灰色の冒険者

水室二人

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第6章 憎悪の大陸

VSグランドマスター

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 予想外の存在に、思わず叫んでしまいました。

 まさか、湖の底に、招き猫があるなんて、誰が予想できるのでしょうか?

 始穣香なら、予想できそうな気がしました。あの性別不明の異性人なら、色々なこと知っているでしょうね。私は、あの人余り好きじゃないので、出来るだけかかわらない様にしています、

 もっとも、あの人はそこそこ気に入っているみたいなので、余計に気に入りません。

「ノノとナナも、注意しながらついてくるにゃ」

「了解」

 バリヤーが消えたので、招き猫に接近します。

 お腹の部分に、ゲートがあり、接近したら開きました。中に入って来いという事でしょう。

 注意深く、中に入ります。

 外見はふざけていますが、中は近未来的な建物でした。

 格納庫らしく、謎の物体が幾つか置いてあります。

「二人は、計画通りに行動してくださいにゃ」

 私の指示で、ノノとナナは、別行動となります。

 謎の物体を調べながら、格納庫の中を移動します。

 ここにあるのは、ミサイルの残骸のようです。この大陸に落ちたミサイルをここに回収したのでしょう。

 概観よりも、格納庫は広いような気がします。中心と思われる方向に、何かいるようなので、そちらに向かいます。




「お待ちしていました」

 そこには、1人の女性が立っていました。

「貴方が、グランドマスターですかにゃ?」

「はい。このアトランティスのゲームマスターが1人、グランドマスターです」

「本名?」

「役職名でしたよ。でも、今はそれ以外の名前を持っていません」

 見た感じ、出来る女性社長と言う外見です。ミニスカスーツの、眼鏡美人さんですね。出る所が出ていて、憎らしいです。

「その言い方だと、私達がこの星のことを知っているのを知っているのかにゃ?」

「隣の大陸に行くのが見えましたからね。管理者と接触すれば、この星の事を知るのも時間の問題だと思っていました」

「貴方は、何をしているのですか?」

「私は、ゲームの製作者として、このゲームを続ける努力をしていました」

「500年以上もですかにゃ?」

「はい。500年なんて、私達の文明ならあっという間の時間でした」

「過去形かにゃ?」

「私以外は、延命できていません。ゲームの設定で、人族の寿命は80年としましたからね」

「変えられないのかにゃ?」

「ここまで来ると、もう無理です。多くの人の意識が、執念が混ざり合って、あのゲームはバグだらけです」

「なら、貴方はどうするのかにゃ?」

「ギルドを続けます。ゲームのバランスを崩す存在を、闇に消し去るのが冒険者ギルドの役目ですからね。今の私にできるのは、それくらいです」

「ナナがいなくても?」

「あの子は、優秀な手ごまの一つです。あの馬鹿みたいな世界を維持するのに、手ごまが一つだと思っていますか?」

「彼女以上の、優秀な人がいるのかにゃ?」

 ナナは、冒険ギルドの暗殺者でした。がちがちに洗脳されていて、色々な任務を実行していました。

 主に、空間転移系の能力を持った人の暗殺と、ギルドの危険人物の暗殺をさせられていました。

「私の計画の為に、必要な事です。色々と、不具合が多すぎるから、大規模なアップデートを行います」

「そんな事が、出来るのかにゃ?」

「元々、このアトランティスと言うゲームは、文明度が上昇すると、新しいステージに進化する予定でした。きっかけは、この海底遺跡。プレイヤーが到達する事で、神が開放されるのです」

「神?」

「この、招き猫をご神体とした、猫神教が始まります」

「・・・」

「猫の恩恵で、世界の技術革新が行われ、住民が猫に感謝するという壮大なイベントです」

「そんなイベント、成功するのかにゃ?」

「させたかったです・・・」

「これも、過去形かにゃ?」

「はい。新規の参加者がないと、この先この世界の維持は難しいです。色々と余計な事をしている組織もあります。私1人では、もはや維持できません」

「私達に、協力しろと言うのかにゃ?」

「出来れば、お願いしたいですけど、無理でしょうね」

「当たり前だ!お前のせいで、お前のせいでぇぇえええ!」

 背後から、ノノのアンディが襲い掛かります。彼女は、過去の自分が許せないそうです。

 ここに恐らく、グランドマスターがいるとと言う予想はありました。

 いた場合、過去の清算をしたとお願いされました。グランドマスターのことは、ギルドがメトロ・ギアを襲撃した時点で、敵となっています。

 彼女がいなくなる影響を考えると、難しい判断でしたが、実行に了承が得られたので、彼女の意思を尊重する事になりました。

「無駄です!」

 グランドマスターは、余裕でノノの奇襲を回避しました。

「伊達に、この世界で生きのびたわけではありません!」

「にゃぁぁあ!」

 彼女は、とても恐ろしい事をしました。

 あろうことに、ミニスカートの下に隠していた拳銃を、さっと取り出して反撃したのです。卑怯です。大人の演出です。この場にあの人がいなくて良かったと思います。

「そんなものでえぇ」

 ノノは、銃弾を腕で受け止めます。アンディの装甲は、魔力での防壁なので簡単に破壊されません。

「ゲームマスターの、恐ろしさ、思い知りなさい!」

 次の瞬間、彼女の周りに複数の光の槍が出現しました。

「超人の槍よ、我が敵を貫け!」

 光の槍は、まっすぐアンディに向かいます。全部攻撃でなく、複数の内の2つが襲い掛かります。

「回避するにゃ!」

 危険を感じたので、すぐに逃げるように指示を出しました。

「えz?」

 しかし、その指示は間に合いませんでした。

 光の槍は、アンディを貫きました。魔法防御を突き破り、貫通しています。

「・・・」

 その槍は、頭部と腹部を貫通しています。

「よくも、お姉ちゃんを!」

 上から、ナナが飛び降りてきます。時間差で攻撃する予定でした。 

 今回の襲撃は、私は手を出さない事になっています。

「無駄です!」

 浮かんでいる光の槍を、グランドマスタは掴むと、上に投げます。

「えっ?」

 掴んで投げるとは、予想していなかったみたいで、ナナは直撃を受けてしまいます。

「・・・」

 ナナも、腹部に光の槍が命中しています。

「貴方も、戦うのかしら?」

「仲間を殺されて、逃げるわけにはいかないにゃ!」

 私は、コックピットを開けて、グランドマスターの前に降ります。

「そのロボットのままで、も良いのよ?」

「貴方が相手だと、日輪さんに乗ったままのが危険だにゃ!」

 大きいと、逆に的になります。相手は、500年以上生きているおばさんです。正直、かなりこちらの分が悪いです」

「安心して。貴方は殺さない。猫神様となってもらうためにも、半殺しで利用させてもらいます!」

「神様なんて、ごめんだにゃ!」

「その意見は、同意しますけどね!」

 グランドマスターが、光の槍を掴みます。

「私の、夢の為に・・・」

 投擲しようとした瞬間、彼女の動きが止まります。

「私の力が作用するなんて・・・」

「この隙は、見逃さない!」

 動きを止めたグランドマスターに、ノノが爪を突き立てます。

 精霊猫となり、猫鎧壱型を着た彼女達が、グランドマスターを襲いました。

 元々、最初からアンディは無人でした。ナナの人形使いの能力で、遠隔操作していました。

 彼女達は、最初から日輪さんに一緒にいたのです。

 気配を完全に消したノノが、最後はしっかりと仕事をしました。

「やらされたことは嫌ですが・・・」

 暗殺者の能力を、結局使ってしまったことに、何かを感じているみたいです。

「あははぁぁ、これは、私の負けですか・・・」

「凄い、生命力だにゃ」

「半分は、機械の体ですよ。延命処置の成れの果て・・・。生まれ変わって、このゲームを思いっきり遊びたかったなぁぁ」

 ゲームマスターとして、彼女はこの世界の意地を必死にやっていました。

「私の目的は、これで完了。ありがとね」

「目的?」

 彼女は、死の間際なのに、晴れ晴れとした表情です。

「そう。色々と、手違いがおきて、維持できなかった世界を、何とか使用と思ったけど、これでおしまし。昔はゲームの世界でも、今は現実の歪な世界・・・」

 時が流れて、偽物の世界は、現実の世界の一つになりました。

「企画段階で、出来なかったこと、色々あったけど、残念だなぁ・・・」

 過去の出来事を、色々と思い出します。辛くても、楽しかった日々。

「私も、遊びたかった・・・」

 これが、彼女の最後の言葉でした。

「良いかにゃ?」

「はい」

 私は、二人に聞いて見ます。彼女達は、この人が作ったゲームの世界の人物です。でも、それはゲームではなく、現実の話です。彼女によって、人生を狂わされています。

「せめてもの、情けにゃ。ちょっとだけ、意地悪するけど、死なすには惜しいので、こうするにゃ!」

 肉球魔法を発動します。

「にゃあ」

 まぶしい光に包めれた後、その場所に子猫が現れます。

「せっかくなので、遊ぶといいにゃ」

「にゃう」

「ただし、聖霊猫でも一番下の状態から始めるにゃ。言葉が話せるのは半年後だにゃ」

「にゃうぅぅう」

「あがいても無駄にゃ。貴方は、体をいじりすぎていたから、その状態になったにゃ!」

 延命処置の、後遺症と思ってください。

「大体、誰もいないのに胸を大きくして、どうするつもりだったにゃ?」

「にゃうぅぅぅ」

「大きくなっても、あの体型にはならないにゃ」

 そのことで、彼女は後に私に感謝することになるとは、今の私は思わなかったです。

 これ以上増やすつもりはないですが、聖霊猫が増えてしまいました。

 あのまま、さようならと言うのは、私には出来ません。

 色々と、聞きたいことはありますが、それはあの人たちが戻ってからです。

「さて、帰るにゃ」

 こうして、新しい仲間を加えて、私はメトロ・ギアに戻りました。

 予断ですが、新入りの子猫は、伊藤さんに捕まって色々と酷い目にあったみたいです。

 






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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。


 
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