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第一章:異世界 アルスタン王国

アルスタン王国1

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 ■ 【転移】アルスタン王国1
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 ボワっと立ち上った煙が消えるとそこはレンガで囲まれた部屋だった。
 「おおーーっ、成功だ。勇者の召喚に成功したぞ!!。
 メルケリートよやったぞ!!、ジェシカよくやった成功だ!!、よくやったぞ!!」
 
 「はい、陛下。ありがたきお言葉です。」
 40代と思えるおっさんがひときわ大きな声で叫んでいる。辺りを見回すと叫んでいるおっさんとその横に15,6歳と思える少女、一段下がった所にとんがりボウシにマントを付けた所謂魔法使いと思しき女性、年の頃はおそらく10代前半だろう。
 俺を囲むようにして両脇に鎧をまとった騎士と思しき面々が5名ずつ計10名ほどが並んでいた。
 
 おっさんの横にいた少女が数段の段差を降りてこちらへ向かってくる。
 「ようこそお越しくださいました勇者様!!
 上におりますのが、当アルスタン王国の国王、シルケリート・バン・フルーゲルト・アルスタン陛下です。私はアルスタン王国の第一王女、メルクリート・バン・フルーゲルト・アルスタンです。本当にようこそお越しくださいました勇者様。」
 
 「勇者様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
 「あぁ...すまない……俺はナオト・シドウだ。」
 
 ナオトとメルクリートが話している頃、王と宮廷魔道士の魔法使いはヒソヒソと話し合っていた。
 『ジェシカよどう思う。普通なら恐れて震えるなり、叫ぶなり文句を言ってきても良いはず。見てみればやけに冷静で堂々としておる。』
 
 {陛下申し上げます。ただ単に状況を理解していないだけではないかと。}
 ジェシカはナオトの瞳の奥を覗くとただならぬ深淵が見えた気がしたがそんなはずはないと忘れることにした。
 
 『そうであろうか?、儂にはそうは見えんのだがなぁ……』
 {とりあえず様子を見るがよろしいかと……}
 『うむ、まずはソナタの言う通りだな。』
 
 姫様、お話中失礼ですが、まずは鑑定の義を勇者様に行ってもらわないと先に進めませんが?
 
 「あぁ、ごめんなさい。そ、そうね。そうしてもらいましょうか?」
 「勇者様、あちらにあります水晶に手を載せて頂けませんか?、手を乗せていただけると現状の能力等が判明いたしますので今後の参考としてご協力ください。」
 
 「あっあぁぁっ、痛くない……?」
 「はい、痛みは全くございませんのでご安心ください。」
 
 {うふっ、あんたって本当に勇者なの?、痛いとか臆病者に用はないんだけどね}
 
 「ジェシカ!!、言葉が過ぎますよ。勇者様に対して失礼ではありませんか?」
 {す、すいません。}
 
 「あのさぁ、ジェシカさんとやら、この国では勝手に人を呼んでおいて侮辱するなんて当たり前の国なのか?、いいかぁ、俺の国ではこういうのは誘拐って言うんだがわかるか?」
 
 {ふん!、たかが平民のくせに無礼な。そのうざい口を閉じてあげるわ}
{ 悪しき異世界の民よその卑しい俗悪な口をと……}

 {へっ、あっ、えぇっ。イヤーーーーーッ!!}
 ジェシカが詠唱途中で叫び声を上げ座り込んだ。
 
 兵士たちはニヤニヤとした顔でジェシカを見つめている。
 ジェシカの平に近い僅かな盛り上がりを見せる胸はその卦のあるものにとってはご褒美だったにちがいない、兵士の何人かは食い入るようにジェシカの胸に視線を注いでいた。
 ちなみに下の方もつるつるのお子様状態だった。
 
 陛下と王女は何事が起きたのかと状況を正確に把握できずに立ちすくんだままだ。
 
 そう、ジェシカは素っ裸で杖だけを持った格好になっていた。
 ジェシカの服はナオトのアイテムボックスに入っていた。
 ナオトはこちらに召喚されると同時に魔法の使い方などを全て把握していた。このへんは女神の言った通りだった。
 
 いや~びっくりって、なにこの瞬間学習っていうか、まるで昔から知っていたかのようにスムーズに使えてしまう。
 ナオトは知らない……女神から力を貰ったのではなく元々持っていたものだと、封印がかけてあったので使えなかったのだとは女神以外はだれも知らないことだった。
 
 ジェシカの対応にカチン!!ときたナオトはジェシカの被服を自分のイベントリーに引き寄せたのだった。
 これまでのナオトだったら仕返しなんてせずに見逃していただろうが、ここは異世界だ。弱みを見せたらとことん舐められてしまうとうことを不思議と自覚していたのだ。
 
 「あら、ジェシカ!!そんなところで裸になんて?どうしたの?……とりあえず何か着ないと勇者様の前で失礼だわ。」
 
 「ほら、返すよ……」
 そういって投げ捨てられた自分の服を見たジェシカは怒りに震えた。
 
 {この変態!!、殺してやる!!}
 {風の刃にて全てを切り裂け!ウィンドカッター}
 
 ジェシカの放つ風の刃はナオトに向かってきたが当たる直前で消失してしまった。
 そ、そんな、ばかな!!
 ジェシカは何度となく、攻撃魔法を放つが全てが当たる前に消失した。
 
 「ジェシカ!!、止めよ。」
 国王の一言にジェシカはビクッと反応して魔法を放つのをやめた。
 自分の服を抱えたジェシカはその場から逃げるように立ち去っていた。
 
 「勇者殿、見事である。
 召喚直後から魔法が使えるとは正直、驚きを超えているが、そのう、ジェシカの服を盗ったのもお主の魔法なのか?」
 
 「はい、陛下、お目汚しをしてしまい申し訳ございません。
 ちょっと大人気なかったかと思いますが、カチンと来ましたのでちょっとだけ嫌がらせをさせていただきました。」
 
 「うむ、よい。あれはジェシカが悪い……じゃが許してやってくれないか、侯爵家の子女として生まれ幼き頃より天才の名を欲しいままにしておったのだ、いささか助長していたのだがこれで少しは懲りてくれるだろう。すまない」
 
 そう言うと国王は頭を下げるのだった。
 
 「陛下、おやめください。陛下が頭を下げる必要はございません。
 私にしてもちょっとやりすぎましたのでこちらこそ謝罪したいと思います。」
 
 「そうか、すまない。とりあえず夕食まで部屋で休んでくれ……」
 「誰かある……」
 国王が呼ぶとメイドらしき女性が入ってきた。
 
 「この者は勇者殿の専属のメイドだ、どんなことでも何なりともうしつけるがよい。
 勇者殿を部屋に案内してやってくれ……くれぐれも失礼のないようにな……」
 「はい、承りました。どうぞ、こちらへ」
 
 「ん、よろしく!!」
 案内してくれるメイドさんの年の頃は10代後半といったところか、それなりの美形で胸は恐らくかなりご立派なのをお持ちだ、ウエストはしっかりと閉まっている。
 なんと言っても歩く度に微妙に揺れるお尻は思わずむしゃぶりつきたくなるがここはぐっと我慢のしどころだったりする。
 
 でも、まいったなぁ……
 手元に引き寄せる魔法、アトラ...まあ、今回はイベントリに入るようにしたんだけど、服とイメージしたのに着ているもの全て剥がしちゃったからなぁ……うーん、ちょっと可哀想だったかなぁ……
 
 俺としては上着ぐらいの感覚で服ってイメージしたんだが...服には下着も全て含まれるのかぁ~
 まあ、今度からやる時はもうちょっと具体的にイメージしないといけないってことだな。
 
 はぁ……完全に変態と思われたよなぁ~何だが顔を合わせにくい……
 
 「こちらになります。中へどうぞ!!」
 「ほぉ~!!」
 中に入ってみると20畳以上はありそうな豪華な部屋に天蓋付きのクイーンサイズはあろうかと思えるどでかいベッドが置かれている。
 後はこじんまりとした机に対面二人がけのテーブルが置かれているぐらいで広い空間にしてはものは少ない。
 
 「わたくし勇者様の専属メイドを仰せつかりましたアリエルと申します。以後、よろしくお願いいたします。」
 「あぁ~俺は勇者かどうかはわかんないし、ま、どっちにしても俺の名はナオト、ナオト・シドウ。
 気軽にナオトって呼んでほしい。」
 
 「いえいえ、国が召喚した勇者様をそんなふうにお呼びするなんてとても出来ません。」
 
 まぁ、彼女は口ではそんな事を言ってるがなんとなく本心は違うような気がする。
 「あぁ、気にしなくていいぞ!、どうせ思ってもいないだろうか気にしなくていい。なんか無理に言わせてるみたいでキモいぞ!!」
 
 アリエルの口角が少し上がった。気をつけないと見逃す程度の仕草ではあったのだが……
 「では、ナオト様と呼ばせて頂きます。ナオト様何かありましたら私は外に待機しておりますので何なりとお呼び立てください。」
 
 ふぅ、なんとか乗り切ったからしら……いくら勇者と言っても前回のことも有るしそう簡単に体を穢されてたまるものですか!!言い訳なんてなんとでも繕って見せるんだから……
 
 アリエルは国王より体を使って籠絡するように厳命を受けていた、無論拒否なんて出来ない。もちろん勇者に魔神討伐をしてもらうためと国に囲い込む思惑が有るのは言うまでもない。
 アリエルは高位貴族の子女ではあったが3女ともなると政略絡みに嫁に生かされるのが普通でそのために城に上がってメイドをすることでより優位な縁談を獲得する思惑が有る。
 
 だがアリエルは勇者に体を許すのは避けていた。
 それには過去の経緯があった。通常、勇者と関係を結べば後は厚遇されるのは間違いないのでがそれはあくまでも勇者が国に役に立った場合の話だ。
 
 前回、召喚された勇者は女癖が特に酷かった。メイドは手当たりしだいに手篭め同然にして関係を持っていた、それでも国王としては魔神を討伐してくれればお釣りが来ると見て見ぬふりをしていたが、その勇者は魔神討伐にでかけたが討伐に行かずに他国へ逃げてしまった。
 
 まあ、はっきり言って手篭めにされたメイドたちは犯られ損となってしまった、この世界では処女性は非常に重要でまともな結婚は難しく器量が良しで妾になれれば御の字だったのだ。
 
 
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