悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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無事熱から復活!
熱がかなり長引いて本来受ける筈の授業も遅れが出ているのがちょっと悔しい。

お父様とお母様にも心配されながらしっかりと療養した。
療養のお陰で元気いっぱいで沢山勉強するぞ!って気分。

でもお勉強は明日からとお母様とおばあちゃまに口酸っぱく言われている。
だから今日まではゆっくりデーなのだ。

昨日元気になった時にレムナント侯爵家に抗議文を送ったと、お父様とお母様が珍しく怒っていた。
その時のお父様とお母様の顔と来たらにっこりしているのに、背後に般若が見えた気がする。

怖くてラグくんをぎゅっとし過ぎて、ちょっとラグくんのお顔が変形したのは気のせいだと思いたい。

「ちょっと暇だなー。やることが無くてつまんない」

ラグくんをぎゅうっと抱きながら、ベッドにいる他のぬいぐるみ達を僕の前に並べる。
他の子達はまだ名前をつけて無くて、動物のお名前で呼んでいる。

お勉強の復習も終わってしまったし、部屋でできることが限られている。
ベッドにコロコロと転がる事しかできなくて、とっても暇である。

「小説の内容も書き切ったし、メインストーリーに入る迄は僕の身にも何が起こるかわからない。そんな心配にしてもって出し…。嫌なことを考えるとキリがないよね」

ラグくんに顔を押し付けて、柔らかに包まれてちょっと安心した。
生まれた時からずっと一緒にいるから、僕にとっては安定剤の一つでもあるし…いなくなったらとっても困る。

ちょっとくたっとしてきたけど、まだまだ現役でいてほしい。
最後の思いっきりぎゅっとして、ベッドの端に置いて別の子をぎゅっと抱きしめた。

ラグくんとは違う抱き心地だけどふわふわでこの子も触り心地がとってもいい。
今抱いている子はうさぎのぬいぐるみ。

なぜか真っ黒で、お目目は真っ赤なうさぎさん。
真っ黒なうさぎさんはとっても可愛いから二番目に好き。

その次に好きなのは、黒蛇さん。
他にも真っ黒な動物たちで埋め尽くされていて、どうしてこんなに真っ黒なぬいぐるみしかいないか分からないけど可愛いからよし。

うさぎさんのぬいぐるみにまた顔を埋めながら、少しの眠気を元にお昼寝をした。



ーーーーーーーーーーーーーー

お昼寝から目を覚めたらお外は日が暮れ始めて、空が赤色に染まっていた。

「くあ…」

欠伸をしてから眠たい目を擦って、ベッドから降りてお部屋から出ると騎士がいた。
普段お家の中では護衛がついていないのに、今日に限って護衛がついている。

「ネヴィレント様おはようございます。どちらに向かわれるご予定ですか?」

堅苦しい挨拶と共に予定を聞かれる。
普段こんな事ないのに、少し嫌なことを考えたけどその嫌なことを払拭するから為に頭を振った。

「お父様とお母様に会いに行こうとしてたの」

「奥様と旦那様にですか…」

騎士が言いにくそうにしてるから何か隠してる。
聞き出そうにも、騎士も仕事で僕を守ってくれているし、秘密事項もあるのだから簡単に話せないんだろうね。

「お父様とお母様はご用事なの?ならお父様とお母様のご用事が終わったら会ってもいい?」

そういえば騎士は安心したような表情になって、深く頷いてくれた。

「わかった!お部屋でいい子にしてるね!」

「申し訳ございませんが、よろしくお願い致します」

騎士を置いて部屋に戻ればまた暇な時間が始まってしまった。
もう一度ベッドに戻ってラグくんと、今度は真っ黒な羊さんを同時にぎゅっと抱きしめる。

また寝ようとしても夜に寝れなくなりそうだから寝ることもできないし、かといって復習も終わってしまって予習しようにも変な覚え方するのも怖い。
魔法を学べる年齢だったら魔法の練習もできたけど、魔法がまだ使えない年齢でもないし…。

本当にやることが無くて暇である。
はっ!そうだ!

他の子の名前が決まってなからその子達の名前を決めてよう!
うさぎさんのお名前はレザー、蛇さんはロク、羊さんはツツジ、くまさんはルムってお名前にした。

ぬいぐるみのみんなにお名前を一緒に何かプレゼントをしたくてクローゼットで探すと、いろんな色のリボンを見つけた。
一人一人リボンの色を吟味して、みんなにつける色を決めた。

うさぎのレザーには茶色のリボンを、蛇のロクには緑色のリボンを、羊のツツジにはピンク色のリボンを、くまのルムには赤色のリボンを、狼のラグには金色のリボンをみんなの首に優しく蝶々結びで結んだ。
みんなとっても似合ってて可愛い。

みんなをベッドに並べてむふむふと笑いながら眺めていたら、夕食の時間になっていた。
夕食の時間になっているのにも関わらず、何時も呼びにきてくれる侍従が来ない。

また気になってお部屋を出るとお昼寝後に部屋の前にいた騎士がまだいた。
近くには侍従はいなくて、こんなことがあるのかと不思議に思っていたら、騎士が僕の前に立ち塞がった。

「大変申し訳ございませんが、お部屋にすぐにお戻りください」

キョトンとしてると、騎士にお部屋に押し込まれて扉を音もなく閉じられた。
まるで僕がここから出ることを願っていないかのように。

僕が部屋から出ることを願っていないのは、僕が会わない方がいい人がいるのだろうか?
それが考えられるのはレムナント侯爵夫人ぐらいしか考えられないんだけど。

でも、今回の抗議文は間違った内容は一切書かれてないし、僕がつけていたブローチに録音の魔法がかけられていてレムナント侯爵夫人が起こした事が記録されていたから内容に間違いようがない。
だから抗議文に対して簡単に事を起こすこともできない。

悶々と考えていたら、扉を叩く音が聞こえた。
扉を叩いてから何時も侍従が入ってくるのに、誰も入ってこない。

いつもとおかしい様子に怖くてラグくんを抱きしめる力が強くなる。

コンコンとまた扉が叩かれる。
怖くて悲鳴が出そうになったけど、頑張って悲鳴を飲み込んだけど恐怖が押し寄せてくる。

「何をなさっているのですか!」

お父様の大きな声が扉越しに聞こえた。
やっぱり扉を叩いていたのは侍従ではない別の人だったみたい。

「ここにツェーリアの妖精がいると聞き及んでいたのだがね?たかが子息一人に騎士をつけるわけがないか」

「勝手をされては困ります。どうぞ応接室にお戻りください」

お父様の聞いたこともない低い声にびっくりして、ラグくんを強く抱きしめすぎてラグくんの顔が変になった。

「ツェーリアの妖精を見せる迄はまた訪れさせてもらうからな」

気持ち悪い粘着質な声にゾワっとした。
知らない人のいうツェーリアの妖精という言葉が引っかかって仕方ない。

そのツェーリアの妖精は誰になるのだろうか。
ドタドタという足音が遠ざかって、あの粘着質な声の人が去ったのが分かった。

その後に少し軽めの足音が去ってお父様も僕の部屋の前から去った事が分かった。
僕は二人ともが去った後でも怖くて、ベッドの上から少しの間動けずにいた。
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