灰色の冒険者

水室二人

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第5章 館炎上

赤く染まる

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 戦闘強化装甲、虐殺者。

 物騒な名前に、ふさわしい性能を持つ機体になるはずです。

 実績が無ければ、むなしい名前だけが残ります。

 全長2m50cm。全身を鋼で包み込むパワーアーマーです。

 中の人の動きをサポートして、さまざまな兵器を運用します。

 移動は基本は徒歩ですが、ローラーを展開する事で、高速移動が可能です。長距離の移動は、これを利用します。

 現時点での兵装は、背中に巨大な機関銃が1門。反対側にロケット砲を1門、。展開式特殊ハンマーを1つ。両腕に、隠し機銃とブレードナイフを装備。

 魔法陣による、身体強化で、殴るだけで簡単に人を爆散出来るだけの威力を出せる設計です。

 装甲も、魔法陣の力で、ある程度の魔法を耐え切れます。弓矢は、ほとんど意味が無いでしょう。

 銃に関しても、特殊な銃で無ければ、マグナム級では不安ですが、防げると思います。

 正直、ここまでのものが必要なのかと、思っていました、

 この世界、色々と不確定要素が多すぎて、安心できないのです。

 私が、弱いというのもあります。弱いから、力を求めます。

 安心して過ごす為に、できる限りの手段を持つつもりです。

 これもその一つです。それに、これから行う事は、正直やりたくない事です。

 でも、必要な事だと思っています。

 この世界で生き残るために、死というものを、今以上に、実感する必要があります。

「状況は?」

「館の正面で、かなりの数が暴れています」

 通信で、メトロギアのにいを呼び出します。彼女は、現在サポートをしてくれています。

「映像は、カットしておくように」

「それは、お断りします」

「何故?」

「元帥1人が、業を背負う必要はありません」

「他のメンバーもいるのか?」

「十色様だけです」

「無理はするなよ」

「にゃ」

「今になって、暴れだしたのは、3人の内に能力者がいたのか?」

「塔の中に、死者を操るネクロマンサーがいたはずです。道具の影響を受けた可能性があります」

「なるほど・・・」

 現在、館を囲んでいる異世界人反対運動にメンバーは、全員死人である。

 果て無き迷宮から溢れた何かが、周辺の人を死人に変えていました。

 以前、銀河帝国が焼き払った数多くの人も、死人の可能性があります。

 何者かが、それを操りこの館を取り囲んでいましたが、統制が失われ、暴走を始めたみたいです。

「死人は、生きている人を無条件で襲います」

「ゾンビ映画のゾンビか・・・」

「そうにゃ。既に助ける方法は無いにゃ」

「天馬達みたいには?」

「魂が、失われているにゃ。あの二人は、あの女の処置が早かったから助かったにゃ」

「浄化魔法で、消せるのかな?」

「魂だけが無いので、現状では破壊するしかありません」

「理不尽な、存在ですね」

「何もかも、理不尽ですにゃ」

 罪も無く、死人になった人たち。もしかしたら、何かの罪があったのかもしれません。

 理不尽に、命を失い、彷徨う存在。

「なまじ、人の姿をしているから、始末が悪いです」

 正面玄関から、外に出ます。

 館の警護をしていた兵士が、突然襲ってきた死人と戦っています。

「まずは、これからです!」

 手に持っていたアサルトライフルを連射します。

 レミントンは、こちらでは使えません。変わりに、連射の出来るアサルトライフルを用意しました。

 弾は、普通の弾丸です。火薬の代わりに、爆裂魔法を使用しているので、銃身が一度使うと再利用できない使い捨ての装備です。

「頭を破壊するしかないのですか・・・」

 体を打ち抜いても、死人は動いています。頭を破壊すると、動きを止めて倒れます。

「死んでいるのに、生き物と同じですか」

「再生能力は無いので、ある程度体を破壊すれば、行動を不能に出来るみたいです」

「了解」

 効果の薄くないアサルトライフルを討ちつくし、機関銃の用意をします。

「射撃モードに移行、アンカーで、体を固定」

 背中の機関銃を、腰の部分にマウントします。

「うりゃりゃりゃりゃ!!」

 変な掛け声ですが、機関銃を討ち放ちます。

 次々と、木っ端民となって散っていく人たち。機銃の音に、死人が集まってきます。

 館の中庭に、肢体の山が出来ていきます。用意した弾丸は500発。

 あっという間に、撃ち尽します。それでも、全体の3分の一も終っていません。

「次は、これです!」

 死人の集まっている所に、ロケット砲を打ち込みます。

「これも、忘れていました」

 可燃性の液体を、辺りに散布します。

「燃えてください!」

 着火すると、あたり一面火の海になります。

「ここからが、本番です・・・」

 背中の装備を、切り離します。

「バルカン!」

 両腕の、隠し機銃が火を噴きます。威力は弱いですが、死人の数は徐々に減っていきます。

「行きます!」

 球を打ちつくした後、展開式の特殊ハンマーを構えます。

 魔力を込めることで、叩きつける衝撃を飛ばせる武装です。

「せいっ!」

 ハンマーで、殴りかかると、死人は爆撒します。全てを粉々にして、人の姿が消えていきます。

 辺りに残るのは、血しぶきだけ。

 次々とやって来る死人を、粉々に粉砕していきます。




 人は、ここまで残酷になれるものでしょうか?

 私は、何をしているのか。

 消えていく人を見ながら、色々なことを考えてしまいます。

 多分、今私は涙を流しているのでしょう。

 これも、自分で決めたことです。

 この世界にて、多くの命を奪っています。これからも奪う事でしょう。

 罪滅ぼしのつもりはありません。

 この、人ならざる存在を作った大元を、私は許しません。




「私は、何になってしまったのでしょうね・・・」

 気がつけば、館にいた死人は残っていません。

 ハンマーを投げ捨て、最後は格闘で殲滅していたみたいです。

「最後の仕上げです!」

 意識を、拡散します。この周りで、倒れている全ての存在。魂をなくした、肉体に狙いを定めます。

「滅!」

 広まった意識が、体に戻ります。それと一緒に、全ての血肉が、光となって消えています。消えるというのは、少し違います。

 私のかららの中に、吸収されます。純粋なエネルギーとなり、纏まります。それは、体の奥底で、静かに蠢いています。今の戦闘で、およそ800人分のエネルギーを集めました。

 全て死人ではなく、10人ほどここのスタッフが混じっています。

「お疲れ様です」

「まだ、これからやるべき事があります」

「準備は、出来ています」

「ありがとう」

 外の空気を吸うために、虐殺者から降り立ちます。

「これは、血の色ですか・・・」

 白かった機体は、返り血で真っ赤に染まっていました。

「どういうことですか?」

 声のしたほうを振り向くと、アイさんが立っていました。

「他の二人は?」

「まだ、気絶しています」

「私も、良く解らない。借りた道具に魔力を込めていると、意識が途絶えてしまった」

「・・・」

「気がついたら、ここにいた、貴方は、何か知らないか?」

「私は、何も知りません。そうですよね?」

「そうなのか?」

「はい。ここには、何もなかったようですし、私は戻りますね」

「これは、どうすれば良い?」

「後で、回収しますから、このままにしておいてください」

「了解しました」

 それだけ言うと、アイさんは館から出て行きます。

 彼女の言葉には、催眠効果があるみたいです。

「これで、よし・・・」

 この虐殺者は、この国に対しての復讐の道具です。打てる手段の一つなので、このままここにしておきます。

 赤く染まった機体を見て、自分の手を見つめます。

 死人と一まとめにしましたが、色々な人がいました。

 大人だけでなく、子供もいました。男女平等に、送りました。

 しかし、他の人から見れば、どうでしょう?

 異世界人の館に集まった人が、中から出てきた存在に、虐殺された。

 館の騒音を聞き、集まった人たちがいます。

 そこから、そう言う話が広がるのに、時間はかかりませんでした。

 その中心にいた、赤い存在は、やがて赤い悪魔と噂されます。

 これより半年後、赤い悪魔がこの地に降り立つとき、賢者の国は滅びる事になろうとは、ほとんどの人が予測できなかった事でしょう。





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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。



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