【R18】Melting Room Stories ―密室で溶け合う、僕らの本能―

くすのき紬

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Case.5 直と小春 第3話:解の証明

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「……んっ……」

重なり合っていた唇をゆっくりと離すと、椎名さんは視線を彷徨わせ、肩を小さく震わせていた。

暗い廊下に、雨音と、二人分の熱い吐息だけが重く沈殿していく。

俺は彼女の顎を指先で掬い上げ、逃げられないように視線を固定した。

「……嫌だった?」

わざと低く、拒絶の余地を残さないような声で聞く。
彼女は一瞬、泣きそうな顔で俺を見つめた後、小さく、けれどはっきりと首を振った。

「……っ、いや、……じゃない、です……」

「……そう。じゃあ、どうする? このまま俺を帰して、一人で寝るか。……それとも、俺を家にあげる?」

意地悪な二択。答えなんて、彼女の潤んだ瞳を見れば分かっている。

それでもあえて言葉にさせるのは、俺がこれから踏み込む「領域」の責任を、彼女自身にも分かち合わせるためだ。

「……悠城、さん……。……どうぞ……っ」

震える手で、彼女がドアの鍵を開ける。

促されるまま中に入ると、1Kの狭い部屋は、彼女らしい柔らかな匂いがした。



彼女が電気をつけようと壁に手を伸ばした瞬間、俺はその手首を優しく、けれど確実に制した。

「……電気、つけなくていい」

「えっ、でも……」

「……ブラウス、透けてんぞ。……俺のこと、そんなに煽りたい?」

低く落ち着いた声で言うと、彼女の動きがピタリと止まった。

ストールを外し、濡れた服を脱ごうとして指を震わせている彼女に、俺は背後からゆっくりと腕を回した。

「……手伝うよ。お前、今まともに指動かせないだろ」

俺の指先が、彼女のうなじを、鎖骨を、ゆっくりと辿る。

この3ヶ月、毎日彼女を玄関まで送り届け、一人で駅へと戻る道すがら、俺は何度この瞬間のシミュレーションを繰り返しただろう。

不毛だ、非効率だ、あり得ないと、いくつもの数式で自分の欲望を否定してきたはずなのに。

「……椎名さん。俺は、お前が思ってるような『物分かりの良い先輩』じゃない。……この3ヶ月、隣で笑うお前を、どれだけ抱き潰したいと思ってたか……今、それを実感してるよ」

ブラウスのボタンを、一つずつ丁寧に取り外していく。

露わになっていく彼女の白い肌に、俺の理性がじわじわと溶解していくのが分かった。

「……っあ、……ん、…まっ…っ!」

耳元を食み、首筋に深く痕を刻むように唇を寄せると、彼女の膝から力が抜ける。

崩れ落ちそうになる彼女の身体を横から支え、そのままゆっくりと、導くようにベッドへと沈めた。

「……待たない。……もう、答えは出てるだろ」

「……悠城、さん……っ」

俺は彼女の脚を割り、その間に座り込む。

「……本当なら今すぐ、お前の中に入りたいけど。……さすがに可愛い後輩を、無責任には抱けねーわ」

理系らしい冷静な判断。 
頑張れよ、俺。最後まで耐えろ。

「まぁでも、目の前にこんな誘惑があって、素通りできるほど、俺はできた男じゃない」

彼女のスカートをたくしあげ、薄い布の上から、そこをなぞる。

「お前も、触られるの、待ってたんだろ?」

「……あ、……ん、……っ! 悠城、さん……!」

ゆっくりと、布の隙間から、直接触れていく。

「……っ、……かわいー声。……ここ、熱くなってんぞ。……そんなにいい?」

わざとらしく耳元で囁きながら、一本、また一本と指を深く沈める。

中を掻き回すたびに、くちゅり、と卑猥な水音が静かな部屋に響いた。

普段の彼女からは想像もできないほど、俺を受け入れようと収縮する熱い感触。

「……ぁっ、……そこ、……変、な……感じ、する……っ!」

「……変じゃない。……お前が俺を求めてる証拠だろ。……ほら、もっと詳しく教えてよ。……ここ、どうしてほしい?」

逃がさないように腰をがっしりと掴んで固定し、指先をさらに深く、彼女の最奥をゆっくりと、けれど力強く抉るように動かした。  

「あぁっ、……いやぁっ、……ぁっ、……」

「嫌じゃねーだろ。……グショグショだぞ。俺の指、こんなに締め付けてんの、自覚あんのかよ」

「真面目な後輩」が、今、俺の手の中でぐちゃぐちゃに乱されて、俺しか知らない声で啼いている。

その事実だけで、俺の心臓は破裂しそうなほど跳ねた。

「……ん、……ぁぁっ! ……あ、……もう、……ゆう、…きさっ!!」

彼女の身体が大きく弓なりに跳ね、俺の指をぎゅっと飲み込んでいく。



果てる瞬間の熱い振動が指先から伝わり、俺の理性が限界を訴えて悲鳴を上げた。

「……はぁ、……やべぇな、これ……」

中を、これ以上ないほど自分の色に染め上げたという独占欲。

俺は彼女の濡れた髪を指先で払い、耳元で短く告げた。

「……小春。……次は、指だけじゃ済ませないから。……明日、ゴム買いに行くぞ」

「え、……っ、あ……」

顔を上げた彼女の額に、誓うように軽く唇を落とす。

「明日からは、ただの先輩として送るつもりねーから。……俺の彼女として、隣歩け。分かったな?」

「……っ、……はい……っ」
有無を言わさない命令。

それに幸せそうに頷く彼女を見て、俺の脳内の計算式はすべて白紙になった。

明日からの日常がどれほど非効率に塗り替えられようとも、今の俺には、腕の中で乱れるこの女の体温だけが、ずっと求めていた「解(こたえ)」だった。
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