疑われていますか?」
「正直に言うなら、疑っています」
「申し訳ありません。色々と、得がたい生活だったので、油断してしまいました・・・」
メリアムの話だと、アイの持ってきたご飯が美味しく、今までゆっくりすごしたことが無く、私から借りた本が面白くて、それに夢中になりすぎて、色々と油断してしまったという事です。
「油断しすぎですね」
「申し訳ありません。この世の中に、こんな面白いものがるなんて、知らなかったので・・・」
「こんな事では、これからどうするのです」
「え?」
「貴方が読んだ本は、所詮入門書。この世の中には、面白い本がどれだけあると思っているのですか?」
「・・・」
「本だけではありません。ドラマやアニメ、ゲームと言うものもあります。私みたいな、殺人者が言うのも筋違いかもしれませんが、まだまだ、貴方は知らない事が多すぎます!」
「良いのですか?」
「何がです?」
「今回、私は本にのめりこみすぎて、ミスをしてしまいました。この吉良さんと言う人との接触が、おろそかになっていたのは事実です」
「誰にでも、失敗はあります。私も、失敗だらけです。どれだけ、時間が戻れたらいいかと思ったことでしょう。でも、時間は戻りません。なら、次を考えましょう」
「はい・・・」
「現状、何が起きています?」
「異世界人反対運動が、最近盛んになっていました」
「何故?」
「疫病の流行です。異世界人が、原因だという話が、賢者の国では広まっています」
「それは、おかしいですね」
アマテラスを通じて、色々な情報を収集しています。疫病に関しては、過去の出来事もあるので、調査はしていました。これが流行っているという情報はありません。
「死者は出ているのですか?」
「私は、そこまで確認できていません。ただ、アイが病気の流行で、死者がかなり出ているとい事は行っていました。だから、ポーションの開発を急がせろと・・・」
メリアムに支配され、研究室で私はポーションの開発をしている事になっています。
純度の低い試作品を、何度か献上しています。効果はそれなりに出ているので、今の所、疑われていないみたいです。
「ノーフェイス、最近の人口状況を表示してくれ」
持っている端末を操作して、メトロ・ギアの司令室へと繋ぎます。
情報を収集しているノーフェイスに、データの表示を頼みます。
その結果、賢者の国周辺で、ここ一月の間に1000人以上の死者がいた事が判明しました。
「病死ではないのか?」
「該当する病気は過去のデータにありません。突然死のため、病気のデータから除外していました」
「突然死?」
「年齢にばらつきがあり、統一性はありません。限られたエリアでの出来事なので、事故の分類でデータは作成してあります」
ノーフェイスの運用も、まだ初期の段階なので、色々と問題は残っています。データの収集はしても、活かせなければ、意味はありません。
「限られたエリアと言うのは?」
「果て無き迷宮の出入り口付近に集中しています」
「中から、魔物が出てきた可能性は?」
「魔物の反応はありません」
「この出来事は、賢者の国だけですか?」
「この大陸、全ての場所で同じような事故が続いています」
「そうですか・・・」
これは、失敗しました。怪しいのは解っていたのですが、後手に回っています。
「果て無き迷宮付近の、詳細なデータを観測してください。今後、重点的に何かあったら、連絡を」
「了解」
取り合えず、出来ることをやりましょう。
吉良さんを保護した事で、アイにこちらの行動を怪しまれる恐れがあります。
「メリアムは、何故倒れていたのですか?」
「解りません。ご飯を食べたら、急に意識が遠のいてしまいました」
「毒?」
「その可能性は低いです。食事だけは、気をつけるように厳命されていたので、毎回チェックしていました」
この辺の事は、しっかり守っていたみたいです。
「今の状況は、解りますか?」
「体調は回復しました。魔力は・・・あれ?魔力がほとんどなくなっています」
「魔力切れで、気絶ですか」
「そうみたいです。でも、私何も魔法を使っていません」
「すみません、その原因は、私です・・・」
倒れていた吉良さんが、意識を戻したみたいです。
「聞いていましたか」
「すみません。禁呪というのを発動するのに、魔力が足りなくて、周辺の魔力を集めたら、暴走しました」
「私も、結構魔力あるけど、根こそぎ奪うなんて、出来るの?」
「騙されてしまったみたいで・・・」
「どんな禁呪を使おうとしたのです?」
「過去に戻る魔法です」
「何故?」
「私のせいで、大石君と浅野君が死にました。過去に戻れば、助けられたかと思って・・・」
「あの二人は、死んだのですか?」
「恐らく。確認できませんでしたが、あの状況では、助からなかったと思います」
「迷宮の中ですか?」
「はい。私は、出遅れて、逃げてしまいました」
「禁呪は、誰が教えたのです?」
「私達に配属された、ここのスタッフです」
「その結果が、メリアムの気絶ですか・・・」
「狙いは、私ですか?」
「可能性はありますね。賢者の国で、一番危険な人物と言う扱いでしょう」
「むぅ、もっと危険な人がいるのに」
「仕方ありませんよ」
私達が、愚痴を言っていると、吉良さんが不思議そうな顔で、こちらを見ています。
「どうかしました?」
「刈谷さんは、二人が死んだ事に、何も思わないのですか?」
「多分、二人は死んでいない。悪いけど、君たち3人には監視をつけてあるんだ。生存確認できるぐらいの存在だけど、それから、死亡の報告は受けていない」
「そうなの!」
吉良さんは、嬉しそうに叫びますが、現実は残酷です。
「死んでいないけど、味方ではないですね」
「え?}
「禁呪は、貴方の命も危険にするほどのものです。それを使うまで追い込んだのは、二人が死んだと思ったからですよね?」
「はい。嫌な人だと思っていましたが、迷宮で生き残るために協力していたら、仲間・・・仲間?」
「どうしました?」
「頭の中が、霞がかかったような気がして、上手く思い出せないことが、色々とある?」
「そうですか、なら、おやすみなさい。あの二人の事は、私に任せてください。二度と会うことは無いと思いますが、良い夢を・・・」
「はい・・・」
メリアムの、支配の力が発動して、吉良さんを深い眠りに誘います。
「取り合えず、相手の出方を待ちますか」
「それ、必要ですか?」
「館の周りに、500人ぐらいの人が集まっています。死亡を偽装した二人もぴますし、戦いは避けられないでしょう」
「そんな事をするよりも、本を読んでいたほうが楽しいのに」
「それは、真理ですよ。ただ、そうしたいけど世界は、中々厳しいです」
戦闘強化装甲を準備しながら、迎撃の準備をします。製作中で、塗装ができていなく、真っ白なCATです。パワースーツで、人よりも一回り大きい存在。
「変身しないのですか?」
「これは、そう言う仕様ではありませんからね」
「拘ってますね」
「それは、もちろん」
同じ戦闘強化装甲の剛炎と違い、リアル路線の作品を参考にしているので、変身風の演出は必要ありません。
アイがすぐにここに来なかったのは、禁呪の発動に巻き込まれないためでしょう。
探査球に、接近を知らせる映像が映ります。
「一応、そこで気絶したふりをしておいてください」
「らじゃ!」
のんきに返事をして、メリアムは倒れます。
私も、色々と細工をして、アイのくるのを待ちます。
久しぶりに会う、メイドさんはこの状況を見てどう対応するのか、今から少し、楽しみです。
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小説家になろうでも投稿中。
3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。
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