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「あの!西田君?」
「悪いけど、急ぐから・・・・」
君は、そう言っていつも逃げるように去っていった。
でも、僕は、なぜ君が急いでいたのか・・・
いまならわかるんだ。
雨の日も、風の日も・・・雪の日だって、西田君は、毎日毎日ここへ来てた。
あの花を毎日欠かさず供えてた。
季節が違うときは、季節にあった花を供えてた。
まるで彼女に話しかけるかのように・・・。
僕は、そんな君に運命を感じた。
運命の出会いって、男女にしかないと思っていたけど・・・・例外もあるかもしれない・・・。
あっ、BLって意味じゃないよ?
「ねぇ?西田君。僕たちの劇団に来てみない?ひまわり会って言うんだ」
彼のことが誘えたのは、この日が奇跡的だった。
「悪いけど、人と関わるつもりはないんだ。」
「君が、人を嫌いになった理由はわからない。でもいつまでもそんな生き方していたら、疲れちゃうよ?君のことを、わかってくれる人ばかりだから・・心配ないよ?」
「そんなことをいっておいて、みんな裏切るんだ。俺はもう、人を信じないことにしたから・・・・。」
「・・・・じゃあ、約束するよ」
「えっ?」
「僕は、君を裏切らないって、約束する」
でも、これは西田君に最初に付いてしまった嘘だ。
ずっと、一緒にいられる訳じゃない。
それでも僕は、彼と一緒にいたかったんだ。
「・・・裏切らない・・・・か」
そのときの西田君が、僕の言葉を、信じてくれたかはわからないけど・・・
賭けてみたかったんだ。
西田君の本当の笑顔を取り戻せるかどうかを・・・・。
そして、ついにそのときは来た!
西田君は、おそるおそる来てくれた。
そんなに警戒しなくても・・・・。
「へぇー・・・ここが東條の劇団・・・」
「ようこそ、西田君!お客様第1号だよ!
そうだ!せっかくだからこの劇団の名前を考えてよ。」
「ひまわり会だろ?俺はそれでいいと思うけど。名前を変える必要なんてないだろ?」
「本当に?じゃあ、決定!」
「単純だな。最初から、決まってたくせに」
「ショーをするときくらいは、かっこいい名前にしようかなぁ~って思ってたんだ。
ひまわり会ってつけたのは、ひまわりみたいに元気よく咲く花ってなかなかないでしょう?
だからつけたんだ。」
「・・・・そう。いい名前じゃん。今日は、見学しにきただけなんだ。」
「じゃあ、さっそくここのメンバーを、しょうかいしま~す。」
コツコツまて、杖をつく音がして・・・
彼の頬に、手を当てる人物・・・
「君が、西田君?顔が見れなくて残念だ。」
「・・・・君は目が見えないのか?」
その手を振り払うことなく、彼は聞いた・・・
「・・・はい。東大地と言います。これでも、昔からダンサーを目指してます。こいつは、僕のパートナーのラッキーです。」
「ワン!」
元気よくラッキーは、吠えた。
「よろしくな。」
彼は、ラッキーの頭を優しく撫でていた。
「初めまして。俺は、春日部正也。
で、こっちがパートナーの斎藤一樹だ。
よろしく。」
「・・・よろしく。」
彼は、戸惑いながらも。二人と握手をしていた。
そしてトントンと、西田君の肩たたき、手話をしながら、
「僕は、榊裕平です。よろしく!」と
、伝えた彼・・・
「耳が不自由なんだな。
手話、わからなくてごめん。」
「よろしくお願いします」
榊さんは、にっこり笑うと握手をしていた。
言葉は話せなくても、気持ちを伝えようとしていた。
「・・・・」
一通り、自己紹介が、終わると彼らは、ショーの準備にとりかかった。
まだ、信じられないという目で見ている。
そりゃそうか。
「彼らは、それぞれ障害や、悩みを抱えている。
西田君と同じように、心に闇を持っていたりもするんだ。
だいぶ、打ち解けては、きてくれてるんだよ?
でも、君と同じように・・・もちろん、僕と同じように、彼らも同じ人間なんだ。
だから、僕は一緒にいるんだ。」
「・・・・・・。」
「僕たちを、信じてほしい」
「そんな簡単に信じられるかよ。俺は、幸せにするはずだった人をいいわね。奪われて・・・・しかも、その人の命まで奪われたようなものなんだ。どうやって人を信じていけと言うんだよ!!」
西田君は、そう叫ぶと、小屋を飛び出していってしまった。
「そっか・・・・。彼女はやっぱり西田君の大切な人だったんだね・・・・。
最愛の人・・・・・」
「えっ?どういうことなの?」
「なっちゃん。君と同じ名前の女性。つまり、彼の彼女だった人・・・・。」
幸せにするはずだったのに、親友だと思ってた男に奪われ・・・・自殺・・・・。
そうだよね。
結局、彼女の気持ちも踏みにじられたんだ。
すごくつらかっただろう。
いや、いまでも辛いだろう。
彼女が、戻ってくることはもう、ないんだから・・・・。
「宏人?どうして泣いてるの?」
「西田君の辛さが伝わってくる気がするんだ・・・・・。なんでだろう。」
いつのまにか涙を流した僕は、止まらずにいた。
「やっぱり、宏人さんはすごいな。知り合ってすぐの彼の力になろうとするなんてさ。俺たちの時と同じ。
全然態度も変えなくて、ちゃんと平等にみてくれるから。」
正也さんは、呟いた。
「僕らは、宏人さんに助けられたよね・・・・。だから、僕らも彼のこと助けたいって思います。
ねっ?みんな」
榊さんは、手話でみんなにそう伝えた。
「僕もです。だって、さっき彼の手を握ったとき、彼の心が伝わってきたんだ。寂しいって・・・・。きっと、かれはなにかを求めているんだと思う。
本当は、優しい人なんだって思います。」
「僕も・・・・。彼の表情は見えなくて残念だけど・・・・。きっと、心のきれいな人だとわかる。だって・・・・ラッキーが、吠えないから・・・・・。」
みんなは、どうやら僕の意見に賛成してくれているようだ。
「みんな、ありがとう。」
「そうと決まったらさ、彼を誘うために一肌ぬがなきゃね☺️」と、斎藤さん。
「どうやって?」
「彼の心を、開くためのパーティーだよ。ひまわり会オリジナルパーティー!」
そう言って、僕はウィンクを、してみた。
次の日、西田君の目の前にいって・・・
「東條?なんでここに・・・・」
「ねぇ、来てよ」
僕は迷わず彼の手をつかんだ。
「君に見せたいものがあるんだ。今日、改めて見学するってことで、どう?」
「でも、俺、昨日・・・ひどいこと・・・」
「大丈夫。気のいいやつらだから、気にしてない。むしろ、君の心配してたよ?
「えっ?」
「それより、来てよ」
「何を見せてくれるんだよ・・・。教えろよ」
「僕たちの、ショーだよ」
「ショー?めんどくさい・・・帰る」
「そんなこと言わずに。見るだけでいいから。」
「・・・・・・」
「きっと、夢中になる。いや、夢中にしてみせる」
「・・・・・わかったよ・・・・。しょうがないな」
渋々来てくれた西田君。
「ようこそ、お客様。」
「あっ・・・どうも。」
なっちゃんを見てなぜだか緊張しているみたいだ。
「わたし、夏木里子って言います。」
彼女の名前を聞いて・・・
「えっ?里子・・・・・?」
少し固まってしまった西田君。
「・・・彼女は、僕たちのマネージャーを、やってくれているんだ。テニス部と掛け持ちしているけどね。」
「・・・俺は、西田順って言います・・・」
「よろしく、西田君。」
「彼女のことはみんな、「なっちゃん」って呼んでるんだ。里子って名前は多いから分けたくて」
「・・・・そ、そうなんだ。よろしく・・・・」
西田君の様子を見た正也さんは
「彼、相当緊張してますね。昨日見た顔と違う・・・・」
「彼女だった理子さんと同じ名前だから、戸惑ってるだと思う。」
それはそれで、可愛かった。
「飲み物どうぞ。リラックスして、観劇してくださいね。」
「・・・わかりました・・・」
なぜ、敬語(笑)
しかも、彼女の顔を見れないでいる彼が妙におかしくて・・・・
「西田君、僕たちのショータイム、楽しんで!」
「・・・・・!」
「3、2、1・・・・・」
カウントが始まり、幕が上がる!
幕が上がるとすぐに榊さんのギターが鳴り響く・・・・。
それに合わせて踊る東さん・・・・。
そしてそのあと、東さんの奏でるピアノで歌う正也さんと、一樹さん。
そして、最後の締めはこの僕。
いつものように、しなやかなターンを決める!
軽やかにステップを、踏みながら・・・東さんと絡み合う。
これが、僕らのショーだ。
そして、ショータイムは、静かに幕を下ろした。
「・・・・・」
「ねっ?西田君、とうだった?」
「・・・・すごいな。確かにみんな魅力的だ。障害なんて気にならないくらい・・・素敵なショーだった。」
「本当に?嬉しいよ、西田君の素直な感想が聞けて。
ねぇ?西田君・・・少しずつでいいから、僕たちと、舞台やらない?」
「俺は・・・・」
「何があったかは、もう聞かない。
ただ、僕たちは、君の笑顔を取り戻す手伝いを、したいんだ。」
「・・・・・考えておくよ・・・・。じゃあ、また・・・・」
そう言って彼は、小屋を出ていった。
「東條さん、彼ならきっと大丈夫ですよ。」
「・・・・うん。そうだね・・・・」
「もう、外は暗いし、帰ろう。」
正也さんは、時計を見て言った。
「ねぇ、みんな。なっちゃんを、送ってあげて?」
「えっ?宏人は帰らないの?疲れてない?」
「大丈夫。寄るところあるんだ。」
「それなら、わたしも、ついていくわよ?」
「いや・・・一人で大丈夫。」
「・・・・わかった。」
「おやすみなさい、宏人さん。」
「おやすみなさい・・・・」
みんな、バスに乗るのを見送り、
「みんな、おやすみ。また、明日ね」
バスのドアがしまり、いってしまうのを見たあと・・・・
「ゴホゴホ・・・・・」
僕の体に、今までになかった異変を感じた・・・・・。
「・・・・ゴホゴホ・・・・」
立っているのも辛くなり・・・・僕は、ドアにもたれた・・・・。
「よかった・・・・みんな帰ったあとで・・・・ゴホゴホ・・・・・」
すこししゃがんで一人呟き・・・・
「・・・薬・・・飲まなきゃ・・・・」
そう言えば、今朝飲み忘れたかも・・・・
最近、薬の副作用なのか、夕方になるとふらつくんだ・・・・。
熱が出ているせいだろう・・・・。
僕の命の時間は確実に短くなっている・・・・。
「もう少し・・・・頑張らなきゃね・・・もうすこしだけ・・・頑張れ・・・・僕の体・・・・・」
そう、自分に言い聞かせた・・・・。
「悪いけど、急ぐから・・・・」
君は、そう言っていつも逃げるように去っていった。
でも、僕は、なぜ君が急いでいたのか・・・
いまならわかるんだ。
雨の日も、風の日も・・・雪の日だって、西田君は、毎日毎日ここへ来てた。
あの花を毎日欠かさず供えてた。
季節が違うときは、季節にあった花を供えてた。
まるで彼女に話しかけるかのように・・・。
僕は、そんな君に運命を感じた。
運命の出会いって、男女にしかないと思っていたけど・・・・例外もあるかもしれない・・・。
あっ、BLって意味じゃないよ?
「ねぇ?西田君。僕たちの劇団に来てみない?ひまわり会って言うんだ」
彼のことが誘えたのは、この日が奇跡的だった。
「悪いけど、人と関わるつもりはないんだ。」
「君が、人を嫌いになった理由はわからない。でもいつまでもそんな生き方していたら、疲れちゃうよ?君のことを、わかってくれる人ばかりだから・・心配ないよ?」
「そんなことをいっておいて、みんな裏切るんだ。俺はもう、人を信じないことにしたから・・・・。」
「・・・・じゃあ、約束するよ」
「えっ?」
「僕は、君を裏切らないって、約束する」
でも、これは西田君に最初に付いてしまった嘘だ。
ずっと、一緒にいられる訳じゃない。
それでも僕は、彼と一緒にいたかったんだ。
「・・・裏切らない・・・・か」
そのときの西田君が、僕の言葉を、信じてくれたかはわからないけど・・・
賭けてみたかったんだ。
西田君の本当の笑顔を取り戻せるかどうかを・・・・。
そして、ついにそのときは来た!
西田君は、おそるおそる来てくれた。
そんなに警戒しなくても・・・・。
「へぇー・・・ここが東條の劇団・・・」
「ようこそ、西田君!お客様第1号だよ!
そうだ!せっかくだからこの劇団の名前を考えてよ。」
「ひまわり会だろ?俺はそれでいいと思うけど。名前を変える必要なんてないだろ?」
「本当に?じゃあ、決定!」
「単純だな。最初から、決まってたくせに」
「ショーをするときくらいは、かっこいい名前にしようかなぁ~って思ってたんだ。
ひまわり会ってつけたのは、ひまわりみたいに元気よく咲く花ってなかなかないでしょう?
だからつけたんだ。」
「・・・・そう。いい名前じゃん。今日は、見学しにきただけなんだ。」
「じゃあ、さっそくここのメンバーを、しょうかいしま~す。」
コツコツまて、杖をつく音がして・・・
彼の頬に、手を当てる人物・・・
「君が、西田君?顔が見れなくて残念だ。」
「・・・・君は目が見えないのか?」
その手を振り払うことなく、彼は聞いた・・・
「・・・はい。東大地と言います。これでも、昔からダンサーを目指してます。こいつは、僕のパートナーのラッキーです。」
「ワン!」
元気よくラッキーは、吠えた。
「よろしくな。」
彼は、ラッキーの頭を優しく撫でていた。
「初めまして。俺は、春日部正也。
で、こっちがパートナーの斎藤一樹だ。
よろしく。」
「・・・よろしく。」
彼は、戸惑いながらも。二人と握手をしていた。
そしてトントンと、西田君の肩たたき、手話をしながら、
「僕は、榊裕平です。よろしく!」と
、伝えた彼・・・
「耳が不自由なんだな。
手話、わからなくてごめん。」
「よろしくお願いします」
榊さんは、にっこり笑うと握手をしていた。
言葉は話せなくても、気持ちを伝えようとしていた。
「・・・・」
一通り、自己紹介が、終わると彼らは、ショーの準備にとりかかった。
まだ、信じられないという目で見ている。
そりゃそうか。
「彼らは、それぞれ障害や、悩みを抱えている。
西田君と同じように、心に闇を持っていたりもするんだ。
だいぶ、打ち解けては、きてくれてるんだよ?
でも、君と同じように・・・もちろん、僕と同じように、彼らも同じ人間なんだ。
だから、僕は一緒にいるんだ。」
「・・・・・・。」
「僕たちを、信じてほしい」
「そんな簡単に信じられるかよ。俺は、幸せにするはずだった人をいいわね。奪われて・・・・しかも、その人の命まで奪われたようなものなんだ。どうやって人を信じていけと言うんだよ!!」
西田君は、そう叫ぶと、小屋を飛び出していってしまった。
「そっか・・・・。彼女はやっぱり西田君の大切な人だったんだね・・・・。
最愛の人・・・・・」
「えっ?どういうことなの?」
「なっちゃん。君と同じ名前の女性。つまり、彼の彼女だった人・・・・。」
幸せにするはずだったのに、親友だと思ってた男に奪われ・・・・自殺・・・・。
そうだよね。
結局、彼女の気持ちも踏みにじられたんだ。
すごくつらかっただろう。
いや、いまでも辛いだろう。
彼女が、戻ってくることはもう、ないんだから・・・・。
「宏人?どうして泣いてるの?」
「西田君の辛さが伝わってくる気がするんだ・・・・・。なんでだろう。」
いつのまにか涙を流した僕は、止まらずにいた。
「やっぱり、宏人さんはすごいな。知り合ってすぐの彼の力になろうとするなんてさ。俺たちの時と同じ。
全然態度も変えなくて、ちゃんと平等にみてくれるから。」
正也さんは、呟いた。
「僕らは、宏人さんに助けられたよね・・・・。だから、僕らも彼のこと助けたいって思います。
ねっ?みんな」
榊さんは、手話でみんなにそう伝えた。
「僕もです。だって、さっき彼の手を握ったとき、彼の心が伝わってきたんだ。寂しいって・・・・。きっと、かれはなにかを求めているんだと思う。
本当は、優しい人なんだって思います。」
「僕も・・・・。彼の表情は見えなくて残念だけど・・・・。きっと、心のきれいな人だとわかる。だって・・・・ラッキーが、吠えないから・・・・・。」
みんなは、どうやら僕の意見に賛成してくれているようだ。
「みんな、ありがとう。」
「そうと決まったらさ、彼を誘うために一肌ぬがなきゃね☺️」と、斎藤さん。
「どうやって?」
「彼の心を、開くためのパーティーだよ。ひまわり会オリジナルパーティー!」
そう言って、僕はウィンクを、してみた。
次の日、西田君の目の前にいって・・・
「東條?なんでここに・・・・」
「ねぇ、来てよ」
僕は迷わず彼の手をつかんだ。
「君に見せたいものがあるんだ。今日、改めて見学するってことで、どう?」
「でも、俺、昨日・・・ひどいこと・・・」
「大丈夫。気のいいやつらだから、気にしてない。むしろ、君の心配してたよ?
「えっ?」
「それより、来てよ」
「何を見せてくれるんだよ・・・。教えろよ」
「僕たちの、ショーだよ」
「ショー?めんどくさい・・・帰る」
「そんなこと言わずに。見るだけでいいから。」
「・・・・・・」
「きっと、夢中になる。いや、夢中にしてみせる」
「・・・・・わかったよ・・・・。しょうがないな」
渋々来てくれた西田君。
「ようこそ、お客様。」
「あっ・・・どうも。」
なっちゃんを見てなぜだか緊張しているみたいだ。
「わたし、夏木里子って言います。」
彼女の名前を聞いて・・・
「えっ?里子・・・・・?」
少し固まってしまった西田君。
「・・・彼女は、僕たちのマネージャーを、やってくれているんだ。テニス部と掛け持ちしているけどね。」
「・・・俺は、西田順って言います・・・」
「よろしく、西田君。」
「彼女のことはみんな、「なっちゃん」って呼んでるんだ。里子って名前は多いから分けたくて」
「・・・・そ、そうなんだ。よろしく・・・・」
西田君の様子を見た正也さんは
「彼、相当緊張してますね。昨日見た顔と違う・・・・」
「彼女だった理子さんと同じ名前だから、戸惑ってるだと思う。」
それはそれで、可愛かった。
「飲み物どうぞ。リラックスして、観劇してくださいね。」
「・・・わかりました・・・」
なぜ、敬語(笑)
しかも、彼女の顔を見れないでいる彼が妙におかしくて・・・・
「西田君、僕たちのショータイム、楽しんで!」
「・・・・・!」
「3、2、1・・・・・」
カウントが始まり、幕が上がる!
幕が上がるとすぐに榊さんのギターが鳴り響く・・・・。
それに合わせて踊る東さん・・・・。
そしてそのあと、東さんの奏でるピアノで歌う正也さんと、一樹さん。
そして、最後の締めはこの僕。
いつものように、しなやかなターンを決める!
軽やかにステップを、踏みながら・・・東さんと絡み合う。
これが、僕らのショーだ。
そして、ショータイムは、静かに幕を下ろした。
「・・・・・」
「ねっ?西田君、とうだった?」
「・・・・すごいな。確かにみんな魅力的だ。障害なんて気にならないくらい・・・素敵なショーだった。」
「本当に?嬉しいよ、西田君の素直な感想が聞けて。
ねぇ?西田君・・・少しずつでいいから、僕たちと、舞台やらない?」
「俺は・・・・」
「何があったかは、もう聞かない。
ただ、僕たちは、君の笑顔を取り戻す手伝いを、したいんだ。」
「・・・・・考えておくよ・・・・。じゃあ、また・・・・」
そう言って彼は、小屋を出ていった。
「東條さん、彼ならきっと大丈夫ですよ。」
「・・・・うん。そうだね・・・・」
「もう、外は暗いし、帰ろう。」
正也さんは、時計を見て言った。
「ねぇ、みんな。なっちゃんを、送ってあげて?」
「えっ?宏人は帰らないの?疲れてない?」
「大丈夫。寄るところあるんだ。」
「それなら、わたしも、ついていくわよ?」
「いや・・・一人で大丈夫。」
「・・・・わかった。」
「おやすみなさい、宏人さん。」
「おやすみなさい・・・・」
みんな、バスに乗るのを見送り、
「みんな、おやすみ。また、明日ね」
バスのドアがしまり、いってしまうのを見たあと・・・・
「ゴホゴホ・・・・・」
僕の体に、今までになかった異変を感じた・・・・・。
「・・・・ゴホゴホ・・・・」
立っているのも辛くなり・・・・僕は、ドアにもたれた・・・・。
「よかった・・・・みんな帰ったあとで・・・・ゴホゴホ・・・・・」
すこししゃがんで一人呟き・・・・
「・・・薬・・・飲まなきゃ・・・・」
そう言えば、今朝飲み忘れたかも・・・・
最近、薬の副作用なのか、夕方になるとふらつくんだ・・・・。
熱が出ているせいだろう・・・・。
僕の命の時間は確実に短くなっている・・・・。
「もう少し・・・・頑張らなきゃね・・・もうすこしだけ・・・頑張れ・・・・僕の体・・・・・」
そう、自分に言い聞かせた・・・・。
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